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【上海福祉の今】新たに14都市で介護保険開始/王青氏
高齢者住宅新聞2020.11.3
新たに14都市で介護保険開始
中国政府機関の「国家医療保障局」と「財政部」は9月、「長期介護保険」の試験都市として新たに14都市を指定すると公表した。2016年に15都市を指定して以来、4年ぶりとなる。
また、介護保険の適用範囲や利用対象者の認定基準、財源確保策などについても見直した。介護保険の財源は、これまで医療保険から一部を切り分けて確保されていたが、今後は地域の状況に応じて、医療保険以外からの財源を確保するよう要請した。将来的には介護保険の独立運用を目指している。
4年前は上海、蘇州、成都、重慶、広州など経済発展している地域が指定され、今回は、貴州省、甘粛省、内モンゴル、山西省などの内陸地域に拡大された。
前回の規定と異なる点は大きく3つ。
(1)介護保険制度を段階的に独立させる
(2)認定システムをより正確・公平なものにする
(3)給付対象は介護サービスと一部の医療サービスに限定。これまでの一部の都市で実施されていた現金給付を禁止。
今回の方策修正では、財源確保の拡大と、在宅介護への給付が優先されることとなった。
中国では経済格差が大きいため、日本のように全国統一の制度を整備できないのが現状だ。中央政府は方針を示し、各自治体が地域の実態や財力に合わせてそれを具現化し、独自の制度を創設する。4年前に指定された15都市の介護保険も地域状況を踏まえて整備されている。