非正規雇用は全従業者の約38%に相当します。その非正規雇用労働者が貧困状況におかれ、生活保護予備軍として増加しています。このように、低賃金で無貯蓄の状態に置かれていれば、生活保護をいつ利用してもおかしくないのです。 NIRA総合研究開発機構のレポートによれば、就職氷河期におけるフリーターが増加することによって、今後77万4000人の潜在的な生活保護受給者が生まれると試算されています。非正規社員、フリーターにとっては生活保護は身近な制度として認識されつつあります。
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もはや「身近な制度」 非正規雇用のための生活保護入門
Yahoo!ニュース2019.6.9.13
 低賃金で無貯蓄の状態に置かれた「中年フリーター」が社会問題となっている。年金の貯蓄ができないために、年齢を重ねて働くことができなくなれば即座に生活に困窮してしまうだろう。

 そんな「中年フリーター」にとって、生活保護は健康保険や国民年金と同じように、「身近で有用な制度」である。ところが、生活保護制度についてはまだまだ誤解が多いことも事実である。

今日の日本社会では、35歳~54歳のうち、非正規雇用で働く「中年フリーター」は約273万人に上ると言われている。

 非正規雇用は働いているにもかかわらず、貧困状態に置かれている(ワーキングプア)。例えば、最新(平成29年)の賃金構造基本統計調査によれば、正社員の賃金321.6万円に対し、非正規の賃金は男女計平均で210.6万円である(ともにフルタイム)。


非正規女性に限ると189.7万円とかなり下がる。月当たりに直すと、男女計の平均が17.6万円である。なお、ここでの「賃金」とは、税金などが控除される前の金額である。
非正規雇用の拡大と軌を一にするように、貯蓄ゼロ世帯も増加している。日銀の外郭団体である「金融広報中央委員会」が実施している「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、2017年に金融資産のない世帯は、単身世帯で46.4%、2人以上世帯で31.2%に上る。