地域包括ケアシステムの中で急性期病院としての役割をしっかりと果たすためには、周辺施設との連携をいかにスムーズに行えるかが鍵になる。埼玉県朝霞市のTMGあさか医療センターの取り組みは注目に値します。
地域全体が一つの病院となるという構想は今後地域において大変重要なキラーコンテンツになると考えられます。できればこれに介護までを併設することで、高齢化が進む地域医療の重要な拠点(ハブ)になるのは間違いないでしょう。
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地域全体がひとつの病院となる―TMGあさか医療センターの取り組み◆Vol.2
2018年11月21日 m3.com地域版
 TMGあさか医療センター(埼玉県朝霞市)インタビュー第2回は、地域連携の取り組みについて、院長の村田順氏、地域連携課課長の桑原圭介氏にお話を伺った。

地域包括ケアシステムの中で急性期病院としての役割をしっかりと果たすためには、周辺施設との連携をいかにスムーズに行えるかが鍵になる。連携課の業務は多岐にわたる。TMGグループ施設間の連携を強化するほか、地元のクリニックとの連携構築にも力を入れる。

■断らない医療で在宅医療を後方支援

 地域包括ケアシステムの中で、今後、在宅で療養する患者さんはますます増えていく。「急性期治療を終え、退院後は在宅で完結」というのが地域包括システムで提唱されるひとつの理想形ではあるが、実際には、例えば病状や家庭の事情などで、在宅療養では対応しきれないケースもある。そうした患者さんをいかにフォローできるかが今後の課題であると桑原氏は考える。早い段階で適切な急性期治療を受けることができれば、回復して、在宅復帰できる可能性も高いが、実際には、タイミングが遅れ、「もう少し早く来ていただけたら」と思うことも少なからずあるという。

TMGあさか医療センターでは、以前から地域のクリニックの医師が病院の施設や設備を利用できる「開放型病院」を運営しており、リニューアル後は専用病床を5床用意している。「開放型病院」とはクリニックの医師(開放型病院登録医)が自身の紹介した入院患者を診察することができる仕組み。患者の検査データを閲覧し、所見や治療上の意見をカルテに書き込むこともできる。これにより、センターの医師と患者の主治医が協同で患者を診ることが可能になる。現在、130名の医師が登録している。