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▼介護人材と競合他産業との賃金差:
2016年には介護職員(月額26.7万円)と対人サービス産業(同27.2万円)とで5000円の賃金差があるが、これを2020年代初頭までに解消する
医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。
大きな特徴は、入院・入所から在宅への誘導だ。
介護は、事業所が医師らと連携し身体機能の回復に取り組んだり、通所介護(デイサービス)を利用して高齢者の症状を改善させたりした場合に、報酬を上乗せした。
診療は、紹介なく受診する際の大病院の初診料負担を増やす一方、かかりつけ医の訪問診療や夜間・休日対応への報酬を加算し、退院支援を担う回復期向け病床の報酬を手厚くした。
背景には、6年に1度の同時改定となる今回の機会をとらえ、要介護状態になっても地域で暮らすための「地域包括ケアシステム」に関わる報酬を手厚くすることで、在宅医療・介護を後押ししたいという政府の狙いがある。
そのため介護報酬ではほかに、介護施設で外部の医師がみとりをした場合の報酬を新設した。
だが今改定も、これ以外の目新しさはなかった。それは各改定を反映した改定率に表れている。
介護は今回、6年ぶりに増加に転じたものの0・54%の微増にとどまった。診療も診療本体で0・55%の微増の一方、薬価(1・65%)と材料価格(0・09%)で減少と、全体としての減少傾向は変わらなかった。
政府は2013年、社会保障抑制策の方向性として「能力に応じた負担」の理念を打ち出した。そのため、それ以降の報酬改定は「自立支援」偏重となり、今回の改定でも利用者の自立を促す側面が強調された。
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結果として、介護・医療サービスの議論は置き去りとなっている。
例えば、介護職の人手不足問題を巡っては15年改定で、月1万2千円相当の給料アップにつながるよう加算金を増やしたこともあった。しかし大本となる改定率の低迷に、介護関係者からは「この程度の上乗せでは離職を食い止められない」との指摘があがる。
介護保険制度が始まった2000年度に約54万9千人だった介護職員(非常勤含む)は、15年度約183万人になった。厚生労働省は「団塊の世代」全てが75歳以上となる25年度の必要数を約253万人と推計、介護職員が37万7千人不足する恐れがあるとしている。介護職が不足したまま在宅移行すれば、今以上の家族介護の負担増となるのは目に見えている。
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在宅医療を担う訪問診療も増えない。過去の改定で手厚くしたにもかかわらず、現在、みとりまでする診療所は全体の5%にすぎない。それなのに今改定も、報酬を上乗せするという相変わらずの手法にとどまった。
安倍晋三首相は昨年、今改定について「(25年まで)残された期間を考えると重要な分水嶺(れい)」と語った。だが在宅医療・介護は本来、小手先の報酬改定だけで達成されるものではない。財源面もサービス面も、持続可能な社会保障のあり方の議論こそ必要だ。
政府・厚生労働省は来年度の介護報酬改定で、ホームヘルパーが掃除や調理をおこなう訪問介護の生活援助を1日1回程度以上利用する場合、ケアマネジャーに市区町村への届け出を義務付け、保険者がケアプラン点検を行う方針です。
この問題を中心に「国会集会 介護報酬改定 ケアプランは誰のもの?」が13日、参院議員会館で開かれました。主催は市民情報オフィス・ハスカップ。
認知症の人と家族の会の副代表理事で、社会保障審議会介護給付費分科会委員の田部井康夫さんは、「ケアプランチェックは利用制限として機能する。生活援助の利用制限は、認知症の人が地域で暮らすことを困難にし、認知症対策として国が定めた『新オレンジプラン』にも反するもので、撤回を強く求める」と主張しました。
淑徳大学の鏡諭教授は介護保険制度の理念や枠組みに照らし「利用者とケアマネジャーの間の契約で成り立っているサービスに、保険者がどの程度介入できるかは慎重な議論が必要になる」とのべました。
東京都内のケアマネジャーの水下明美さん、福祉ジャーナリストの浅川澄一さん、シルバー新報編集長の川名佐貴子さんも発言しました。
各党国会議員が参加。日本共産党から小池晃書記局長・参院議員と倉林明子同議員が出席しました。
2018年2月14日(水)
(愛媛新聞)
高齢になっても誰もが安心して暮らせるよう、社会で支え合うはずの介護保険サービスが、費用抑制の号令の下で「劣化」を続けている。主体である利用者が置き去りにされかねない状況に、懸念が募る。
厚生労働省は2018年度からの3年間、介護保険サービス事業所に支払う介護報酬の改定方針をまとめた。柱は、リハビリで高齢者の自立支援や状態改善を進めれば報酬を手厚くすることだ。介護費用を抑えるため「成果報酬」の仕組みを取り入れて、結果を求める。
しかし、懸命なリハビリでも改善が難しい人は多く、老い自体を「治す」ことはできない。だからこそ、一人一人に合ったサービスを自分で選び、尊厳を失わず、少しでも生きやすくするのが介護保険の理念。その根本を忘れて無理に自立を迫り、「成果」だけで判断することはあってはならない。
今回は6年に1度の診療報酬との同時改定の年。医療と介護の連携強化による「病院から在宅へ」の移行促進も打ち出された。団塊の世代が全て75歳以上となる25年が迫り「多死社会」を迎えることから、みとりに対応する介護施設への報酬を加算する。
もちろん、身体機能が保たれて生活の質が向上し、住み慣れた地域やなじんだ施設のスタッフのもと最期を迎えられれば、それは歓迎すべきことだ。ただ理想と現実のギャップは、大きい。独居や老老介護が急増する中、24時間往診体制は整わず、地域の在宅介護サービスは不十分。このまま自立や在宅を促しても生活維持は難しい。まずは地域の介護体制強化に向けた政策に注力しなければならない。
国は昨春までに、比較的軽度の「要支援1、2」を対象にした訪問介護と通所介護(デイサービス)を介護保険制度から外し、市区町村の事業に変えた。だが今、多くの自治体が運営難の窮地にある。担い手が不足して、大手事業者は採算の取れない地方から撤退を続けており、共同通信の調査では、県内1市を含む109自治体で業者を十分確保できていない。
以前から人手不足は問題になっていた。過疎化が進む地域で経営が厳しいことも当然分かっていたはずだ。住民のボランティアをあてにし、地方に丸投げした国の責任は重い。「介護難民」を生まないよう、制度の立て直しを急ぐ必要がある。
介護職の賃金水準はいまだ全産業の平均に遠く、これまでのような小手先の待遇改善策をいくら繰り返しても、人手は確保できまい。昨年、国は処遇改善策として月給を平均1万円引き上げるよう加算を拡大したが、職員への支給は半額程度にとどまっている。
25年までにはあと7年。体制整備は喫緊の課題だ。一刻も早く現状に向き合い、介護保険で足りない部分は政策で補って、必要な財源確保に本腰を入れなければ、間に合わない。
都道府県知事には、「稼働していない病床の削減を要請・勧告(対民間医療機関)および命令(対公的医療機関等)」する権限が与えられています。それを踏まえて(2)については「非稼働病棟を持つ医療機関に、地域医療構想調整会議に出席のうえ、▼病棟を稼動していない理由▼再稼働させる予定の有無―などを説明してもらい、再稼働させる必要性や、非稼働のまま維持する必要性が乏しい場合は、病床削減を要請・命令する」よう求めています。
また(3)の病床新設を申請した医療機関について、都道府県には「病床新設を認める代わりに、将来不足する医療機能を提供する条件を付ける」権限などが与えられています。地域医療構想調整会議での協議では、病床新設を申請した医療機関に「新設する病床で担う医療機能」などを説明させ、▼医療機関が説明したとおりの医療機能を新設病床で担わせれば、その医療機能の病床数が、地域でますます過剰になってしまう▼他医療機関の今後の機能転換の方針を踏まえても、病床不足が見込まれる医療機能が別にある―ような場合、知事権限を行使することが求められるでしょう。