グループリビングの落とし穴














自宅と施設の中間施設として再びグループリビングが注目を集めつつある。今回紹介されたのはセーフティネット住宅制度を使った民家改造型のシエアハウスである。確かニーズはあり、対象となる物件もたくさんありそうだ。しかし、グループリビングは簡単ではない。我々もチャレンジしたことがあるが、思わぬ落とし穴がある。高齢者同士がシエアをして助け合いながら暮らす、その考えは理想であるが、加齢に伴うADL低下のスピードが速いのである。我々が取り組んだグループホームでは9人の内、半数が3年以内に認知症となって共同生活が困難となった。加えて、そのようなグループリビングは有料老人ホームとみなされ、ハードとソフトの制度の制約が出てくるのである。出口戦略を同時に考えた対策を事前に考えていなければ破綻をしてしまう。
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空き家をリノベした「セーフティーネット住宅」、高齢者の住まいの選択肢に
マネーWEB2020.11.28
高齢者の住まい選びは重要な問題である。介護スタッフが常駐する老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、比較的知られた選択肢だ。一方で、いまは制度として位置づけられていないが確かなニーズがあり、ジャンルとしても確立しつつある高齢者の“もう1つの住まい方”がある。

 個人用の居室と共同生活空間で構成される住宅で、高齢者同士が助け合いながら暮らす「グループリビング」などはその代表格だろう。他にも、視野を広げればさまざまある。「もうひとつの住まい方推進協議会」代表理事の小林秀樹さんに聞いた。

「高齢者の住まいを考えるとき、【介護】【経済】【情緒(生きがい)】の3つの要素が重要です。いま多くの高齢者の選択肢は自宅か介護施設。自宅は独居になれば不安が大きく不経済。施設は、介護は重視されるが介護事業者が運営しているので生活は受け身。空きがある民間施設は費用も高い。選択肢がこれだけでは将来が不安になります。

 そこでもう1つの選択肢。同じような立場、考えの人が集まって暮らすグループリビングは、介護保険サービスを使えば【介護】と【情緒】(安心)が。さらに発展形として、たとえば独居の広い一戸建てに4~5人が共生すればかなり安上がり【経済】で、三拍子揃います。グループリビングは制度の枠を先取りしている住まい。いずれは福祉支援制度の中に位置づけられることを期待しています」