厚労省から指定介護サービス事業所に対する実地指導の運用指針が示されました。現状実施率が17%と低迷していることから、実際の実地指導における確認項目を半分以上減らし、少しでも行政の負担を減らすことで、実地指導件数を多くする方針に転換です。行政の負担が少なくなる分、事業所の負担も少なくなると良いのですが。
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介護事業所への実地指導 実施率向上への新運用指針〈厚労省〉
福祉新聞WEB2019.6.20

厚生労働省は5月30日、自治体が指定介護サービス事業所に対する実地指導の運用指針を示した。従来の実地指導より確認する内容を絞り込み、必要となる文書量を減らすことで、自治体と事業所の負担を軽減し、実地指導の実施率を高める。

 

 厚労省は、事業所指定の有効期間(6年)内に最低1回は実地指導を実施するよう求めているが、実施率(2017年度)は17%にとどまる。事業所が増加傾向にある一方、自治体で十分な体制がとれないことなどが原因だ。

 

 そこで厚労省は、実地指導の内容を縮減し、運用指針で新たに「標準確認項目」と「標準確認文書」を明示した。それ以外の項目、文書は原則求めないとした。

 

 それにより所要時間を短縮し、1日に複数の事業所で行えるようにする。また、過去の実地指導などで問題のなかった事業所は集団指導のみとすることも認める。

 

 事業所には実地指導の1カ月前までに連絡し、当日の流れも伝えておく。確認する文書は原則、実地指導をする前年度から直近の実績までの書類とし、事業所に事前または当日に求める文書は1部とする。利用者へのケア記録を確認する場合は原則3人以内とする。

 

 また、自治体担当者の主観による指導をしないことや、事業所と共通認識をもって適切な助言をすることなどを求めている。

 

 「標準確認項目」と「標準確認文書」は、訪問介護、通所介護、訪問看護、特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症グループホーム、居宅介護支援の7サービスについて示された。それ以外のサービスは「標準確認項目」などを参考に自治体ごとに検討する。

 

 「標準確認項目」には従業員数、サービス提供の記録、緊急時の対応、苦情処理などに関する項目がある。それぞれ従来より内容が縮減され、訪問介護は約90項目から36項目に、特養は約140項目から56項目に見直された。

 

 従来に比べて確認する内容が縮減されたことに厚労省は、「確認しない項目のリスクよりも、より多くの実地指導を行う方が重要だ」としている。