日本はこのままでは三流先進国どころが途上国に転落してしまうと警鐘を鳴らす、『日本人の勝算』(東洋経済新報社)の著者、デービッド・アトキンソン氏のご紹介です。氏が言われるとおり、このままでは日本沈没が現実のものとなってしまいます。その根底には世界に類を見ない人口減少社会を迎えてなおかつ、危機感が欠如している国民性があると指摘しています。このままでは茹でカエルになってしまいます。その切り札は最低賃金の引き上げ、ということです。是非耳を傾けたいお話です。
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日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている
最低賃金を上げ、自ら変わらねばならない

東洋経済2019.3.24
 東洋経済オンラインを愛読している読者の中にはご存じの人も少なくないだろう。『日本人の勝算』(東洋経済新報社)の著者、デービッド・アトキンソン氏は日本在住30年のイギリス人。現在は国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社社長として、日本文化をサポートしている。

そのような立場から、アトキンソン氏はこれまでにも自著を通じて日本の将来を案じてきたが、今回、その語り口にはこれまで以上の緊張感がみなぎっているようにも思える。

その場しのぎの楽観論を唱えている場合ではない
人口減少と高齢化が進む日本には大変厳しい未来が待ち構えています。これは脅しでもなんでもなく、人口動態などのデータを冷静かつ客観的に分析すれば見えてくる、ほぼ確実な日本の未来です。

今すぐにでも対応を始めないと、日本は近い将来、三流先進国に成り下がることは確実です。いや、下手をすると、日本は三流先進国どころか途上国に転落する危険すらあるのです。(「はじめに 日本人の勝算」より)

ところが日本国内に蔓延しているのは、「今までの仕組みを微調整して対応すればなんとかなる」というような、その場しのぎの楽観論ばかり。危機感がまったく伝わらないからこそ、アトキンソン氏としても焦燥感を禁じえないというわけだ。

根底にあるのは、人口減少・高齢化に対応するためには、全企業が賃上げに向かうことが不可欠だという考え方である。

諸外国に比べてより改革が必要なのに、先進国として日本は最も改革しにくい国だとも。、誰かが「日本人の変わらない力は異常」と言っていたことにも同感するのだそうだ。これだけの危機に直面していても自ら変わろうとしないのは、普通の人間の感覚では理解できず、異常以外の何物でもないと言い切るのである