ケアマネが担当できる利用者の上限を定める現在の制度ではケアマネの生産性は上がらないとする国際医療福祉大の高橋学部長の意見には一理あります。ケアマネの仕事はケアプラン作成と介護サービスの調整を含むコーディネーションの2つになりますが、ケアプラン作成をICTやAIを使うことで効率化することができれば、コーディネーションの仕事に力点を置き、一人のケアマネがみる範囲が広がるのではないかとのお考えです。その結果、ケアマネの生産性は上がり、報酬の1.3倍は十分可能であるとのこと。5年以内に上限撤廃を求めるお考えには賛成です。
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利用者数の“上限”、5年後には撤廃をVol.13 高橋泰/国際医療福祉大 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部長【後編】
ケアマネジメントオンライン2019.3.4
 現在、ケアマネジャー1人が担当できる利用者の数は、35人が事実上の上限となっている。高橋氏は、こうした業務上の制約が、介護の効率性を高めるICTやAI(人工知能)などを普及させる上での最大の障害だとし、サービスの質が低下しないことが実証できた場合は、現行の基準を撤廃し、1人のケアマネが担当できる利用者の数を増やす必要があると指摘する。「5年後にはそうならないと、2025年以降のさらなる高齢化には対応できない」―。高橋氏はこう警鐘を鳴らす。

ケアマネがAIの将来予測能力を利用すれば、質の高い自立支援型のケアプランを作成できます。さらにICTを使いこなすことができれば、ケアマネの仕事の効率は飛躍的に上がります。今後、ケアマネの仕事は、AIの将来予測を参照しながらケアプランを作成し、ICTを駆使してコーディネーションを行うという形に急速に変化することを期待しています。

ICTやAIを使いこなして多くの利用者に対処するか、これまで通りのやり方で仕事を続けるのか、ケアマネや事業所は、今後その選択が迫られると思います。

―100件というのは、10年先の話ですか。

いいえ、5年後にはそうならないと、2025年以降のさらなる高齢化には対応できません。働き方を変えることで仕事の生産性が劇的に上がれば、例えば、ケアマネの給料が1.3倍に増やすことが可能になります。賃金アップという前向きな視点で捉えないと、現場の人手不足は解消されませんし、将来の需要にも追い付けないと思います。