台風19号で浸水を起こした川越市の特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」の取り組みが全国で注目されています。120人の入居者をわずか2時間で全員移動させるという神対応に賞賛の声が上がっています。そのポイントは日ごろからの訓練と何よりも全員助けるという管理者以下職員全員の強い思いがあったと指摘されています。これだけ異常気象の多い今日、介護施設は最悪のことを想定した危機管理マニュアルの整備が必要です。
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屋根まで浸水した川越の老人ホームは、なぜ全員が無事避難できたか
Yahoo!ニュース2019.10.14
120人の入居者を2時間程度で移動

異常な降水量で、広範囲に浸水被害をもたらした台風19号。埼玉県川越市も、越辺(おっぺ)川の堤防が決壊し、浸水被害が広く発生しました。その川越市で、特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」は平屋建ての棟では屋根に達するほど浸水し、周囲から完全に孤立するという被害に遭っています。 老人ホームでこうした被害が起きると、悲しいことにこれまでは犠牲になる方が出ることがありました。ケアをゆだねた施設で、大事な家族が災害の犠牲になるなど、考えたくもないことです。
しかし、この施設では一人の犠牲者を出すこともなく、全員を無事避難させることができました。なぜでしょうか。報道の情報から考えてみます。
施設で深夜の夜勤帯に勤務する職員は、介護保険制度での人員配置基準でいえば、入居者120人規模の施設なら通常5人程度。20人以上の職員がいたということは、台風に備えて通常の夜勤者以外に多数の職員が泊まり込んでいたと思われます。この施設の災害対応への意識の高さを感じます。

日頃の備えが全員の無事避難を実現

家族のケアを委ねる立場からすると、120人もの入居者全員を、無事、スムーズに避難させたこの施設の浸水被害対応を、他の施設も参考にして対応を整備してほしいですね。
報道からの情報から、この施設が全入居者を無事避難させることができたのは次のような理由が考えられます。

  1. 年1回、避難訓練を行っており、避難の際の手順、職員が取るべき行動が身についていた
  2. 過去の浸水経験から、台風への危機意識が高かった
  3. 台風への対応について、行政と連絡を取り合っていた
  4. 異変に気づき、すぐに行動を起こした