後見監督人は望まれていない














身元引受の問題でいつも指摘をされるのが、本人の意思能力が喪失したらどうするかという問題である。    
任意後見契約を締結したからといって、契約締結と同時に後見が開始するわけではなく、任意後見人の後見が開始するのは、後見監督人が選任された時となる。 この後見監督人の選任されるケースがわずか5%と圧倒的に低いのである。何故か? ここに制度の根本的な問題があるように思う。

 後見監督人とは、後見人が後見事務をしっかりと行っているのか監督する者のこと。 任意後見契約の場合、被後見人が意思能力を喪失し、後見の必要が生じた場合に、任意後見人に指定された者が後見監督人の選任申立てを行う。後見人の申立てにより、後見監督人が選任され、任意後見契約の内容で後見が開始することになるのである。ここが重要な点である。   

 なお、任意後見監督人には後見人の親族はなれないので、多くの場合は、司法書士や弁護士等の専門職が選任されることになる。だから安心ということになるのであろう。   

任意後見契約と財産管理委任契約の併用    
任意後見契約が発動するのは、あくまでも本人の意思能力が喪失した後の話なので、本人が元気なうちは任意後見人予定者には全く何らの権限を持たないことになる。しかし、実際は意思能力が衰えてきて、自分で財産管理をすることができない微妙な状況も生まれることから、財産管理委任契約を併用させた「移行型」で任意後見を行うことが実務的に多い。   

任意後見の移行型とは、意思能力が喪失する前を「財産管理委任契約」で、意思能力が喪失した後を「任意後見契約」でカバーする方法のこと。
※正確には意思能力が喪失した後は、任意後見契約が発動し、任意後見人に指定されたものが後見監督人の選任申し立てをすることで、一貫して財産管理をカバーできるということであろう。   

この2つの契約を併用することで、本人の意思能力が喪失する前後とも、財産管理をすることができるようなるので、専門職が任意後見人となるケースでは移行型を利用することが一般的と言われるが、ここに大きな問題点がある。   

即ち、意思能力が喪失した段階で、任意後見に指定されたものが後見監督人の選任申し立てをしなかった場合にはどうなるのかということである。それを誰がチェックするのかという機能もこの制度には欠如しているのではないかと考える。チェック機能も罰則規定もないのであるから、意思能力が喪失したにも関わらず財産管理委任契約はそのまま継続して、金のかかる後見監督人をつけたくないというのが本音であろう。多くの目的は被後見人の預貯金等金銭管理にあるのであるから、その要件が達成されば良いと考える人が圧倒的多数ではないか。

内容的には民間の身元引受事業における金銭管理契約と何ら変わりはないようにも思えるのは間違いだろうか?