熊本県南部の豪雨災害で特別養護老人ホームが被災、球磨村の特養「千寿園」では14人の犠牲者を出した。芦北町花岡の特別養護老人ホーム「五松園」も同様に被災したが、こちらは約90人全員を救済できた。その違いはどこにあったのか?いくつもの奇跡が重なるが、水位が一定の高さで止まったことで時間が稼げたこと、当直勤務5人の内、男性が3人であったことなどが挙げられる。90人もの高齢者を5人で暗闇の中、短時間に二階に運ぶことができたことは奇跡としか言いようがない。
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迫る濁流「命守らんば」 職員5人、90人救う 熊本豪雨、芦北町の老人ホーム
kiji.is2020.7.8
「絶対に全員助けるんだ」-。熊本県南を猛烈な雨が襲った4日未明、芦北町花岡の特別養護老人ホーム「五松園」に、佐敷川や湯浦川からあふれた濁流が押し寄せた。床上80センチまで浸水する中、当直の介護士ら職員5人が入所者を一人ずつ抱えて2階へ運び上げ、約90人全員の命を守った。

入所者全員の無事について、岩間睦生副施設長(62)=同町湯浦=は「濁流が一気に流れ込まなかったことや、当直勤務5人のうち3人が男性だったこと、水位がなんとかベッドくらいの高さで持ちこたえたことなど、いくつもの奇跡も重なった」と強調する。

 「水位があと10センチ高ければ、どうなっていたか…」と松永さん。球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」では入所者14人が亡くなった。「職員は、私たちと同じ思いで、入所者を必死に避難させていたと思うと…」と言葉を詰まらせた。