高齢者虐待急増














家庭での養護者や養介護施設従事者による虐待が止まらない。養介護施設では相談件数は過去16年間で10倍、虐待判断件数は約16倍に、そして家族の養護者による虐待もそれぞれ約2倍、約1.3倍に増加している。死亡については2022年においては養介護施設従事者で8件、養護者で32件と、家庭での虐待死が圧倒的に多い。

施設では多くの目があり、虐待に至る事案の発見は多いが、死亡に関しては家庭での介護者による虐待死が圧倒的に多い。家庭での虐待相談件数では一番多いのは警察で34%を占める。次は介護支援専門員で25%を占めている。外部からの通報が多いのである。裏を返せば、誰も気が付かなところで虐待が行われているケースが多いと思われる。

高齢者虐待の虐待者側の要因で一位は介護疲れ、介護ストレスである。高齢者施設での人手不足、また、家庭での介護者の不足がいずれもストレスとなって、高齢者の虐待につながっているのではないかと思われる。当然、介護知識の不足や情報不足もその要因かと思われるが、施設や家庭での介護力が落ちているのは否めないのではないだろうか。2025年に23万人、2040年には69万人の介護者の不足を考えるとこれから一体どれだけの虐待が起きるというのか、考えるだけで怖くなる。
高齢者虐待理由





















家庭における高齢者虐待問題~根絶への課題と取組み~

㈱第一生命経済研究所 2024.2.21  
 1.収まらない高齢者虐待   
厚生労働省から、2022年の「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)」に基づく対応状況等に関する調査結果(以下、調査結果)が公表されている(2023年12月22日)(注1)。

養介護施設従事者等(注2)による虐待に関する相談・通報件数は過去16年間で約10倍に、虐待判断件数は約16倍に増加しており(図表1)

養護者(注3)による虐待についても、それぞれ約2倍、約1.3倍に増加している(図表2)。

また、虐待が死亡に至るケースも、2022年において養介護施設従事者等で8件、養護者で32件発生している。   

2016年4月施行の高齢者虐待防止法により、虐待防止等に関する国・都道府県・市町村・国民の各責務、および虐待を受けた高齢者の保護及び養護者に対する支援の措置等が定められ、様々な取組みが行われている。しかし、相談・通報件数、虐待判断件数の増加傾向は改善されていない。