賃貸住宅のオーナーの立場から、老後に住める家がないと嘆く。問題を起こす高齢入居者と、頭を抱えるオーナーたちの話、それが「老後に住める家がない」太田垣章子著。「他人事ではなく、全国民の課題ということに早く気が付かねば、日本は大変なことになってしまう」と警鐘を鳴らす。商品としての賃貸住宅は高齢者仕様にはなっていないのである。

【不動産投資本】「老後に住める家がない!」高齢者の住居問題に大家はどう対処すべきか?
健美家株式会社2020.1.12
不動産業界で活躍する司法書士の太田垣章子氏の新刊だ。『老後に住める家がない!明日は我が身の“漂流老人”問題』という題名から、「年を取ったら賃貸物件は借りにくいので早めに住まいの準備をしておこう」という賃借人向けの本かと思いきや、そうではない。

長年にわたる滞納、老朽化した建物からの退去拒否、ゴミ部屋、孤独死後のイザコザ…。ページをめくるたびに登場するのは、問題を起こす高齢入居者と、頭を抱えるオーナーたち。この本を読んで多くの学びを得るのは、賃借人よりもむしろ、不動産オーナーの方だろう。

著者の主張は一貫している。「他人事ではなく、全国民の課題ということに早く気が付かねば、日本は大変なことになってしまいます」「たとえば国はシェルターなり、住む場所を失った高齢者の一時受け入れ先を準備すべきです」「社会全体で、高齢者を受け入れる体制をと整えていかねばなりません」。

あらためて言うまでもなく、日本の高齢化は進んでいく。賃借人も自分自身も、年を取る。不動産オーナーとして、この先、高齢者とどう向き合うのか。そして、この問題のために何ができるのか。本書は多くのオーナーに、避けて通れないこれらの課題に、真剣に向き合うきっかけを与えてくれるだろう。