福岡県で地域医療を支える情報ネットワーク「とびうめネット」が稼働しています。「地域が一つの病院」という大きな構想を進める上で、このような情報ネットワークは不可欠と考えます。「救急医療支援システム」「災害時バックアップシステム」、「多職種連携システム」「健診情報保存システム」の4つのとびうめネットの機能は先駆的な事例と言えます。このようなシステムが全国で普及できるなると良いですね。
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地域医療を支える情報ネットワーク「とびうめネット」―福岡県医師会医療情報システム担当・原 祐一常任理事に聞く ◆Vol.1
2018年11月21日 m3.com地域版
 急速に進む高齢化社会にあって、地域の医療提供体制を整えるための議論が各都道府県を中心に進んでいる。そんな中、福岡県医師会では、2014年4月から福岡県医師会診療情報ネットワーク「とびうめネット」という独自のICT(情報通信技術)を活用した医療連携システムを導入。その取り組みと効果について、福岡県医師会の原祐一常任理事にお話を伺った。

高齢化に伴い、一人暮らしの高齢者、在宅医療を受ける人が増加しています。特に福岡市は、高齢者の一人暮らし率が高いという特徴を持っています。そんな人たちが、体調が急変した時に救急病院へ行く、というケースが増加傾向にあります。私は現在、在宅医療に携わっていますが、高齢者は体調不良になると不安になって、すぐ救急車を呼んでしまうんですね。しかし、救急病院に突然来られても、何の病気を抱えているのか、どんな薬を飲んでいるのか分からないままだと処置に手間取ってしまう。そこで、ふだんその方が通っているかかりつけ医が情報発信源となって、救急をうける病院が病歴や服薬歴などの情報を受けとることができれば便利なのではないかと思ったのです。

とびうめネットには、4つの機能があります。一つは、「救急医療支援システム」です。かかりつけ医の責任のもと、患者の病歴や服薬歴などをデータ登録しておき、緊急時に運び込まれた病院が情報を共有できるシステムです。緊急時にどの医療機関に受け入れを希望するかは、患者の意向で登録します。

 病院で検査した結果のカルテを開業医に見せるのであれば、全国でも珍しくないことですが、「とびうめネット」はその逆のシステムで、そこが最大の特徴といえます。

 二つ目は「災害時バックアップシステム」です。近年では、水害や地震などの自然災害が多く発生しています。非常時にあたって電子カルテなどが破損してしまう可能性も大いにあります。それに備えて、レセプト情報や電子カルテを福岡県医師会のサーバーで保管しておこうというものです。こういうサービスは電子カルテのメーカーなどでもありますが、費用が発生する事が大半です。医師会ではそれを無料で行っています。

 三つ目は、「多職種連携システム」といって、クリニックの医師、訪問看護ステーションの看護師、調剤薬局の薬剤師などの間で、随時コミュニケーションをとることができるシステムです。いわゆるLINEみたいなものをイメージしていただけたらよいかと思います。

 四つ目は、2017年から始まった「健診情報保存システム」で、特定健診やがん検診など個人のデータを一括して、福岡県医師会のサーバーの中で預かるサービスです。

医師から患者へ直接案内しているほか、医師会のネットワークを利用しての広報活動やTV、ラジオ番組での情報発信などしています。参加数は年々増加しており、2018年10月2日現在での登録医療機関数は695施設、登録患者数は7862名です。