無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

カテゴリ: 認知症ケア

<前回に続く>

認知症

この高齢化社会にあって、高齢者に多い認知症は全国で400万人を超えると言われています。

認知症は70代以降に特に目立ちますが、認知症の方は自分が認知症であるという認識に乏しく、日常生活に問題が見られていても、服薬や介護を拒否することがよくあります。

さらに、この年代になると、糖尿病や高血圧、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害はもちろん、癌といったさまざまな重大な身体疾患を発症したり、その治療を必要としていることも珍しくありません。

しかし、認知症の患者さんは自分が罹患している認知症のみならず、自分の身体の健康状態にも無関心で注意を払わないことが多いのです。その結果、認知症の患者さんでは、重大な身体疾患が見過ごされ、放置されていることが少なくありません。

そのため、認知症の患者さんのご家族は患者さんの身体の健康状態にも十分に注意する必要があります。なお、認知症の発症から死に至るまでは8年から12年程度と言われています。

以上、代表的な精神疾患と身体疾患の関係について示しました。なお、イギリスのオックスフォード大学からは2014年に、統合失調症は10年から20年、反復性のうつ病は7年から11年寿命が短くなると報告されています。精神疾患の治療にあっては、身体疾患を合併しやすいことから、全身の健康状態にも注意する必要があるのです。

参考文献
厚生労働省e-ヘルスネット糖尿病とこころ
近藤伸介,熊倉陽介,笠井清登,他:精神疾患をもつ人の平均余命は一般人口に比べて20年以上短い.British Journal of Psychiatry Open.11 August 2017
Many mental illnesses reduce life expectancy more than heavy smoking:University of
Oxford,NEWS&EVENTS,23May2014
野田哲郎,川田晃久,日山興彦,他:衛星都市(大阪府高槻市)におけるアルコール症者の実態と長期予後.Jpn.J.Alcohol&Drug Dependence,23(1),25~52,1988
SakataRetal.Impact of smoking on mortality and lifeexpectancy in Japanese smokers:aprospective cohort study.BMJ2012;345:e7093.

<筆者略歴>

精神疾患は身体の健康や病気と関係がある? 画像2

鹿島 直之:精神科医

鹿島 直之:精神科医 1995年 東京慈恵会医科大学卒業。2011年 町田まごころクリニックを開業。働き盛りの方はもちろん、お子様やお若い方、お年寄りまであらゆる世代の方の心に寄り添った治療を考えています。どなたでも安心して心を癒やす場の提供を心がけています。

(鹿島 直之:精神科医)



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薬物依存症

日本で代表的な薬物依存症がお酒によるアルコール依存症とたばこによるニコチン依存症です。アルコール依存症は80万人を、ニコチン依存症は1400万人を超えると推測されています。

薬物依存症の恐ろしい点は、自分が依存症であるという自覚がなかなか持てない点です。アルコール依存症の患者さんで通院している人は4万人にすぎません。

大量の飲酒を毎日のように続けるアルコール依存症にあっては、人体に様々な毒性を発揮するアルコールが胃潰瘍や肝硬変、高血圧、糖尿病や、時には認知症の原因になることがあります。

また、うつ病の患者さんの20%がアルコール依存を合併し、自殺者の3割からは高濃度のアルコールが検出されています。

これらの病気にかかっており、断酒が必要なことがわかっていても、断酒をしようとしない、あるいはそれが難しい方は少なくありません。ちなみに、アルコール依存症の平均寿命は50歳代前半ということが、いくつかの報告で明らかになっています。

それから、ニコチン依存症にあっても、日々の喫煙によって癌や動脈硬化による心血管や脳血管障害、および肺気腫といった、時に致命的となる身体疾患がもたらされることがあります。

日本における2012年の調査では、20歳までに喫煙を開始した人の余命は、喫煙しない人に比べ、男性で8年、女性で10年寿命が縮まるという結果が見られました。

しかし、それらの恐ろしい病気の危険が分かっていても、ニコチン依存症に対する保険診療が受けられるようになった今ですら、禁煙治療に取り組もうとしない方が大半なのです。

我々が日常的な嗜好品としているアルコールとたばこは、その強い依存性と依存症が身体にもたらす多大な危険性についてのさらなる啓蒙が必要です。また、日本は海外から対策の遅れを指摘されていますが、世界的な水準での広告や販売の規制を行うことが求められているのです。

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統合失調症

上に示した研究の対象となった大部分の方が統合失調症でした。その理由としてはいくつかのことが考えられます。統合失調症の患者さんは、自分が病気であるという認識、病識に乏しいことに加え、陰性症状といい、自発性に乏しく、そもそもの治療に消極的なことが多いのです。

自宅に引きこもり、通院も不規則になることも稀ではありません。そのため、運動不足から肥満や糖尿病、高血圧の発症を招くことが少なくないのです。

しかも、統合失調症の患者さんは幻覚妄想にも影響され、自分の状態を客観的に観察することが難しく、周囲から身体疾患を指摘されたとしても、必要な検査や治療の促しに従わないことが多いものです。

また、統合失調症の第2世代と言われる最近の治療薬そのものが、食欲を亢進させることがあり、肥満や高脂血症、糖尿病のリスクファクターとなることが指摘されています。いろいろな要因から、統合失調症は、身体疾患の合併が多くみられる精神疾患なのです。

うつ病

長期にわたるうつ病にあっては、意欲の低下による引きこもりがちの生活から来る運動不足のため、肥満に伴って糖尿病を発症される方が少なくありません。検査で糖尿病と判明しても、意欲低下や疲労感が目立つ場合には、通院して必要な治療を受けることが難しい場合があります。

また、仮に通院したとしても、糖尿病の治療に欠かせない食事制限や運動といった生活指導に十分に従えない場合が多く、結果として糖尿病が進行してしまうこともあります。

さらに、糖尿病自体が倦怠感や疲労感といった症状をもたらすばかりか、糖尿病であることを告知されることや、必要な糖尿病の生活指導そのものが心理的な負担となるため、うつ病による糖尿病の発症が、さらなるうつ症状の悪化をもたらす悪循環となることがあるのです。

同様の理由で、高血圧が見られることも多く、その治療も困難なことがあります。

<次回に続く>

重度の精神疾患患者は一般人に比べて寿命が短く、身体的にも病を持つというデータが発表されています。精神疾患が体のコントロールを阻害します。身体的なケアを一緒にせねばなりません。
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精神疾患は身体の健康や病気と関係がある?

精神疾患は身体の健康や病気と関係がある? 画像1

重症の精神疾患であった患者さんの死亡年齢と死因についての報告

東大病院精神神経科で、重症の精神疾患で長期入院の経験がある患者さんの平均余命が、一般人口に比べ22.2年以上短いとのいう報告がなされました。

東京都内で病院から地域生活への移行を支援するある社会福祉法人における最近24年間の利用者のうち、亡くなった45人について分析したものです。死亡時の平均年齢は63歳、入院期間は平均15.6年、そのうちの39人が統合失調症でした。

死因別に見ると、自殺が一般人口の7.4倍で、心筋梗塞や心不全などの心血管疾患が5.1倍でした。60%の人は、精神科以外に、糖尿病や高血圧といった心血管疾患に関連する慢性疾患で通院していました。

この研究は小規模なものですが、重症の精神疾患を持つ方が、継続的な治療と経過観察が不可欠な身体疾患も合併していることが多く、その結果として早逝する傾向があるということを示したものです

この報告が示しているように、重症の精神疾患を持つ方は、身体疾患も合併することが多いばかりか、もともとの精神疾患による精神症状のために、その治療が難しいことがあり、注意を要します。

以下、精神疾患別に、かかりやすい身体疾患とその原因について記していきます。

<次回に続く>

認知症の方々を中心とした新しい取り組みです。施設を利用した「子ども食堂」というコンセプトは素晴らしいです。開かれた施設を目指す取り組みとしては非常にユニークで、他の施設でもできそうです。もっと広がるといいですね。一度やってみたいと思います。
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西日本新聞・子ども問題取材班
メールアドレス:kodomo110@nishinippon-np.jp / ファックス:092(711)6246

認知症施設で「子ども食堂」 利用者が運営、調理 埼玉「働いて地域に役立ちたい」

子ども食堂に提供する食事を作るデイサービスの利用者や職員たち
子ども食堂に提供する食事を作るデイサービスの利用者や職員たち
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 若年性認知症でデイサービス施設を利用している人たちが運営する「子ども食堂」が埼玉県にある。

家庭の事情などで放課後の居場所がない子どもたちに無料で食事を出すとともに、施設利用者の社会参加を進める目的で、国も注目する全国的に珍しい取り組みだ。施設は「子ども食堂を運営することで、生きがいにつなげたい」と話す。

 「こんなにタマネギを切ったのは初めて」「今日は子どもたちが何人来るかしら」。調理場に利用者たちの笑い声が響く。メニューは牛丼と、ホウレン草のおひたし、大根の葉が入ったけんちん汁。40人分を用意した。

 施設は、同県三芳町社会福祉協議会が運営する「けやきの家」。高齢者のほか、若年性認知症の60~65歳の男女6人が利用している。

 子ども食堂を企画したのは、施設管理者で社会福祉士の内城(ないじょう)一人さん(44)。50代の若年性認知症の利用者から「働きたい。妻を守りたい」と言われたのがきっかけで、昨年4月から事業に取り掛かった。

 食堂は毎週金曜日の夕方に開く。まずは献立を決める打ち合わせ。記憶障害があるため、近況報告から始める。メニューを考えてもらい、自分たちで食料の買い出しへ。地域ボランティアの協力を受けながら、食事を作る。食事後は、子どもたちと卓球などをして触れ合う時間もある。

 メンバーの一人、宮崎県日向市出身の女性(64)は、介護福祉士の仕事をしていた58歳のとき、若年性認知症と診断された。「まだまだ働こうと思っていたのでショックだった。今は子ども食堂で人の役に立てることがうれしい」と言う。

 厚生労働省も事業に関心を示し、県外の福祉施設関係者の視察も多いという。内城さんは「働ける若年性認知症の人たちは、社会や地域に役立ちたい思いが強い。取り組みが子どもたちの救済につながっている」と話す。

=2017/10/22付 西日本新聞朝刊=

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