無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: ブログ

新しい社会保障制度の構築に向けて早稲田大学大学院の山野目章夫教授が地域の社会福祉事業の改革も提案しておられます。 
 2022年04月18日 15:30 〜 17:00 10階ホール「成年後見制度改革の必要とその方向性」 山野目章夫・早稲田大学大学院教授   

 国を始め、各地域で地域の社会保障のあり方について提言や検討がなされている。只、各々がそれぞれの立場で検討をしているにすぎず、いずれも超高齢社会の社会福祉、社会保障の処方箋とまでは至っていなのではないか。山野先生は成年後見制度改革と併せて、地域の社会福祉組織の在り方について提言しているが、まだその内容は不十分である。  

 社会福祉制度を支える新たな担い手として民間事業者の参入を増やすという点は評価できるが、民間と行政とで包括的地域支援の仕組みを作るべきというが、問題なのは包括的地域支援を支える多数のプレーヤーをどう動員するのか、そしてそれぞれのプレーヤーが持つコンテンツをどのように統合するのかというグランドデザインが不十分なのである。   

 例えば、山野教授は「被後見人や要支援者の金銭管理サービスを担うのは金融や生保などの民間事業者、日常生活を手伝うのは当事者団体や市民後見人養成研修を終えた個人、それらの業務が適正に成されているかを監督・支援するのは社会福祉協議会などの専門職団体。三者セットで運用されれば、横領や不正などの犯罪は防げるともくろむ。そして制度を監督・支援する役割を社福協などに任せること」を提言している。   

果たして、この内容に実効性を期待できるのであろうか?   
・金銭管理サービスを担うのは金融や生保➡100%難しい。金融機関が金銭管理サービスのリスクを負うことはまずないであろう。   
・日常生活支援は当事者団体や市民後見人養成研修を終えた個人➡一体どれだけの団体や個人がその機能を担うことができるのか?認知症予備軍を含めて意思決定が難しくなっているという1,000万人のサポートすることは不可能であろう。   
・それらの業務を監督・支援するのは社会福祉協議会などの専門職団体➡現状の業務で手一杯であり、その監督、支援業務にまでは到底手が回らないと考える。   
・こうした社会福祉改革を実現させるには、民法をはじめ関連法の改正が必須になる➡民法の改正を待ってこれらの仕組みをバックアップするのにいつまで時間をかけるつもりなのか?改正を待って実行するのでは手遅れとなるのは明らかであり、民間サービスの大量導入により行政と連携しながら制度、法律を変えていくしかないのではないか。   

以上の観点で、上記の提案は全く可能性がないものと考える。是非、皆さんのご意見を頂戴したい。
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下記の事例は富山型デイサービスと言われますが、これはデイサービスなのでしょうか?通常のデイサービスとは異なりますので、どこで介護保険が適応されるのかわかりませんが、どのような経営モデルなのか調べてみたいと思います。有効なモデルと思います。
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人とつながる超高齢化社会

少子高齢化社会を迎える日本にとって、新たな福祉モデルとなりうるサービスを最近知りました。それが、住み慣れた地域で介護や医療、生活支援サービスを受けられるように高齢者を支援する「地域包括ケアシステム」です。その一つに、富山県を中心に実践されている「富山型デイサービス」があります。

高齢者と障がい者を分け隔てしないだけでなく、乳幼児の預かりや学童保育なども受け入れ、地域の赤ちゃんからお年寄りまでが、小規模の民家で共に過ごす新しい試みです。そこにはどのような空間が広がっているのだろうか。疑問と期待の両方を抱きながら、現場に足を運んでみました。

富山県高岡市の住宅地の一角にたたずむ一階建ての民家。ドアを開けると、仕切りのない開放的な空間が広がりました。若者が洗い物をする一方では、高齢者と障がい者が和室で並んでお昼寝をしています。

食卓を囲んでおしゃべりしたり、ソファでくつろいだりする人も見られます。白衣や制服を身に着けているわけではないため、始めのうちは誰がスタッフで、誰が利用者なのか見当もつきませんでした。看護師を含めたスタッフ、利用者のいずれも年齢層は幅広く、0歳児から90歳を超えたおばあちゃんまで。80歳を超えたボランティアの方もいて驚きました。障がい者の雇用も進めており、スタッフの子どもが託児所として利用することもあるようです。

食卓の椅子に腰を掛けると、隣に座る80代のおばあちゃんが、「おやつ食べるが?」と饅頭を差し出してくれました。デイサービスときくと「施設」というイメージが強いですが、そこは家庭的で温かい雰囲気に満ちていました。

従来の介護施設と大きく異なるのは、決められたスケジュールがないことです。お天気のいい日は散歩をしたり、利用者の要望に沿って買い物に出かけたり。食事の献立にも決まりはなく、冷蔵庫にある食材を使って自由に調理します。

近隣住民とのかかわりも深く、茶碗洗いや花壇のお世話などそれぞれができることを手伝ってくれるようです。スタッフの若い女性は、「利用するメンバーも、食事の献立も、季節のイベントの内容も毎回違うので、同じことを繰り返す生活ではなく、毎日新鮮な気持ちで楽しめる」と魅力を教えてくれました。地域と強いつながりを持ちながら、自由に、そして生き生きと過ごす人々の姿を垣間見ました。

この取り組みは、今までなかった人と人とのつながりを生み出します。昔の大所帯の暮らしのように、いろんな世代、背景を持つ人との関係を築くことで、助け合って生活することの大切さを実感できると思いました。

認知症のおばあちゃんが赤ちゃんの世話をするという、普通では考えられないような例もあります。これまで世話を受けるだけの立場だった人が自分の役割を持つこともあるのです。それは、介護をする、されるという壁を越えた新しい福祉の挑戦です。

厚生労働省は現在、「我が事・丸ごと」の地域づくりとしてこのような共生ケアの取り組みを進めています。東京のような大都会でも、高齢者と子どもが一つ屋根の下で介護と保育を受ける多世代交流施設が広がりつつあります。

複数のサービスや事業所を統合することで社会保障費を抑えたいという国の思惑もありますが、財政ありきではなく、地域のニーズと、人と人のかかわりを重視した政策を大切にしてほしいと思います。

執筆者プロフィール

反保 真優
慶応義塾大学

大学では政治を学んでおり、国際関係と地方自治に関心があります。スポーツ観戦が大好きで、今年はリオオリンピック・パラリンピックに心を躍らせています。まだまだ未熟な私ですが、社会の問題、変化について学び、考え、意見を伝えられるように頑張ります! たくさんの方と議論できるのを楽しみにしています!

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ケースワーカーのお仕事は大変です。 一人100人を超える生活保護者を担当しておれば確かに寝暇もないぐらい多忙だと思います。そのお仕事の内容を現役ケースワーカーが本音で語る生活保護のブログでご紹介させて頂きます。真摯にケースワーカーのお仕事をして頂いている姿に頭が下がります。 勉強をさせて頂きます。    
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いつ連絡してもケースワーカーが出張中・外出中の理由

よくケースの方から、「連絡をするといつもいないですよね…」と言われます。
これは私だけではなく、他のケースワーカーも言われています。

なぜケースワーカーはいつも不在なのか、なかなかつかまらないのか。そう疑問に思っている方も多いかと思いますが、実際に中で働いてみるとその理由がわかります。

いくつか外出となり「不在」となる例をあげてみます。
ここにあげるものは、少なくとも私は経験済です。

 ◇定期訪問・・・いわゆる家庭訪問。時期や回数のノルマあり。
 ◇新規訪問・・・新規で保護となった場合の最初の家庭訪問
 ◇転居確認・・・ケースが転居した際の確認訪問
 ◇入院付き添い・・・病院からの要望に応じて
 ◇入所付き添い・・・施設からの要望に応じて
 ◇退院付き添い・・・病院からの要望に応じて
 ◇身元引受・・・主に警察からの連絡に応じて。公園で倒れています・・・など
 ◇地域でのトラブル・・・苦情処理、住民への説明
 ◇契約同行・・・不動産屋
 ◇研修・・・外部機関での研修(定期的にある)
 ◇相談・・・ケアマネさんとの会議、打ち合わせなど
 ◇他機関への出張・・・市役所の別部署、他自治体への視察、介護施設の視察
              ・・・民生委員やNPOとの定例会議や懇親会

1人で100世帯担当するとなると、毎日何かしらの用件で外出することになります。事務所で終日過ごせる平和な日はほぼありません(なくはないですが月に2~3回です)。

特にケースは身寄りがない方や、いたとしても疎遠になってしまっている方が多く、外部機関から何かにつけて「ケースワーカーさんが来てください」「身元の引受人がいないのでなんとかしてください」となりがちです。

そのすべてに対応することは時間的に到底無理なのでそこは先方に説明するようにしていますが、緊急性を要する場合はそうもいっていられません。

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"老人福祉・介護事業"の倒産、過去最多を更新--1~9月、今後はさらに増加も

[2015/10/12]

介護事業者の倒産が増え続けています。環境変化に対応できない小規模事業者の倒産が目立ちます。

人手不足による人件費の高騰、介護制度改正による介護報酬の減算、厳しい状況が続いています。

生き残るためには戦略を持たねばなりません。

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東京商工リサーチはこのほど、2015年1~9月における「老人福祉・介護事業」の倒産件数が過去最多の57件に達したと発表した。前年同期(40件)と比べて42.5%増加した。

小規模事業所の倒産が増加

負債総額は同11.6%増の50億9,600万円。負債額別にみると、負債10億円以上の大型倒産がゼロ(前年同期ゼロ)だったのに対し、負債5,000万円未満は同58.3%増の38件と、小規模企業の倒産が目立った。

老人福祉・介護事業の倒産 年次推移

倒産の内訳をみた場合、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が同109.0%増の23件と倍増。また「訪問介護事業」も同27.7%増の23件に増えた。

従業員数別にみても、5人未満が同100%増の38件と倍増し、小規模事業所が全体66.6%に上った。また2010年以降に設立した新規事業所は29件と全体の50.8%を占めた。

原因別では、販売不振(業績不振)が同19.0%増の25件で最も多く、以下、事業上の失敗が15件、既往のシワ寄せが6件と続いた。

東京商工リサーチによると、「人手不足に伴う人件費の上昇が経営を圧迫している。特にデイサービスセンターの倒産が多く、中でも小規模事業所の倒産が目立つ。今後は、介護報酬マイナス改定の影響が出てくるため、年末から来春にかけて倒産事業者がさらに増加するのではないか」と分析している。

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2015年10月9日 中日新聞

ついに介護負担2割の議論が出始めました。今年の8月から始まった負担増はシナリオ通りに段階的な2割増へとつながってきています。

報道によればまずは74歳までを2割負担とし、ゆくゆくは全ての高齢者が2割負担ということです。

介護を受けれない高齢者が増加し、生活保護受給者が増加という状況が予測されます。

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 財務省は9日、財政制度等審議会の分科会に中期的な社会保障改革案を示した。原則1割となっている介護保険サービス利用者の負担割合を年齢別に段階的に上げ、2割にするよう提案。

日常的な診療を担う「かかりつけ医」以外で受診した外来患者に、定額の上乗せ負担を求めるとした。高齢化で膨らみ続ける公費支出を抑える狙いだ。

 財務省は今年の骨太方針を具体化する政策として、経済財政諮問会議の専門調査会が検討中の改革工程表に盛り込むよう求める。ただ、高齢者らの家計を圧迫するとの反対は確実で、政府内の議論の行方は未知数だ。

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