日本全国の孤独死の3分の1は都内23区で起きている(2017年)と言われます。その数はこの18年間で4倍近くに増えており、都内23区では増加はより顕著で、10倍に膨れ上がっている(85人→862人)と報告されています。都内23区の全国人口比は7.6%でしかないのに、孤独死の割合は34.8%と都内に集中しているのです。人間関係が希薄な大都市で孤独死は起きやすい環境にあり、最近ではその傾向が増々強まっていると考えられています。地方から上京してきた(身寄りのない)団塊世代が高齢期に達したことも背景にあるのではないかと言われますが、そこにあるのは単身高齢者の「関係の貧困」。高齢者の「つながり」を創出する実践が全国で求められていると教育社会学者の舞田敏彦氏は訴えます。
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全国の孤独死の3分の1は東京23区で起きている
舞田敏彦(教育社会学者)
Newsweekjapan2018.09.26


 <この20年で激増する孤独死の背景にあるのは、単身高齢者の増加による「関係の貧困」>

アパート暮らしの単身の高齢者が増えているが、家主にとって怖いのが「孤独死」だ。入居している高齢者が孤独死した際、特殊清掃や遺品整理などの費用が下りる家主向けの保険が増えている。超高齢社会を迎え、家族の絆が希薄化している現状で、需要が増大しているのだろう。

このように社会問題になっている孤独死だが、数で言うとどのくらい発生しているのか。正確な統計はないが、厚労省の死因統計から近似値(相似値)を知ることはできる。「立会人のいない死亡」というカテゴリーの死亡者数だ。死亡時に立会人がおらず、死因が特定できなかったケースを指している。

2017年は2480人で、性別で見ると男性が1939人、女性が541人となっている。8割近くが男性だが、人付き合いをあまりしない人が男性では多いためだろう。