年金と健康・介護保険を合わせた社会保険料率は報酬の30%に達しました。それなのに安心した老後を買うことのできないこの国の社会保障制度はどうなっているのでしょうか?頑張って働いたひとほど報われない社会保険の仕組みがあります。
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給料の3割も徴収されるのに「頑張って働いたひとほど報われない」社会保険の仕組み
【橘玲の日々刻々】
ダイヤモンド・オンライン2019.11.11
 消費税が2%上がったと大騒ぎしてるけど、厚生年金や健康保険の保険料がこの10年間で11%も上がったのに誰も文句をいわないのはなぜ?」という記事に、予想外に大きな反響がありました。そこで今回は、サラリーマンにとってさらに「不都合な事実」を紹介しましょう。

厚生労働省が国会審議もなしに保険料を大幅に引き上げたことで、年金と健康・介護保険を合わせた社会保険料率は報酬の30%に達しました。月給とボーナスを合わせた総報酬(年収)の3割が保険料として徴収されるのですから、サラリーマンが支払う保険料は年収300万円で年90万円、年収500万円で年150万円、年収700万円で年210万円になります。保険料は給与が上がるほど増えていき、厚生年金は年収約730万円、健康保険は年収約1600万円で上限に達します(保険料の上限は年約330万円)。

人生の大きな買い物としてマイホーム、マイカー、生命保険が挙げられますが、じつは「最大の買い物」は税・社会保険料なのです。

サラリーマン(男性)の生涯賃金を3~4億円とすると、社会保険料率は賃金の30%ですから、年金と健康・介護保険料として9000万~1億2000万円を支払っていることになります。もちろんこれは概算で、保険料には上限があり退職金に保険料はかかりませんが、それでもサラリーマンが生涯に1億円ちかい保険料を日本国に納めていることはまちがいありません。

さらに「不都合な事実」は、厚生年金保険料の半分(会社負担分)がまるごと国に没収されて、将来受け取る年金にはまったく反映されないことです。「ねんきん特別便」には、これまで納めた年金保険料として自己負担分しか記載されていません。

そのうえ、現役時代の手取り収入を厚生年金でどれだけカバーできるかを示す「所得代替率」は年収が高くなるほど下がります。厚労省の試算では、世帯所得月額15万円では所得代替率111.4%ですが、世帯所得55万円では49.2%と半分になってしまうのです(2014年水準)。