高齢化が急速に進む中国では2020年までに国民皆保険制度の実現を目指しています。高齢化に伴う医療費負担増により、皆保険制度は国の財政負担増となるのは避けられません。年間1000万人ずつ増加する高齢者が今後中国の成長阻害要因になるのではないかと考えられます。
・・・・・・・・・・・・・・
中国の公的医療保険制度について(2018)-老いる中国、14億人の医療保険制度はどうなっているのか。

基礎研REPORT(冊子版)6月号

  

保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   片山 ゆき
(株式会社ニッセイ基礎研究所2018.06.07)

中国の公的医療保険制度は、2020年までに「皆保険」の実現を目指している。都市部の国有企業を対象とした医療保険が1951年に導入されて以来、中国はおよそ70年をかけて制度を整えることになる。

「皆保険」の定義も、全ての国民が何らかの医療保険に加入できる制度を構築することは日本と同義であるが、中国の場合は加入には強制と任意が並存している点が大きな特徴である。

中国の公的医療保険制度は、本人の戸籍(都市/農村)や、就業の有無によって、大 きく2つに分類される。都市で働く会社員などの被用者は「都市職工基本医療保険」 に加入(強制)し、都市の非就労者や農村住民は「都市・農村住民基本医療保険」に 加入(任意)する[図表1]。

中国では、日本の公的医療保険の特徴の1つである、患者が望めば、いつでも、誰でも、どこの医療機関でも医療を受けられる「フリーアクセス」は存在しない。加えて、制度の運営が各地域で分立していることから、保険料負担、給付限度額、入院・通院に際しての自己負担割合の設定は各地域で全く異なっている。