コロナの影響で孤立する高齢者の数が増え続けている。デイサービスに通えず、訪問介護にも制約があるとすれば、介護の必要な高齢者は増加する。更に見守りが必要な高齢者との交流も地域では制限され、結果として孤立、孤独死といった最悪の状態が発生する。一人暮らしの高齢者は全国で600万世帯を超え、2040年には896万世帯に増加し高齢者世帯に占める割合は4割に達する見込みという。人は一人では生きていけない。コロナは超高齢社会で社会基盤が弱体化するなか、社会的弱者を容赦なく襲う。
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コロナ禍と要支援者/見守り態勢に盲点はないか
河北新報2020.7.5
 感染防止を優先するあまり、死角が生じたのだろうか。
 南相馬市で5月13日、1人暮らしの60歳代男性が自室で病死しているのが見つかった。周囲が異変に気付かなかった孤独死。死後2カ月程度経過したとみられている。
 男性は東京電力福島第1原発事故で福島県浪江町から避難し、南相馬市の県営災害公営住宅で暮らしていた。
 浪江町社会福祉協議会が定期的に安否を確認してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月中旬から戸別訪問を中断。発見が遅れたという。
 感染防止と周囲の見守りが必要な人の生活支援。南相馬市の例は、この二つを両立させることの難しさを見せつけた。だが、同時並行して取り組まなければならない。

 1人暮らしのうち、高齢者は全国で600万世帯を超える。2040年には896万世帯に増加し、高齢者世帯に占める割合は4割に達するとの予測もある。
 生活支援を担う民生委員らも高齢化が進み、慢性的に人手が足りない。国は現場の課題解決を先送りすることなく、人材育成をはじめ支援態勢の再編に力を入れるべきだ。

 外出自粛要請を受け、心身に深刻な影響を受けている人も増えている。例えば、デイサービスを利用できず、認知症の度合いが進んだり、家に閉じこもりがちになり、運動不足で持病が悪化したりしたケースだ。
 外出自粛中は、民生委員や地域住民らによる戸別訪問、災害公営住宅での交流イベントが中止になった。このため、周囲が体調の変化に気付かず対処が遅れることもあった。