新型コロナは日本の格差社会の深刻さを露呈させた。早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授は『社会の機能を守るために最前線に立つ「エッセンシャルワーカー」の多くが低賃金の非正規雇用という不安定な立場におかれ、この土台の上に超高齢社会が成り立っていることの危うさに気付くべきである』と警告する。今方向転換をしなけば格差社会は更に拡大し、階級社会へと定着し、第2波、第3波のコロナに耐えきらない社会が生まれるのではないかと危惧する。世界は大きくかじ取りを変え始めているのに日本はいまだその姿が見えてこない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない
auone.jp2020.6.30

新型コロナウィルスの感染は続いているものの、多くの人々は「普通」の生活を次第に取り戻しつつある。そんな「ウィズ・コロナ(withコロナ)」の社会状況を前に「このまま放っておくと、格差拡大が加速する」と警鐘を鳴らす社会学者がいる。

早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授だ。『アンダークラス 新たな下層階級の出現』『新・日本の階級社会』などの著書を持つ橋本教授は、コロナ後のどこに危機感を抱いているのか。

橋本教授は、資本主義社会のいちばん下に位置してきた労働者階級のさらに下に、より雇用が不安定で低賃金の非正規雇用労働者らで構成される「アンダークラス」が日本で生まれたと指摘している。これによって極端な格差が構造的に固定されるようになり、そうした状態を「格差社会」を超えた「階級社会」と定義し、その解消を訴えてきた。

橋本教授は、コロナ後の社会で最大の懸念は雇用だと言う。とりわけ、非正規労働者の状況を危ぶむ。

「社会の機能を守るために最前線に立つ『エッセンシャルワーカー』についても、医療専門職の中の正規雇用を除くと、多くが低賃金で非正規雇用といった不安定な立場です。現場に出ざるをえないがゆえにコロナ感染のリスクも高いのに、コロナ禍で、いざというときに国は助けてくれないことが明らかになりました。今後、エッセンシャルワーカーの分野では大変な人手不足に陥り、介護分野などは維持できなくなる可能性が高いです」