大阪・西成で介護事業を営む会社「シクロ」がブルワリー(ビール醸造所)を始めた。ブルワリーでは身体や精神に障がいを抱える人、あるいは元薬物依存症や元アルコール依存症の人が数多く働いているという。考えられないことが西成で起きている。ある種の革命である。大阪の西成を拠点とし、まさに人々の拠り所となっているこのブルワリーを、英紙「ガーディアン」が取材した。注目せねばならない。
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英紙が注目! 大阪・西成で“介護会社”が営む「新進気鋭のブルワリー」
Yahoo!ニュース2020.2.21
 国内外で数々の賞を受賞しているクラフトビールの会社「ディレイラ・ブリュー・ワークス」では、身体や精神に障がいを抱える人、あるいは元薬物依存症や元アルコール依存症の人が数多く働いている。大阪の西成を拠点とし、まさに人々の拠り所となっているこのブルワリーを、英紙「ガーディアン」が取材した。

銀行から融資を受け、好意的なブルワリーからビールの造り方を教えてもらい、ディレイラは2018年に最初のビールを製造した。このアメリカンペールエールは、「西成ライオットエール」と名づけられた(「ライオット」は英語で暴動、あるいは色や音の氾濫を意味する)。

かつて西成では、不満のたまった日雇い労働者と警察、暴力団のあいだで暴動が起こり、そのせいで1990年代には西成に近寄ってはならないという悪評まで立ってしまった。「西成ライオットエール」という名前は、この暴動、そしてこの地域に宿泊する様々な人種や国籍のバックパッカーの両方を意識したものだ。

ディレイラは70人の労働者を抱えており、その多くが身体障がい、または知的障がいをもっている。彼らは実地訓練を受け、醸造やラベル貼り、販売、配送だけでなく、ブルワリーが経営する3つのパブ(そのうちは2つは大阪にあり、もう1つは名古屋の市街地にある)で食べ物やお酒を提供する業務に従事している。

ディレイラは現在、既存のブルワリーに新たに40人の従業員を迎え、さらに6月には大阪にブルワリーを開いて生産量を4倍に増やすことを計画している。

「西成では一種のジェントリフィケーション(富裕化)が起こっています。ですが、日雇い労働者がこの地を追われているというわけではないんです」と山﨑は言う。

「彼らは西成にとどまり、新たにこの地にできつつある会社で働くことを促されています。日本にはほかにこんな場所はありません」