産業構造の中で、介護職の相対的地位の低さが指摘されます。景気が良くなり失業率が低下すると、介護就業者の数が減少し、介護サービスの質にマイナス影響を示すことが分析の結果、明らかになっています。景気が悪くなり、失業率が高いほど、介護老人保健施設における死亡率の低下傾向が確認されると指摘されています。給与を含めて介護職の相対的地位の向上を図ることが国民全体にとって必要なのです。
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マクロ経済状況が施設系介護事業所で働く介護労働者の供給に与える影響
経済産業研究所2019.9.14
 介護施設で働く労働者の数や職種は介護サービスの質に影響を及ぼすことが、多くの先行研究で指摘されている。介護サービスの質をより良くするための取組みを検討するには、介護施設で働く介護福祉士などの労働供給の決定要因を検証することが求められている。とりわけ、介護福祉士資格を有するものの介護産業で働いていない潜在介護福祉士の存在が指摘される中、介護福祉士有資格者を介護現場に呼び戻し、定着を図ることは、介護人材確保策を検討する上で重要な課題である。

都道府県レベルの集計データを使用した結果、失業率が高いほど介護老人保健施設における死亡率が低下する傾向が確認された。これは、米国のnursing homeのデータを使用した先行研究と一致する結果であった。回帰分析の結果、失業率が高まると、施設入所者あたり介護職員数は増加する傾向が示された。

介護福祉士の資格有無別にみると、失業率が高まると施設入所者あたり介護福祉士数が増加する傾向が示されたものの、介護福祉士資格を持たない介護職員数が増加する傾向は認められなかった。また、施設入所者あたり介護福祉士数が増加すると死亡率が低下する傾向が示された一方で、介護福祉士資格を持たない介護職員が増加すると死亡率が低下するという傾向は認められなかった。