全国の大学で看護学部・学科の設置が増加の一途です。全国の大学の現在の看護師数は約156万人、年率+2%強で増加中。男性の看護師も急増中です。看護学部・学科のある大学数は1991年度にはわずか11校に過ぎませんでしたが、2018年度には263校へと約24倍に増加しています。これは、全国にある大学の約3.3校に1校が看護学部・学科を設置していることを意味します。看護師の約85%が勤務する「病院」「診療所」では、厚生労働省の旗振りの元、病床数の削減が進んでおり、将来的にはリストラの波が押し寄せるのではないかと懸念され始めました。増え続ける看護師を吸収するには、不足している訪問看護師への方向転換が不可欠です。
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大学の看護学部新設ラッシュ、看護師数がそんなに増えて大丈夫?
Yahoo!ニュース2019.5.11
 現在の看護師数は約156万人、年率+2%強で増加中。男性の看護師も急増中

まず、2016年現在の看護師(准看護師含む、保険師と助産師は除く。以下同)は全国で約156万人います。この看護師数はほぼ一貫して増加しており、直近10年間では年平均+2.2%の増加、人数にすると毎年3万人弱の増加です。

特に男性の看護師の増加が著しく、2004年の61,490人が12年後の2016年には106,333人へと+73%増加しました。しかも、国家資格である看護師に限れば約+2.2倍に増えています(38,028人が84,193人へ)。

とはいえ、男性の比率が未だ7%弱であることから圧倒的な“女性職場”であることは確かなのですが、男性の進出は着実に増えていると言えます。

大学の看護学部・学科の新設ラッシュが続く

この人気の高さを裏付けるのが、看護学部・学科を設置した大学(看護系大学含む)の急増です。ご存じの通り、少子化の影響を受けて多くの大学が学生数の確保に苦心しており、大幅な定員割れも珍しくありません。しかし、看護学部・学科の新設ラッシュは止まるところを知らない状況です。

看護学部・学科のある大学数は1991年度にはわずか11校に過ぎませんでしたが、2018年度には263校へと約24倍に増加しています。これは、全国にある大学の約3.3校に1校が看護学部・学科を設置していることを意味します。
しかも、最近では、医療系とは全く関係ない大学(たとえば工業大学)でも看護学部・学科を新設することが珍しくなくなりました。また、学生数(定員ベース)も1991年度の558人が2017年度には22,481人へと増加しており、今後もさらなる拡大が見込まれています。学生数の確保に苦しむ大学、言い換えれば、経営難に直面する大学にとって、看護学部・学科は必要不可欠というのは言い過ぎでしょうか? 

将来的には看護師にもリストラの波が押し寄せるという予測も

さらに、看護師の約85%が勤務する「病院」「診療所」では、厚生労働省の旗振りの元、病床数の削減が実施される見込みです。これが進むと、病院の経営が難しくなり、看護師人数の適正化が進むという見方もあります。今は不足している看護師ですが、一転して余剰時代が来るのでしょうか。