任意後見制度が普及しない理由














任意後見契約公正証書の作成方法と流れを確認しておきたい。任意後見契約の問題点としては手続きが煩雑で費用がかかると言われるが、これだけの作業が必要になるのである。その時間と経費を考えねばならない。   

特に、任意後見契約は公証役場でしか作成ができない。全国の約300カ所の公証役場があり、所属する公証人は約500人。それを考えれば、おのずと処理できる件数が限られるのは自明の理である。   

年間平均14000件の契約があるとすれば、一人当たり年間28件の処理をすることになる。増えないのも無理はない。処理能力のキャパシティに問題があるのである。しかも、人数が少ないだけに契約成立までにかかる手続きで時間を要する。今日にも病院や施設に入るのに身元引受人がいるという方々には全く間に合わないのである。おまけに士業の先生方に依頼をして手続きをすればそれ相当の費用が発生する。これがネックになっていることは容易にうなずける。   

任意後見契約書は公証役場でしか作成することができない。その為のステップは次の通り。   
①任意後見契約書(案)の作成  
締結する任意後見に関する「任意後見契約書案」を作成する。契約の当事者が案を作成することもでるが、普通は司法書士や行政書士といった専門職に契約書の作成を依頼することになる。即ち費用が発生する。   

②公証役場に任意後見契約書(案)と必要書類を提出   
契約当事者が行きやすい公証役場を選択し、公証人と打ち合わせのための連絡を取る。公証人との打ち合わせでは、任意後見契約の内容や契約日を決めていくことが必要。提出した案がそのまま公正証書になるのではなく、公証人と契約内容をすり合わせながら、最終的な任意後見契約書が出来上がる。また、公証人から指示があった必要書類も提出しなければならない。   

③任意後見契約日の当日   
任意後見契約書の内容が確定したら、いよいよ契約日当日。本人と任意後見人となる方が公証役場に出向き、公証人の面前で契約を締結する。公証人が任意後見契約の内容を読み上げるので、それで問題がなければ署名捺印をしていただき、任意後見契約公正証書を完成させる。 なお、公証役場の費用については、予め金額をご案内していただけるので、当日は現金で準備する形になる。   

④任意後見契約公正証書の完成   
これで任意後見契約公正証書が完成する。締結した任意後見契約書の原本については、公証役場で保管することになるので、手元にある任意後見契約公正証書を紛失したら、作成した公証役場で再発行をしていただくことが可能。 これはメリット。  

⑤任意後見契約公正証書を保管する   
公証役場での手続きが完了したら、任意後見契約公正証書は、なくさないようにしっかりと保管をすること。