成年後見人の横領の事件が後を絶たない。長野県伊那市の社協で成年後見制度担当者がご利用者5人(2人は既に死亡)の預貯金を無断で引き出すなどの着服があったと明らかにした。計1379万円余が使途不明となった模様である。   

財産管理を業務とする後見人にとって、利用者の金銭管理を行うのは当然であるが、このような不祥事が起きるのは、制度そのものの問題と併せて、後見人の管理体制に問題があると言わざるを得ないのではないかと考える。   

後見人に対する裁判所による監視・管理体制は次のようになっている。   
<法定後見人の場合>   
(1) 家庭裁判所による監督 後見人は包括的な代理権という大きな権限が与えられており、その権限濫用を防ぐため、家 庭裁判所による直接の監督が行われる。
・後見事務の報告請求、財産目録の提出請求
・後見事務の調査、本人の財産状況の調査
・必要な処分の命令   
(2) 後見監督人による監督
後見人の権限濫用をコントロールするため、家庭裁判所の監督をサポートする機関として、 必要に応じて後見監督人を設置できる(家庭裁判所の判断として必要と認められれば設置され る任意の機関)。裁判所は、主に各県弁護士会で登録された弁護士リストの中から、後見監督人 を選任する。
・財産調査、財産目録の作成のときの立会い
・後見人の持つ債権、債務の後見監督人への申出義務 ・後見事務の報告請求、財産目録の提出請求
・後見事務の調査、本人の財産状況の調査
・家庭裁判所の必要な処分の命令を求める申立て
・後見人の解任の申立て   

問題は、裁判所に対する後見事務の報告は年1回の自主報告によるものであり、提出資料は①後見等事務報告書、②財産目録、③預貯金通帳のコピー、④本人収支表の4つとなっていることである。   

本人収支表に至っては、定期的な収入・支出のみを記載し、臨時の収入・支出は除いて下さい、とされている。   

又、後見事務報告書には臨時の収支について1回10万円以上について記載されるようになっているが、これも大雑把である。通帳のコピーも過去1年分の全ページとあり、特別な場合を除き1年間は監査がチェックが入らないことになっている。   

果たして、これで大事な利用者の金銭管理を行っていると言えるのか?人の財産を預かる者として、このようなラフな管理体制で果たして良いのであろうか?   

裁判所に提出する書類が上記の内容で良ければ、それでは後見人組織における監査体制はどうなっているのであろうか?今回のように社会福祉協議会内部で後見を行っているケースや組織で行っている場合には内部監査体制は確立されているのであろうか? 個人の場合には日々の管理はノーチェックなのであろうか?   

非常に重要な制度であり、国連からも指摘があったように時には人権をも制限する強い権限を持つお仕事であるにも関わらず、日々の管理体制やチェック体制に問題はないのであろうか?   

そして最も重要な問題は、認知症や独居老人が急速に増え、身元引受や財産管理、日々の金銭管理等のニーズが拡大し、その業務は多岐に及び始めているにも関わらず、狭められた財産管理という部分にのみ焦点が当てられ、ご本人やご家族の様々なニーズに応えることができないという機能不全に陥っているのではないかということである。   

我々が考える、後見人としての業務は次のように多岐にわたり、その全てのニーズが連動したものであると考える。そして、その中核に個人の財産並びに金銭管理を据えた統合システムが求められているのである。即ち、後見人や身元引受人にとっては財産・金銭管理は全ての後見業務のハブ機能を持つ最も重要な中核的事業と言えるのである。
身元引受新コンセプト



















  

それ故に、後見監督人とは異なる別のシステム、即ち、FinTech(銀行信販データ)等を活用した日次管理体制とチェック(監査)体制による公明正大なオープンシステムとしての後見業務が求められていると言える。
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【詳報】伊那市社協の元職員、計1379万円着服 成年後見制度利用者の預貯金引き出す 2月に火災で死亡 信濃毎日新聞デジタル2023.3.14  
 

 伊那市社会福祉協議会は14日、認知症や知的・精神障害などで判断能力が十分でない人の権利を守る成年後見制度の事務を担当していた元職員が、複数の利用者に無断で預金の払い戻しを受ける不祥事があったと発表した。元職員は2月、計約1500万円を使途不明にしたまま死亡したという。

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