コロナウイルスは究極的な細菌兵器かもしれない。国防費という概念が崩れていく。目に見えない敵に抗うすべもなく、軍人の代わりに医療従事者が国を守る最前線に立つ。社会や国を支えていた概念がコロナウイルスによって覆させられる。特に、医療・看護・介護従事者の位置づけの再定義や報酬体系の見直しは不可避となるであろう。
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兵士に代わり「社会のヒーロー」になった医療従事者
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年3月28・29日付)
JBpress2020.3.31
 英国では、医療への支出が1990年頃に防衛費を上回った。世界全体で見ても医療支出はうなぎ登りで、今日、先進国ではそのGDP比が平均で9%に達している。
調査会社イプソス・モリの調べによれば、昨年11月の英国で最も信頼されている職業のベスト3は看護師、医師、歯科医だった。政治家は最下位だ。パンデミックのせいで、医療従事者崇拝は急激な盛り上がりを見せている。
国家の主たる目的は、医療従事者に必要な資材を提供することになった。

 かつて爆撃機の製造を託された英国の工場が、今では人工呼吸器を作っている。国家の軍隊も、補助的な医療部隊として再編成されつつある。
経済協力開発機構(OECD)は、医療への支出は長期にわたって増加し続けると予想している。

 いずれは国が医療従事者の給料を引き上げたり、比較的貧しい国の医師を(遠隔診療も次第に導入しつつ)傭兵のように雇ったりするかもしれない。

 医療従事者を補助する仕事も増えていくだろう。