介護事業者の倒産が昨年を上回る勢いで増加しています。小規模で設立間もない事業者の倒産が半数以上をしており、経営基盤の弱い小規模事業者が人手不足による事業不振に耐えきれないという構図が浮かび上がってきます。政府は社会保障費の抑制に向けて、合併による規模拡大と許認可条件に財産基準も視野に入れるといいますが、果たしてこれで良いのでしょうか?中小企業庁の『2016年版 中小企業白書概要』によると、日本の99.7%は中小企業(小規模事業者含む)であり従業員の70.1%が中小企業に属しています。大企業はたった0.3%しか存在しません。これが日本企業の強さなのです。中小零細企業を淘汰する業界再編に将来はありません。中小零細介護事業者を守る施策が必要です。
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2018年上半期「老人福祉・介護事業」の倒産状況
東京商工リサーチ2018.07.09

 2018年上半期(1-6月)の「老人福祉・介護事業」倒産は45件と前年同期の40件を上回り、年上半期での最多記録を更新した。このペースで推移すると、介護保険法が施行された2000年以降で年間最多だった2017年の111件を上回る可能性が高まった。
 2018年度の介護報酬改定は、0.54%のプラス改定になったが、過当競争が続く中で小規模事業者を中心に厳しい経営状況を反映した。
 倒産した介護事業者は、従業員5人未満が全体の約6割(構成比57.7%)、設立5年以内が28.8%を占め、小規模で設立間もない事業者が倒産を押し上げている。
 高齢化社会の成長市場と期待されている「老人福祉・介護事業」だが、介護職員の深刻な人手不足を抱えながら業界内での淘汰が加速している。