京都の救護施設設置に地域住民が反対している問題について、何故、このような施設が必要かという行政の説明が不足しているという指摘です。そこに見えてくるのは制度のはざまにいる人を総合的に受け入れてくれる場所がなく、このような救護施設がなければ生きていく場所がないという人の増加なのです。行政だけではなく、地域全体で考えねばならない問題です。
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変わる生活保護救護施設の入所者像 京の隣市住民反対問題
京都新聞2019.1.19
 京都市が市中央保護所(下京区)を廃止し、京都府向日市との市境に救護施設を民設民営で整備することに向日市住民から反対が相次いでいる問題で、京都市の説明不足が指摘されている。なぜ、中央保護所を廃止するのか。入所者の変化に対応できていない現状が浮かぶ。

病や身体・精神障害、借金など1人当たり平均三つの課題を抱えており、自立が困難な人が増えている。ホームレスの人だけでなく、家賃滞納で賃貸住宅を追われた人、長年在院した精神科病院を退院したものの地域に受け皿がない人など、さまざまな生きづらさを抱えた人に対応しているのが現状だ。

救護施設は地域移行を支援する施設であり、入所者は買い物などで外出し、地域と交流することを通して経験を重ねる。救護施設は全国に188カ所、約1万7000人が入所している。入所期間が10年以上になる人が4割、40年以上の人も8%(全国救護施設協議会の2013年度実態調査)と、長期化が課題になっている。同調査によると、入所前の居場所は精神科病院34%、在宅31%で、野宿生活していた人は3%と少なく、司法施設からは1%にも満たない。