無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 未来の日本

無縁遺骨年間3万件














 大変な時代になってきたものです、厚労省の人口動態統計によれば、22年度1年間に国内で死亡した日本人の数は概数で156万8961人といわれます。引き取り手のない死者の数は直近3年半で約10万5000人ですので、年間に直せば約3万人が引き取り手がないということになります。

毎年約2%程度の方が引き取り手がなく、無縁仏となっていることが伺えます。 死亡する人の数は平成元年に比べるとおよそ2倍になり、今後も増え続けるでしょう。それに併せて無縁仏も増加すると思われます。  

一番ショッキングなのは、無縁遺骨の9割は身元が分かっているということです。要は親族や関係者がいても引き取りに来ないのです。 今も南の島で戦死した親族の遺骨を探しておられる方々もおられます。一方で、親族がいても遺骨すら引き取りに来ない方々もおられます。死者を大事にしない国に未来はないと思うのです。
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「ルポ 無縁遺骨」森下香枝著 
日刊ゲンダイ 2024.2.22
 2018年4月から21年10月までの3年半の間、引き取り手のない死者の数は約10万5000人にも上った。身寄りがないために死亡届も出せず、すぐに火葬もできず、最終的には役所のキャビネットや無縁の納骨堂をさまよう。本書は、これら多くの無縁遺骨を前に我々はどうするべきなのかを問う衝撃の書だ。

加えて、残された遺留金は約21億5千万円にものぼると総務省が発表しています。そして火葬後も引き取り手がなく、市区町村が保管している無縁遺骨は全国で少なくとも6万柱。その内訳を見ると「行旅死亡人」と呼ばれる身元不明者はわずかで9割は身元がわかっている。「全自治体の状況を把握できたわけではないので実際はもっとある」(総務省担当)という。
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2040年問題














以前から2025年問題が指摘されてきたが、今日まで効果的な手は打てていない。介護人材不足は極めて顕著であり、介護事業所の倒産・休止の件数も増加している。スタッフは介護業界からの転出が転入を上回っている。要は、瀕死の状態になりつつあるのに、今度は2040年問題である。   

2040年問題とは二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が65~70歳になる。65歳以上の高齢者人口は35%以上になると予想され、ピークとなる。 さらに経済を支える現役世代が急減し、労働力不足は深刻となり、社会保障財源はひっ迫すると予想されている。介護職員数も高齢者人口が増える同時に不足していき、2040年までには現状よりも約69万人増やす必要があると予測されている。これが2040年問題である。   

厚生労働省の資料によると、2025年度に必要な介護職員は約243万人。2019年度の介護職員数が約211万人で、2022年度には214.9万人と3年間で3.9万人しか増えていない。このままでは2025年度には約28万人の介護職員が不足する計算になる。 さらに2040年度には280万人の介護職員が必要と予測され、2019年度を基準とすれば約65万人を追加で確保しなくてはならないことになる。   
介護人材不足予測












最近のように年間1万人程度しか採用できないとすれば、65年かかるのである。このままでは事実上日本の介護は破綻する。年間4万人以上の介護従事者を確保できなければ日本の介護は維持できないということになる。   

2040年度に69万人不足する「介護 異次元崩壊」 ヘルパーが消え、サービスを受けられなくなる日 
今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。   

『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。   

2040年に介護職員が69万人不足!?政府の対応は?   

2025年問題から2040年問題へ 2025年には、約800万人に及ぶ「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になります。 さらに65歳以上の高齢者を含めると、国民の約30%が高齢者となるのです。 高齢化率が急上昇することで生じる医療費や介護費の増大、介護人材不足などのさまざまな問題を、国は「2025年問題」として対策してきましたが、その効果は全く見えない。その上に、今度は2040年問題が日本の超高齢社会に立ちはだかる。   


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家族消滅国家














 日本は世界一の超高齢国家になっていることは皆さんが理解していると思うが、もう一方で世界で最も早く「家族消滅国家」となりそうであることも理解して頂きたい。 

少子化対策しても「家族消滅」に向かう日本の現実やがて日本は「超高齢独身国家」となる運命
東洋経済オンライン2024/01/14 
 従来一般的であった夫婦と子世帯は1970年には全世帯数の中で41%を占めていましたが、2020年には25%へと減り、2040年には23%に減少し、代わりに単身世帯は39%になると予測されている。   

 実に4割の世帯が単身世帯という「家族消滅国家」となるのである。夫婦子供で暮らしていた家族の風景が、一人暮らしの風景に代わっていく、そのような時代になっているのである。65歳以上の高齢者人口より、未婚と離別死別を併せた独身人口は約4930万人と大幅に高齢者人口を上回っているのである。
 私が大変危惧しているのはこのような状況下に社会があることをマスコミも国も世に知らしめていないことである。今ある社会のシステム自体が「家族を中心とした社会」を前提にしていることであり、「家族消滅社会」を前提にしたシステムへの転換が全てにおいて遅れているのである。   

 昨日も報告をしたように、70歳を超えると銀行振り込みも制限がかかってしまう。高齢の預金者が一人でお金を降ろしに銀行に行けなければ誰が行うのか?代わりの預金を降ろしてくれる家族もいないのである。
  
 この一点において、日本の介護保険制度は20年経って限界を迎えている。介護の社会化と言いながら、社会化が進まず、家族に頼らざるを得ない現状の介護制度では、既にベースとなる家族が崩壊する中で機能するはずがないのである。介護保険制度を補完する身寄りの仕組みが必要となる。
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震災に強いまちづくり2














能登半島地震は改めて日本の地方の住宅インフラの問題点を浮き彫りにした。いつも震災が起きるたびに言われてきたことであるが、その備えは不十分である。北海道新聞が倒壊の恐れのある住宅は道内に23万戸あるが、高齢者にとっては耐震工事が高額の為に二の足を踏む人が多く、対策が遅れていると警鐘を鳴らす。   

「倒壊恐れ」住宅、道内23万戸 大地震時 耐震化高額、高齢者二の足 「何年住むか分からない」 北海道新聞デジタル2024年1月12日
 「石川県で最大震度7を観測した能登半島地震は、住宅の耐震化率が4~5割と低い珠洲市と輪島市で多数の家屋が倒壊し、死者は200人を超えた。道内でも耐震化率が5割前後の自治体があり、大地震で倒壊の恐れがある住宅は約23万戸に上る。自治体の多くが耐震改修費を補助しているものの、古い木造住宅ほど費用負担は重く、改修をためらうケースは少なくない。道内は太平洋側を中心に津波対策が重視されてきたが、揺れへの備えも急務となっている。」
 更に北海道の高齢者の意見として、
 「高齢になり、この家にあと何年住むか分からないのに、高い費用がかかる耐震工事をしようとは思わない」。築50年の自宅に妻と2人で暮らす根室市の鈴木昭男さん(83)はそう話した。」
と記事を載せているが、これが地域に住む高齢者の本音であろう。   

地方は高齢化が進み、後期高齢者の割合が人口比で3人に1人、2人に1人と急速に高齢化が進展している。そのような地域では震災に備えて数十万の補助金では皆しり込みをしてしまうのは良くわかる。   
識者の中には、そのような限界集落、高齢集落のインフラ整備に国の予算をつぎ込むのは如何かという暴言を吐く方もおられる。しかし、自分の親がそこに住み続けたいと言った時にはどうするのか?   
やはり長年住み慣れたその地を離れたくないのである。地方を切り捨てて都市が成り立つのか?   

震災の多い地方社会におけるインフラ整備が急務であり、医療や介護を含めた福祉の街づくり、ウエルネスタウンの構築が不可避なのである。   

「岸田首相は12日、政府の非常災害対策本部に出席し、能登半島地震の被災者が入居可能な民間住宅を、およそ2万2,500戸確保したことを明らかにした。岸田首相は、被災者の生活再建に向け、民間の賃貸住宅を石川県内でおよそ5,500戸、ほかの北陸三県でおよそ1万7,000戸が提供可能であると明らかにした。また、公営住宅についても、およそ1,200戸確保したと述べた。」と言われるが、こうなる前に手が打てなかったのであろうか。全てが後手後手なのである。  
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人口減少社会への処方箋














元旦から能登で震度7の地震が起き、被災された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。   

新年早々に大変な事態が起きました。これから日本では災害を含めて何が起きるか、正に不確実性の時代にあります。しかし、その中で確実に予測できる未来の日本の姿があります。近未来の予測が銀行トラブルが増え、水道代が高くなり、荷物が届かなくなる…人口減少がもたらす「想像以上に深刻な未来」(現代新書編集部) | 現代新書 | 講談社(1/2)より報告されています。

各業界でこれから起きる「17のこと」より『未来の年表 業界大変化』人口減少日本のリアル
・革新的ヒット商品が誕生しなくなる ──製造業界に起きること
・整備士不足で事故を起こしても車が直らない ──自動車産業に起きること
・IT人材80万人不足で銀行トラブル続出 ──金融業界に起きること
・地方紙・ローカルテレビ局が消える日 ──小売業界とご当地企業に起きること
・ドライバー不足で10億トン分の荷物が運べない ──物流業界に起きること
・みかんの主力産地が東北になる日 ──農業と食品メーカーに起きること
・30代が減って新築住宅が売れなくなる ──住宅業界に起きること
・老朽化した道路が直らず放置される ──建設業界に起きること
・駅が電車に乗るだけの場所ではなくなる ──鉄道業界に起きること
・赤字は続くよどこまでも ──ローカル線に起きること
・地方に住むと水道代が高くつく ──生活インフラに起きること
・2030年頃には「患者不足」に陥る ──医療業界に起きること(1)
・「開業医は儲かる」という神話の崩壊 ──医療業界に起きること(2)
・多死社会なのに「寺院消滅」の危機 ──寺院業界に起きること
・会葬者がいなくなり、「直葬」が一般化する ──葬儀業界に起きること
・「ごみ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加 ──地方公務員に起きること
・60代の自衛官が80代〜90代の命を守る ──安全を守る仕事に起きること  
 
その中で、我々が関与する事象が散見されるのが、生活インフラの問題、とりわけ無縁社会における多死社会の到来により、これまで家族が担ってきた人の晩年、そして死に至る終活の問題である。 人口が現在の1億2000万人から8000万人に至った時には、これまで医療・介護を含むヘルスケア部門において地域を支えてきたヘルスケア・インフレが機能しなくなる。 家族に代わる新しい社会システムの構築に全力を注がねばならない。世の中がソリッド(固体)社会からリキッド(液状)社会に急激に変化する。時間がない!
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