社会保障改革を議論する未来投資会議と経済財政諮問会議はいずれも首相が議長を務める会議であるが、重要な給付と負担を先送りし、枝葉末節の部分のみを議論する会議に期待は持てません。
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(社説)社会保障改革 「本丸」から逃げるな
朝日新聞社2018.10.14
 安倍首相がこれからの3年で断行するとした社会保障改革の議論が始まった。 将来の社会保障の姿をどう描き、必要な財源をどう確保するのか。医療、介護、年金、子育てなどの各分野を広く見渡し、「給付」と「負担」を一体で考える。そんな骨太な議論が期待される。

 だが、首相が「全ての世代が安心できる社会保障へ」と意気込むわりに、今の議論の進め方はばらばらで、テーマも限定的な印象だ。 議論が始まった未来投資会議と経済財政諮問会議はともに、首相が議長を務める。未来投資会議は主に成長戦略を議論する場だ。

社会保障改革もその一環と位置づけ、高齢者の雇用拡大や新卒一括採用といった雇用慣行の見直しを中心に検討するという。 経済財政諮問会議はすでに、給付と負担のあり方を含む重点政策の取りまとめを2年後に先送りすると決めている。当面は健康づくりや予防の推進などを中心に議論する予定だ。