難聴と認知症の関係は以前から指摘をされていました。英の医学誌「ランセット」が2017年に掲載した論文では難聴は認知症を引き起こす病気として糖尿病や高血圧を超えて最大のリスク要因として挙げられています。補聴器を脳トレーニングのツールとして早期に活用すべきことを専門家は訴えています。日本はイギリスに比べて補聴器の普及率が14%とイギリスの50%に比べて3分の1といわれます。認識を変えねばなりません。
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人は耳から衰える… 「認知症」「うつ病」を引き起こす「加齢性難聴」対処法
ニフティニュース2019.9.23
 ■人は耳から衰える! 「認知症」「うつ病」リスク増大の「加齢性難聴」(2/2)
 年齢を重ねることで聴力が衰える「加齢性難聴」患者は、1千万人以上と言われている。その影響は、単に耳のみにあらず。難聴は「認知症」も引き起こすとされ、英の医学誌「ランセット」が2017年に掲載した論文では、糖尿病や高血圧などを抑え、難聴を“最大”のリスク要因に挙げているのだ。対策はあるのだろうか。

「動脈硬化をはじめとする血管障害は難聴の原因となり得ます。というのも、内耳には細い血管が走っている。そのため、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病のせいで動脈硬化が進むと、血管から有毛細胞にエネルギーを運べなくなってしまうのです」(同)

 内耳の血流が悪くなるという意味では、喫煙にも注意が必要。1日にタバコを21本以上吸う人は吸わない人に比べ、高音域で「1・7倍」も聴力低下リスクが増すと報告されている。

しかし、前述したように、ひと度、加齢性難聴になれば不可逆的で、現代の医学では聴力を取り戻すことは不可能。特効薬も存在しない。

 そうしたなか、専門医は異口同音に「なるべく早く補聴器をつける」ことを勧めるのだ。慶應義塾大学医学部・耳鼻咽喉科教授の小川郁医師の弁。「難聴の人が補聴器をつけるのは単に耳に届く音を大きくするためではなく、脳をトレーニングして聞こえを補うため。その意味で、補聴器は脳のリハビリに他なりません」(同)

だが、理解不足から、現在の日本では補聴器が広く普及しているとは言い難い。

 実際、難聴者のうち補聴器を使用しているのはわずか14%。普及率が50%近いイギリスと比べれば3分の1にも満たない数字だ。