介護医療院への転換が進んでいません。19年3月時点で150施設と低調であり、その原因に行政のセクショナリズムの壁が指摘されています。全国では岩手、宮城、新潟、滋賀、和歌山、宮崎ではゼロであり、地域間格差が広がっています。最大の要因は自治体が介護医療院への転換が介護保険料の上昇につながることをその理由の第一に挙げている点です。この壁を破らないことには介護医療院は失敗するでしょう。
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介護医療院への転換に行政セクショナリズムの壁
~日慢協、移行定着支援加算の延長など6要望を整理

マイナビDOCTOR2019.7.25
 マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
日慢協が改めて療養病床から介護医療院への転換が進まない問題点を整理し、6つの要望をまとめました。背景には施設の充足を理由に開設申請を拒否する自治体があることや、事務手続きの煩雑さなど、行政ならではの閉ざされた「壁」があるようです。日本介護医療院協会の鈴木龍太会長は「対応に前向きな自治体でも物理的に時間がかかかっている」と補足しつつ、現行の算定時間には「到底間に合わない」と膠着せざるを得ない現状を訴えています。

日慢協が求めるのは、2021年3月31日を算定期限とする移行定着支援加算(93単位/日、18年度介護報酬改定で新設)の最低2年間の延長のほか、▽転換の事務手続きの迅速化▽都道府県の地域医療介護総合確保基金の適用範囲の拡大と介護医療院へのさらなる補助の検討▽介護保険運営主体の都道府県への移管▽介護保険料の一部市町村での高騰を抑制するための対応▽主に介護ニーズによって長期入院している患者の受け皿となっている医療機関を無くし、病院と介護施設の機能を明確化するため、財務省などの各省庁や国民へ働き掛け、社会全体の合意形成を図ること―の6点。