介護殺人














長年介護をしてきた妻が介護疲れの末、要介護4」、寝たきりの状態で、人の手を借りなければ生活が営めなかった夫を30カ所以上刺した事件が下記の書籍で取り上げられている。

今日本で親族殺人が増加している。その中でも老々介護事件という悲惨な状況が増加している背景に何があるのか?

良しにつけ悪しきにつけ、親族というフィルターがかからなくなった社会で、家族という最も身近な人間同士の憎悪が増幅している。助けるものが近くにいないだけに、介護や、貧困、引きこもり等の理由により、一旦感情がもつれると、その怒りは止まらない。

一般に、刺し傷の多さは、(1)被害者に対する恨み、あるいは、(2)必ず殺人を遂行するという決意、のどちらかの理由によるという。この妻の胸に去来した感情は、果してそれらの感情だったかと、記載されているが、双方の強い思いがあったのであろう。 これから一体どれだけの老々介護殺人がおきるのであろうか。  

介護、貧困、引きこもり「今殺さなければ、殺される」家族が家族を殺す時 近親殺人  石井光太氏著作 新潮文庫 とう本を紹介する。 

「子供嫌い」の母による虐待殺人、介護疲れの妻が夫を30カ所以上刺した「老老介護殺人」 家族が密になってしまうことの恐ろしさ  YAHOOニュース2024.2.9   

今日本で起きている殺人事件の約半数が親族間で起きていることを我々は知らねばならない。そしてここ数年親族策人が増加し続けていることに日本の病巣がある。今回は特に老老殺人事件に注目したい。従来の「介護疲れの娘や息子の嫁」が要介護者(親)を殺める、のではない。浮かんでくるのは、「介護殺人」の中でもさらに厄介な、「老老介護殺人」という現実なのである。
 「もともと殺人事件は、親族内で発生する確率が高い犯罪だ。20年版「犯罪白書」によれば、19年に起きた日本国内874件の殺人のうち、54.3%は「親族」間で起きている。友人・知人など、加害者と被害者が「面識あり」の35.6%、「面識なし」の9.4%を大きく引き離す。その割合は、17年は49.4%、18年に51.0%、そして19年が54.3%だから、ここ数年、増加傾向が続いている。」ここ数年、時代を象徴する事件形態としてクローズアップされているのが、やはり「家庭内殺人」のひとつである「介護殺人」だ。18年版「犯罪白書」では、高齢者を65歳以上と定義、その上でこう解説している。    
〈(親族殺の中でも、配偶者殺では)約5割は被害者が精神・身体のいずれか又は双方の障害を有し、約3割は被害者が要介護・寝たきりや認知症の状況にあり、犯行の背景に、将来悲観・自暴自棄、介護疲れや問題の抱え込みといった事情がある〉
 先の『近親殺人』の中で石井氏がレポートしているのが、15年1月に千葉県で起きた「夫殺し」だった。77歳の元看護師の妻が、72歳の夫を全長34センチの柳葉包丁で刺殺。夫は「要介護4」、寝たきりの状態で、人の手を借りなければ生活が営めなかった。妻を苦しめたのが、夫の〈脳出血による排尿障害〉だった。 

この事件では、夫の全身に30カ所以上の、包丁による刺し傷が残されていた。包丁は根元から曲がり、心臓や肺を貫通していた。      

裁判では「妻は介護で心身ともに疲れていた。うつ状態に陥って、無理心中しようと思い悩んでの衝動的犯行」と認定された。懲役3年、執行猶予5年が、彼女の量刑だった。