昨年11月、キャンセルや待機時間に賃金が支払われないことは労働基準法に違反しており、それは介護保険制度に問題があるからだとして、国への訴訟を提起した当事者グループがホームヘルパーにアンケートを実施した。そこから見えてくるホームヘルパーの苦境。コロナ禍の中で崩壊寸前の実態が明らかになった。
「もはや個人の努力、事業所の努力では乗り越えられないところにまで来ている。介護士の雇用環境を守らなければ」という切実な思いからの提訴であった。藤原るかさん、伊藤みどりさん、佐藤昌子さんらベテランヘルパー3人が国を相手に起こした損害賠償請求訴訟。現在、第1回口頭弁論が終了した。
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猛暑でも自転車で移動、利用者宅では感染リスクで崩壊寸前 ヘルパーが明かす苦境
Yahoo!ニュース2020.8.14

現在ホームヘルパー当事者グループが実施している「ホームヘルパー働き方アンケート」の声をまとめるとこのような感じになるだろうか。ホームヘルパーは全国に約35万人、平均年齢は57歳で9割が女性であると言われる。

コロナ禍ではエッセンシャルワーカーに注目が集まり、困難に直面する介護現場についてもたびたび報道されていた。しかし介護士たちはコロナよりずっと以前から困難な状況に直面し、現場は崩壊寸前であることがわかってきた。

収入の増減については、変わらない65%、増えた8%、減った22%。感染リスクからヘルパーを断る利用者がいて仕事が減った一方、みずから休業した高齢のヘルパーの穴埋めをすることになり仕事が膨大になった人もおり、状況はさまざまだった。

コロナウイルスへの感染症対策については8割が負担であると答えている。また6割が手袋やマスクなどについて「足りなかった」と答えており、ドラッグストアに並ぶなどして自分で調達した人も多かった。

一方、「事業所等でのコロナウイルス感染対策の研修を受けた」と答えた人は37%、研修自体がなかった人が46%。もともとの人手不足に加え、コロナによる混乱で研修を実施する暇もなく現場に行かざるを得なかった人が多かったことが推測される。

介護現場の切実な状況が伝わってくるものばかりだ。現在、ホームヘルパーの求人倍率は13倍。つまり1人に対し13の求人があるほどの超人手不足状態が続いていることになる。このままホームヘルパーの厳しい労働環境が続けば、ヘルパーになる人はさらに減り、介護現場は確実に崩壊する。誰にとっても他人事ではないはずだ。