緊急事態宣言が徐々に解除され、病院の外では通常の生活が戻りつつあるが、他の医療機関が拒否した新型コロナ感染患者を一心に受け入れ、今この時も最前線で治療している病院がある。神奈川県聖マリアンナ病院。ダイヤモンド・プリンセスの新型コロナ感染者を受け入れて以来3ヵ月、同病院は新型コロナ患者を積極的に受け入れ治療をしてきた。我々はこの病院を忘れてはならない。このような医療関係者によって最後の砦が守られていることを。
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焦点:「解除の日」遠い医療現場、聖マリアンナ病院の葛藤
Newsweekjapan2020.5.22
神奈川県の聖マリアンナ医科大学病院。新型コロナが世界で猛威を振るう中、同病院は他の医療機関が拒否した患者を次々と受け入れ、この感染症と戦う医療最前線の象徴的な存在となっている。

同チームで働く医師や看護師たちは、時には防護服に身を固め、人生が絶望へと暗転しかねない患者の治療に格闘している。緊急事態宣言が徐々に解除され、病院の外では通常の生活が戻りつつあるが、取材から見えてきた病院の姿は異なる世界だった。

コロナ禍を封じる最後の砦である医療現場では、終息の兆しが見えない現実が今もなお続いている。

<「我々が逃げたら、誰がやるのか」>
4000人近い乗客を乗せて横浜港に停泊中、集団感染を起こしたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。その患者を率先して受け入れたのは聖マリアンナ病院だった。以来3カ月、同船を下船した乗客も含め、同病院は新型コロナ患者を積極的に治療してきた。特にICU(集中治療室)に収容した重症者と中症者の数は、国内の病院では最多規模の約40人に達している。

このコロナウイルスの特別な危険性を考えれば、スタッフが及び腰だったのは無理もなかったと平教授は言う。

「(コロナ)にかかる確率は高い。だけど医者になった以上、仕方がない」。そして、スタッフにはこう付け加えた。「自分たちが逃げだしたら、一体誰がやるんだ」

多くの国が封鎖措置を終わらせようと模索する中、聖マリアンナ病院の医療スタッフは、世界中のICUで働く人々と同じく、終わりが見えない現実に向き合おうとしている。企業は経済活動の再開を切望し、市民の多くも元の生活に戻ることを望んでいるが、それによって感染者がどれほど増える危険があるのか、最前線の医療従事者にも分からない。