成年後見人制度について開始から20年になるにも関わらず問題だらけ。制度が進まないのには訳があるにも関わらず、制度の見直しが進まない。

任意後見への移行型で不適切事例について西日本新聞が「移行型を巡る不適切な金銭管理、利用者の費用負担の大きさ-。制度が広がらないのは、高齢者に分かりにくい仕組みだけが理由ではない。スタート時から指摘される課題が、今なお積み残されたままだ」と指摘し、いら立ちを隠せません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「転ばぬ先の杖」課題も 任意後見、移行型で不適切事例
西日本新聞2019.12.4
 任意後見契約にはいくつか種類がある。任意後見人になる人が本人と連絡を取り合い、後見開始のタイミングを見定める「見守り契約」を、任意後見と組み合わせるのが一つ。「将来型」と呼ばれる。

 ただ、不適切な事例が続くものもある。任意後見人になる人に、元気なうちから財産管理を任せる「任意代理契約」と、任意後見を組み合わせる形。元気なうちは任意代理で、衰えたら任意後見で。この「移行型」でトラブルが目立ち、長く問題視されている。

任意代理契約で父の財産を管理している母が、父が衰えたにもかかわらず、家裁で手続きせず任意後見を始めないという。

任意代理契約は、財産管理を任された人を公的に監督する仕組みがない。任意後見が始まらないと、仕事をチェックする機能は働かない。なぜ、公的な監視が任意後見後からしか始まらないのか。任意後見は内容を公正証書で作り、法務局で登記される。しかし、この時点ではあくまで本人と任意後見人になる人の「民と民」の契約。家裁に任意後見監督人の選任を申請するまで、公的機関が関与するルールはない。公との関わりが少ない自由さが、逆に不正の温床にもなっている。

事態を重く見た法務省は本年度、実態調査を始め、公証人や法務局への聞き取りを進める。担当者は「任意後見監督人が長く選任されない例などを調べ、実態をつかみたい」とする。