住宅業界も大変なことになっている。20年度の新設住宅着工戸数は73万戸と当初予想の85万戸よりも大幅に下方修正。新型コロナの影響でリーマン・ショック時を下回る見込みとなった。人口減と高齢者急増で空き家は増える一方でも、何とか維持してきた住宅産業も、コロナショックで更に落ち込むことになった。とりわけ心配なのは職人の高齢化と需要減少で廃業する動きが加速度化していることである。コロナ後の自然回復が見込めなくなる。
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20万戸の新設住宅需要が蒸発、住宅業界サバイバル戦
日経ビジネス電子版2020.6.30
2020年度の新設住宅着工戸数は新型コロナウイルスの影響でリーマン・ショック時を下回る――。野村総合研究所は、2020年6月9日に発表した「2020~2040年度の新設住宅着工戸数」でコロナ禍の影響を分析した。85万戸とみていた20年度の新設住宅着工戸数を73万戸と大幅に下方修正。この数値は過去30年で最も少なかったリーマン・ショック後の78万戸を下回る。影響は21年度にも及び、新設住宅市場は2年で20万戸の需要が蒸発すると予測する。分析チームの榊原渉上席コンサルタントに、厳しい予測の背景を聞いた。

榊原渉氏(以下、榊原氏):住宅市場にとっては厳しい2年間となるでしょう。20年度はコロナ禍の影響がない場合に比べ12万戸減少(85万戸が73万戸に)、21年度は同8万戸減少(82万戸が74万戸に)を予想しており、合わせて2年間で20万戸の新設住宅の需要が失われます。

 需要のへこみは一時的となり、22年度からは需要が回復するとみていますが、この苦しい2年間が住宅業界の構造を変えてしまうのではないでしょうか。例えば、住宅建築に携わる職人の問題。現場では職人の高齢化が問題となっています。需要急減で働く現場がなくなることで、この機に廃業しようという動きが加速するかもしれない。