2016年の社会保障費は前年度に比較して1.3%伸びで過去最高の116兆9027憶円といわれていますが、GDPに対する割合は0.06ポイントの増加にとどまっています。注目するのは安倍第二次内閣誕生の2012年から3年連続でGDP比は低下しているということです。尚且つその財源は11兆1093億円増加しているとはいえ、社会保険料や公費はマイナスで公的年金制度の資産運用収入(株式投資など)が大きく増加したことによるものです。日本の社会保障政策がいかに消極的であると言わざるを得ません。その反面、2012年第二次安倍内閣発足以来4年連続で防衛費はうなぎ登りです。防衛大綱への自民党提言には、1機100億円以上とされるF35Bや、多用途運用母艦など多くの高額装備品が並び、防衛費の目標を「国内総生産(GDP)比2%」と明記されています。現在の防衛費は約5兆円で、GDP比は1%水準で推移していますが、2%となれば10兆円規模となります。政府が何を目指しているかがわかります。
・・・・・・・・・・・・・・・・
社会保障給付費、前年度から1.3%伸び、過去最高の116兆9027億円―2016年度社会保障費用統計
メディ・ウォッチ2018.09.06

2016年度の社会保障給付費は過去最高の116兆9027億円で、前年度に比べて1兆5020億円・1.3%の伸びとなった。医療給付の伸びが小さくなっているが、2015年度に「超高額医薬品(C型肝炎治療薬のハーボニー錠など)の保険収載によって、前年度に比べて医療給付費が大幅に増加した」ことの反動によるものと考えられる―。

 国立社会保障・人口問題研究所が8月31日に公表した2016年度の「社会保障費用統計」から、このようなことが明らかになりました(社人研のサイトはこちら)(前年度の状況はこちら)。

 また施設整備費などを含めた「社会支出」は、2016年度には前年度比1兆3604億円・1.2%増の119兆6384億円となっています。

2016年度の社会保障給付費は116兆9027億円で、前年度に比べて1兆5020億円・1.3%増加しました。GDP(国内総生産)に対する社会保障給付費の割合は21.68%で、前年度に比べて0.06ポイント上昇しました。2012年度から13年度、2013年度から14年度、14年度から15年度まで3年度連続で低下していましたが、2016年度には増加に転じています。

部門別に見ると、年金給付が最も多く54兆3770億円(前年度比0.5%増)、次いで医療給付38兆3965億円(同0.6%増)、介護対策給付9兆6045億円(同2.1%増)となりました。社会保障給付費全体に占める割合(シェア)は、▼年金46.5%(同0.4ポイント減)▼医療32.8%(同0.3ポイント減)▼介護8.2%(同0.1ポイント増)—という状況です。
 
 また社会保障給付費を機能別に見てみると、高齢者給付が最も多く55兆5820億円(同0.6%増)で、給付費全体の47.5%(同0.4ポイント減)を占めています。次いで保健医療の36兆7094億円(同0.6%増)が大きく、給付費の31.4%(同0.2ポイント減)を占めています。前年度に比べて「生活保護その他」給付(同16.3%増)、「家族」給付(6.3%増)の増加が目立ちます。

社会保障財源を見てみると、前年度に比べて9.0%・11兆1093億円増加しています。財源の構成(シェア)を見ると、▼社会保険料:51.1%(前年度比3.0ポイント減)▼公費:35.4%(同2.3ポイント減)▼その他収入:13.6%(同5.4ポイント増)—となりました。「その他収入」が大きく伸びていますが、これは公的年金制度の資産運用収入(株式投資など)が大きく増加したことによるもので、「安定財源」とは言えない点に留意が必要です。

GDPに占める社会支出の割合は22.19%(同0.03ポイント増)、国民所得(NI)に占める割合は30.54%(同0.24ポイント増)となりました。社会支出の対GDP比(22.19%)は、英国(2015年度22.65%)とはほぼ同水準で、▼フランス(2015年度32.12%)▼ドイツ(同27.13%)▼スウェーデン(同26.75%)—といった欧州の大陸諸国に近づいてきています。