認知症研究の権威、長谷川和夫先生が認知症になったというショッキングなニュースが流れて3年、ご子息の精神科医師の長谷川洋先生が近況をお話されている。デイサービスに通われ、平穏な日々を過ごされている様子で一安心です。「認知症になっても、今できることを楽しむ姿勢」や「今が一番若い、今を生き抜く、そして人様のお役にたちたい」という先生のお考えは今も健在。認知症になっても先生は認知症研究第一人者です。
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91歳の認知症研究の権威・長谷川和夫さん。「『今』が一番若い」。息子に託した思いとは?
Yahooニュース2020.9.22
「長谷川式簡易知能評価スケール」の開発者としても知られる長谷川和夫さんが、自ら認知症であることを公表したのは2017年、88歳のとき。それから3年以上が経ち、徐々にではあるけれど進行している認知症。同じ精神科医でもある長男の洋さんは、現在の父の姿を通してどんなことを感じ、学んでいるのでしょうか。

洋さんが特に実感したのは、和夫さんが一人ひとりの名もない人たちの人生を、いかに大切に考え、尊重して治療にあたってきていたかということだそうです。

「認知症になって、父は自分の人生を振り返るような本を出版させていただきました。それが父はとてもうれしかったようで、『この喫茶店のマスターの人生も、本になるといいのにね』『理容師の〇〇さんの人生も、近くの薬局の△△さんの人生も、みんな本になるといいのに』と繰り返し言うのです。父は認知症の治療も、常に本人を中心にした『パーソン・センタード・ケア』という考えを実践していました。すべての人に掛け替えのない人生があり、それは認知症になっても決して変わることがないのだ、という考えですね」

そしてもうひとつ、「認知症になっても、今できることを楽しむ」という姿勢もまた、洋さんが和夫さんから学んだ大切なことだと言います。

「ボクの気持ちの上では、『今』が一番若い。5分あとに比べれば、『今』が1番若いわけだ。ボクはね、『今』を生き抜く。そして人様のお役に立ちたいんだよ」