サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)が頭打ちの状態になりました。国交省は短期間で一定程度の普及を果たしたと評価しているようですが、その中身は当初の目論見とは大きくかけ離れているのではありませんか?当初は自立支援型として制度が設定されましたが、現実の入居者は要介護認定を受けた高齢者が7割を超え、自立高齢者は8.3%にとどまります。実態は介護施設となっている状態をどのように評価しているのでしょうか?自立支援型、介護型、医療型、ホスピス型と制度設計の見直しが必要なのですが、いつまでたっても方針は変わりません。現実と乖離していることに国はもっと目を向けねばなりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
登録制度スタートから7年半が過ぎたサ高住の実態は?~国交省「スマートウェルネス住宅推進事業」①
HOME'S PRESS(ホームズプレス)2019.5.28
 2018年度末(2019年3月末)時点で、登録されたサ高住は全国7,335棟、24万4054戸。国土交通省は「短期間で一定程度の普及」を果たしたと評価しているようだ。

高齢者住宅協会の「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析」(2018年8月末時点)によれば、サ高住の専用部分の平均床面積は22.1m2で、住戸の77.9%が原則基準の25m2に届いていない。専用部の設備も、キッチン、トイレ、収納、洗面、浴室の5点が揃っているのは20.5%にすぎない(※1)。

実際には、これらの必須サービスに加えて、96%のサ高住が「食事」を提供している。さらに61.6%が「健康の維持増進」、51.8%が「調理等の家事」、48.3%が「入浴等の介護」を行う。その一方で、介護保険サービスも提供する「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたサ高住は7.5%に留まっている(※1)。

入居費用(家賃、共益費、生活相談・見守りサービス費)は全国平均で月額約10.0万円。
三大都市圏は11.9万円、地方圏は8.6万円で、平均に3万円以上の開きがある。
国土交通省は、空き家などの既存ストックの改修活用を促したい構えだが、現状では、改修によるサ高住の供給はわずか6.7%にすぎない(2011〜13年の補助事業による供給数)。

60歳以上であれば入居可能なサ高住だが、現実の入居者は要介護認定を受けた人が7割を超え、自立高齢者は8.3%に留まる。サ高住は「介護施設」ではなく「住宅」だが、専用部の狭さや設備を考えても、「施設」に近いものが多いのが実態のようだ。