認知症問題が医療の場から社会へと急拡大しているのはわかりますが、問題は認知症研究が進化しないことです。高齢化に伴い認知症患者の増加が予測されますが、その抜本的対策が遅れる一方で、社会問題としての認知症問題が顕在化してきているのではないでしょうか?認知症の問題行動の解析とその対策が求められます。
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認知症問題、医療の場から社会へと急拡大【平成の医療史30年◆認知症編】
m3.com2019.1.17
 医療・臨床を取り巻く平成30年間を振り返る企画。平成より少し前の1985年、もともと心血管疾患の疫学研究として出発した久山町研究で、認知症の疫学調査が開始された。社会の高齢化で認知症が増加したのに伴い、1989年(平成元年)からは行政、医療現場、一般社会における認知症への対応が急速に拡大しつつある。(m3.com編集部・坂口恵)

 1989年(平成元年)はまだ「痴呆症」が一般的な呼称で、「認知症」への変更が厚生労働省や関連学会により提言されたのは2004年(平成16年)。国立長寿医療研究センター(当時・国立長寿医療センター)が設置されたのも同じ年だ。

 2000年(平成12年)には介護保険制度がスタートし、認知症の受け皿が医療機関から介護・福祉の場へと拡大した。2007年(平成19年)には、国立長寿医療研究センターがある愛知県大府市で起きた認知症高齢者の踏切事故により、鉄道会社が当事者の遺族に損害賠償を求める裁判が起きたり、高齢運転者による死傷事故が起きたりし、認知症に関する報道が盛んになってきた。2009年(平成21年)には改正道路交通法に高齢者の認知機能検査が導入されるなど、認知症は医療現場だけでなく、社会全般の問題へと急速に移り変わってきた。