牛語句の介護人材不足














中国の高齢化は日本に遅れること30年というが、実態はほぼ日本の2000年の介護保険前夜であろう。その中国で既に介護人材不足が大きな問題となっている。その環境は驚くほど日本と近い。現状要介護者4000万人に対してヘルパーはわずか30万人というのが実態。中国政府は積極的に人材育成に取りくもうとしているが、重労働の割に待遇が悪く、社会的地位も低いので若手に敬遠されているという。都市部から農村部へと今後高齢者が急増する中で、人材確保とより専門家の育成が重要となっている。中国がこの問題をどのように解決するのか注目である。日本の20年の介護の研究を踏まえ、恐らくこの分野でもAIを含め、デジタル化によるより生産性の高い新しい介護ビジネスモデルの開発が一気に進むのではないかと予測する。
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介護人材不足が深刻(中国)
ジェトロ(日本貿易振興機構)2021.3.30  
中国の高齢者数(65歳以上)は2019年末現在、1億7,600万人。日本の総人口を上回る規模だ。  
高齢化率は12.6%となっている。2001年に7%(高齢化社会)に達し、2026年に14%(高齢社会)、2038年には21%(超高齢社会)に達する見込みだ。中国では、高齢化が急速に進んでいる。  

要介護者数4,000万人に対し、ヘルパーは30万人  
中国国内の要介護者数については、定期的に統計として発表されていない。ただし、政府や有識者の間では約4,000万人という数字が広く使われている。一方で、ヘルパーの数は約30万人にとどまる。介護人材不足が深刻と言える。  

現状では、介護の主な担い手は農村部や都市部の比較的貧しい家庭の40~50歳代の低学歴の中年女性だ。介護分野への従事資格には明確な決まりがなく、専門知識を身につけた人材が少ない。そのため、高齢者の身の回りの世話はできるが心理面のケアを含めた高度な介護が難しいという問題に直面している。  

若手人材の不足が顕著  
介護サービスの水準を向上させるべく、中国政府も介護人材の育成を後押ししている。とりわけ重視しているのは、教育機関で若手介護士を育成することだ。主な育成機関は高校卒業後に入学する3年制の職業技術大学で、介護分野の複数の専攻のうち「高齢者サービス・管理コース」が最も多くの人材を輩出している。  

中国は、日本と約30年差で高齢化が進展している。中国政府が高齢者産業の発展に向けた指針を発表した2013年以降、施設のハード面やサービス内容の改善に取り組む介護施設が増えている。だとしても、介護サービスの水準は依然として改善の余地がある。  

中国の一部の介護現場を視察後、人材育成のビジネスチャンスがあると判断し、早急に中国市場への参入を試みる日本企業もみられる。しかし、介護人材育成の市場は依然として未成熟なことに留意が必要だ。人材育成を求める買い手(介護施設など)がどこにあるのか、その買い手の求める水準と日本企業のコストが合致するのか、などを具体的に検討し、慎重に参入するのが望ましい。