淑徳大学結城康博教授が新型コロナ第二波を乗り越える介護制度について提言している。先日も財務省が介護従事者に給付を行うのに消極的であったと報じられていた。飲食店や小売業に従事する人も通勤者も同じ感染リスクにさらされているのに何故、特別に給付をせねばならないのか、といったもの。結城先生は公共財という意識の強化がこれからの第二波に向けて強化をせねばならないと訴える。その通りであろう。財務省を始め政府の認識の甘さはこの一点に尽きる。

先生の提言に触れておく。
 「今回の新型コロナ問題は「市場経済」の「もろさ」を露呈させたといっても過言ではない。飲食店や小売業者といった「私的財」とも言えるサービス部門へ「休業補償」「家賃補助」という形で公的資金が投入されることは、「市場経済」の限界を社会が認識したことにもなる。まして医療・介護といった「人」の命に関わるサービスは、常時、「公共財」としての認識が必要であり、第2波・第3波に備えての財源措置を継続して講じていくべきである」

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新型コロナの第二波を乗り越える介護制度とは
結城康博 (淑徳大学総合福祉学部教授)
WEDGE Infinity2020.5.30
 新型コロナ問題において緊急事態宣言が解除され、収束の道筋を描き始めている社会ではあるが、介護現場の苦悩は続いている。国も第2次補正予算により支援を図っているものの、最重要課題となっている介護職員の「確保」と「定着」への処方箋には至っていない。

政府は今回の第2次補正予算で、全ての介護系スタッフに、「慰労金」として一律5万円を支給することを決めた。確かに、医療従事者への財源措置や診療報酬アップと比較して、介護分野への財政出動は少ないかもしれない。しかし、第1次補正予算ではクラスターなどが生じた介護事業所のみにしか給付されなかったのに対し、第2次補正では一律給付となったことは高く評価したい。感染者を発生させない日々の介護スタッフらの業務は、かなりの負担を強いられ重労働であった。

現行の社会保険制度に基づいた「市場経済」による介護事業収入では、人手を確保・継続させるには限界がある。緊急事態宣言が解除されても、ワクチンや特効薬の開発がない限り、真の意味での「収束」とはならず、厳しい環境下での介護サービスは必要とされる。介護業界を継続させるためには、新たな人材を参入させなければならず、そのためには大幅な介護報酬アップが不可避であり、介護事業所の収入を増やしていく必要がある。継続した財政出動が求められる。