コロナ関連死は超過死亡にはならない














医療費が60年ぶりに対前年2~3%の減になった原因は複雑である。コロナ感染死者数は既に7746人、自殺者数は11年ぶりの増加で2万919人となり、コロナの影響は無視できない。しかし、一方、医療費は対前年2~3%の減となっている。

マイナス要因は、コロナ禍の受診控えとみられるが、コロナは日本の医療の仕組み、医療供給体制の見直しを求められるものとなった。小児科診療費の減少は「コンビニ診療」の見直しを指摘、耳鼻咽喉科はマスク着用による予防の重要性を指摘、外科は外出自粛による交通事故の減少などが指摘され、従来の医療の在り方を大きく変えるものとなった。特に感染防止によるインフルエンザの減少は大きいと言われる。

又、死亡者数はこの約10年間増加傾向であったが、2020年は前年対比3万人減少したというのには驚く。その理由に上記の影響がみられ、結果としてはコロナ関連死を減少が上回ったということになるのか。結果として超過死亡には至らなかったという。しかし、これからであろう。自粛がもたらす介護度の上昇を含めて、後遺症がもたらす新たな死の増加も懸念される。
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医療費が過去60年で例のない減少となった真因 「コロナ禍の受診控え」だけで片づけられない
Yahoo!ファイナンス2021.2.25  
2020年度(2020年4月~2021年3月)の国民医療費が、前年度から2~3%台の幅で減少しそうだ。このような大きな低下は、国民皆保険となった1961年4月(1961年度)からの60年間で初めてである。  

この理由は、「新型コロナウイルス感染症の流行に伴う病院の受診控え」とされているが、実際にはそれほど単純ではない。背景には、新型コロナウイルス感染症対策の結果、ほかの感染症が大きく減少するなど、疾病構造が急激に変化したほか、受診の一部にあった「不要不急」のものが顕在化したことがある。  

医科に分類される概算医療費を入院と入院外(外来など)に分けて比較すると、入院のほうが減少幅は小さい。患者・国民において外来のほうが「不要不急」とされたのであろう。  

特徴的なのは、診療科によって影響の程度が違うことだ。医科診療所のレセプトの点数に基づく2020年4~11月の前年同月比(前出の社会保障審議会医療保険部会資料)は、皮膚科、産婦人科がほぼ前年並みであるのに対して、小児科(単純平均で前年同期比27.8%減)、耳鼻咽喉科(同26.4%減)、外科(同11.4%減)のマイナス幅が大きい。  

全国どこに住んでいても、中学生までであれば医療費の自己負担は非常に少なくてすむようになっている。それは福祉施策・少子化対策になるなど、さまざまな意義があるが、安易な受診、いわゆる「コンビニ受診」をもたらす側面もある、と指摘されている。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で「コンビニ受診」が減ったことも小児科に影響した、とみられている。  

2020年の春からマスクの着用が当たり前になったが、それが花粉症の予防につながり、耳鼻咽喉科の患者が減った、と推測される。また、耳鼻咽喉科の場合、ファイバースコープを使った独特の検査があり、これによる感染を患者側が恐れ、受診抑制につながっている、という見方がある。  

新型コロナウイルス感染症対策としてのさまざまな「自粛」や緊急事態宣言の発令は、交通事故の減少をもたらした。警察庁の調べによると、2020年において交通事故の件数は前年比18.9%減。負傷者数(36万9476人)は20.0%減、死者数(2839人)は11.7%減少した。その影響もあって外科の受診が減った、とみられている。  2020年度の国民医療費の動向は、本当の医療ニーズをあらわす。すなわち、インフルエンザをはじめとする感染症が減るなど疾病構造が変化し、受診行動も変化した。

■「受診抑制」は健康悪化につながっていない
 また、「受診控え」あるいは「受診抑制」とも呼ばれる国民の行動は、短期的に見て、健康の悪化につながったわけではない。例えば、厚生労働省が今年2月22日に公表した人口動態統計速報によると、2020年の死亡数は138万4544人で、前年比0.7%(9373人)減。これは11年ぶりの減少である。  

この約10年、高齢者の増加を背景に、死亡者数は毎年2万人前後の増加を続けていただけに、2020年は実質的には死亡者数が約3万人減少した、と見ることができる。新型コロナウイルス感染症による超過死亡などはなかった、と考えるのが妥当だ。  

新型コロナウイルス感染症の流行を契機とした「新しい生活様式」が続くのであれば、疾病構造も確実に変わっていく。それを踏まえて、医療の仕組み、医療提供体制も変えていかなければならない。国民医療費の動向は、そのための指標になる。