無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 医療制度改革

老衰が増えているといます。しかし老衰の定義は今一、明確ではないようです。老衰かどうかは医師の判断にゆだねられるようで、多少のバイアスはかかると言われ、地域格差も大きいようです。但し、老衰死亡率と医療費との間には相関がありそうで、老衰率が高い自治体は医療費も低いというデータが出ていますので、できるだけピンピンコロリが望ましいことは言うまでもありません。
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ピンピンコロリは経済的?「老衰」は医療費も安い

死亡率格差は男7倍・女4倍
ZUU online編集部


少子高齢化の急速な進展・医療技術高度化・薬剤価格の高騰等を背景に、医療費は増え続けている。昭和60年には16兆円だった医療費は、10年後の平成7年には27兆円、平成17年には33兆円、30年経った平成27年には43兆円に達した。

一方で一人当たりの医療費は、俗に「大往生」とも呼ばれる老衰による死亡率と逆相関の関係にあることが明らかになってきた。加えて、米国と違って健康・寿命に地域差が少ないと言われてきた日本でも、大きな自治体格差が存在することもはっきりしてきた。

長寿化の影響で大往生は増え続けている

死亡原因の順位は、時代の移り変わりとともに変化している。戦前から戦後しばらくの間ずっとトップだった結核(人口10万人対死亡率200人)は、今では統計データから消えている。一方悪性新生物(ガン)は、1981年に脳血管疾患を抜いてから、一貫してトップの座にあり、死亡率は300人に達する。

老衰による死亡率はガンに及ばないものの、1990年代の16人(7番目、自殺は6位)を底に徐々に増え続け、2016年度は74人に達し、順位も5位まで上昇した。死亡者数も、1990年代の3万人から、2016年には9万人に増加している。この数字は、総死亡者数131万人の6.9%に相当する。

要因は平均寿命の伸長、長生きにある。年代別に見ると75-79歳の場合老衰は10位1.3%に過ぎないが、80-84歳では5位3.5%に上昇、85-90歳では7.4%、90-94歳では3位14.4%、95-99歳ではついにトップ23.8%に躍り出る。老衰による死亡率は男女による差も大きく、比較的長生きの女性が11.0%に対して、男性は3.4%に過ぎない。

老衰とは何か

厚生労働省が発行する死亡診断書記入マニュアルでは、「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死」の場合を老衰による死と定義している。

たとえ直接の死亡原因が「嚥下性肺炎」だとしても老衰を原因として肺炎を併発した場合には、直接の死亡原因欄にその旨を記載することとされているが、統計上は「老衰」としてカウントされる。老衰が原因かどうかの判断に関しては、多少医師のバイアスがかかると言われている。

地域によって大きく違う老衰の死亡率

こうした死亡原因は、地域によって大きく異なる。老衰による死亡原因の地域格差を、厚生労働省の統計資料「標準化死亡比・主要死因・市区町村別」に基づき検証した。

その結果、男性の場合、全国平均を100とすると茅ヶ崎市(神奈川県)の210.2なのに対し、茨木市(大阪府)では30.9であり、その格差は6.8倍に達することが分かった。茅ヶ崎は女性でも全国平均に対し170.2を記録している。ちなみに下位4位までは、茨木市の他、寝屋川市、枚方市、吹田市と大阪府郊外が独占している。

老衰死亡率が高い自治体は医療費も安い

この老衰後死亡率と、医療費とには相関関係が見られる。老衰死亡率が高い茅ケ崎の一人当たり医療費が35.5万円と、全国平均を5万円下回る。対して茨木市の場合は41.7万円と全国平均をやや上回る。75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度に係わる医療費に絞ると、相関関係はより顕著となる。茅ヶ崎市の医療費が81.5万円で全国平均の93.4万円を、11.9万円下回る。

一方で茨木市は106.4万円と、全国平均を13.0万円も上回る。ガンに罹患すると、一般的には手術・薬剤などの加療が必要で医療費がかさむ。長期の入院を擁するケースも増え、ベッド代もかさみがちだ。老衰なら終末期を病院以外で過ごすケースも増え、医療費が抑制できる。

ちなみに全国平均を上回るような自治体が全て茅ヶ崎市並みに医療費を抑えれば、日本全体で2.3兆円の医療費を削減できる。

複合的な視点で地域差をなくす

もちろん、医療費の地域差は老衰死亡率だけが要因ではない。例えば後期高齢者一人当たり医療費のワーストには、高知市・南国市・土佐市・長崎市・指宿市など九州・四国地方がずらりと並ぶ。こうした減少の要因を解析し、解決策を見出すことが医療費削減につながる。
(ZUU online編集部)

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訪問診療が増えないと言われます。その理由は24時間、緊急時の対応が難しいからと医師の側の拒否感が強いとのことです。国がどのように在宅医療を進めても、患者が求めても医師の側から拒否されれば増えようがありません。介護も同様ですが、ニーズはあるのに供給が追い付かない、市場原理からすればおかしな話です。医師の負担を軽減する取り組みと同時に、医師の在宅医療についての意識も変えてもらわねばなりません。在宅医療は手間がかかり、医療費が下がるとは思えないという考えの医師もいるようですが、訪問診療をやらねば生き残れないぐらいの対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
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訪問診療、増やせる? 課題は患者への24時間対応

重政紀元

朝日新聞 2018年3月13日19時00分

医療体制の「入院から在宅」を目指す国の施策の中核で、患者側の期待も大きい訪問診療。だが、「患者への24時間対応」に対する医師側の拒否感は根強い。取り組む医療機関を増やすため、医師の負担を軽減する試みも始まっているが、見込み通り進むかは不透明だ。

医療体制の「入院から在宅」を目指す国の施策の中核で、患者側の期待も大きい訪問診療。だが、「患者への24時間対応」に対する医師側の拒否感は根強い。取り組む医療機関を増やすため、医師の負担を軽減する試みも始まっているが、見込み通り進むかは不透明だ。

 「きょうは寒いね、調子はどう?」。茨城県常総市の伊藤金一医師は月1回、坂東市の中村ふくいさん(88)宅を看護師、薬剤師らと訪れる。

 中村さんは20年前から高血圧のため伊藤さんの診療所に通っていた。それが昨春に自宅で転倒、歩行がおぼつかなくなった。伊藤さんは「家に住み続けたい」という中村さんの要望に沿って訪問診療を始めた。

 診るのは高血圧だけではない。脚力を回復させるため、訪問リハビリの利用を指示。手すりの設置など自宅の改修の相談にも乗った。中村さんは現在、自宅内であれば歩いて移動できる。娘の里子さん(56)は「日常の暮らしまで見てくれるので、安心して家族で介護していける」と話す。

 伊藤さんは24年前から診療所での診察とともに、毎週1回、午後を訪問診療に充てている。対象はもともと通院していた高齢者や重い障害がある患者だ。

 基本的に患者宅にいるのは10分ほど。伊藤さんが患者の診察をしている間に、看護師や薬剤師が家族に生活の変化や服薬の状況などの聞き取りをする。年に数回はケアマネジャーも立ち会い、今後の介護方針も決める。

 伊藤さんは「すべての患者さんを在宅で診られるわけではないが、訪問診療は患者さんの生活と体調を大きく改善させる可能性が高い医療だ」と話す。

ログイン前の続き緊急時の対応、医師の拒否感強く

 医師が患者宅を訪れて診察することは「1世代前の医師は普通にしていた」(県医師会幹部)。だが、医師が常駐しない「駅前クリニック」の急増などで、在宅医療をする医師は激減しているとされる。

 医師の拒否感が強いのは、緊急時の対応だ。訪問診療の中でも報酬が高い在宅療養支援診療所だと、患者の急変時、医師側は24時間体制で対応しなければいけない。「いつ呼び出されるか分からない生活なんてできない」(同)というわけだ。

 一方、高齢化により訪問診療の需要は増えるのは確実だ。県の推計だと、2013年には1日あたり9857件だったが、25年には1万3785件と4割程度増える見込みだ。

 だが、県内の提供体制は乏しい。在宅療養支援診療所は10万人あたり6・8施設と全国平均の11・2を大きく下回り、それを支える訪問看護ステーションも全国平均の5・7施設に対し3・7となっている

報酬増やし、負担軽減

 県は訪問診療をする医師を支えようと、今年度から25ある郡市医師会ごとに、医療機関が在宅医療のためのグループをつくると、最大100万円を補助する事業を始めた。1人の患者を複数の医師で診療できるようにすることで、負担軽減につなげることが目的だ。これまでに12グループ(63医療機関)ができた。

 4月の診療報酬改定でも優遇が目立つ。入院基本料の高い急性期病床を削減する一方、訪問診療では複数の医療機関と連携して24時間対応を取ると、主治医以外の医師の診察でも報酬を上げるようにした。

 国が訪問診療を推進するのは、「病院や施設に入るのは嫌だ」という患者側の要望とともに、増え続ける医療費を減らす意図があるとされる。

 ただ、国の思惑には懐疑的な意見が出ている。県南のベテラン医師は「体力的な負担を増やしてまでやりたい医師は限られる。在宅医療は手間がかかり、医療費が下がるとは思えない」と言い切る。

 集合住宅に患者を集め効率的に診療費を稼ぐ「囲い込みビジネス」の問題も残る。県内は東京など高齢者施設が不足する地域の受け皿になっており、「訪問診療のかなりの割合は自宅外での診療」(在宅医療に詳しい訪問看護師)という。

 国は同一住宅で複数患者を診療した場合の報酬を引き下げているが、県医師会の諸岡信裕会長は「自宅に住み続ける支援をするのが訪問診療の本来のあり方だ。制度面での支援も(施設化しているケースと)もっと差を付けるべきだ」と話す。

訪問診療とは

 医師が患者宅で行う診察は一般には在宅医療と呼ばれ、医療制度上では「往診」と「訪問診療」に分かれる。往診は通院できない患者の要請でその都度に臨時に行う診療。これに対し、訪問診療は長期療養が目的で、定期的(月1~2回)に診療、治療、療養上の相談を行う。

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医師の地域偏在是正に向けて改正医療法を閣議決定したようです。埼玉と徳島では人口10万人当たりの医師数が2倍近い差があります。長い時間をかけて今のような地域偏在が生まれてきた背景を考えると、簡単に是正ができるとは思えません。県段階の権限を強化するだけではなく、国レベルで強力に進めねば是正にはつながらないのではと考えます。
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地域偏在是正へ 医療法改正案など閣議決定

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『医者は患者を助けるだけでなく、「生き方の終わり方」を考える手助けもできなければいけないのではないか。』という中村ゆきつぐ先生に賛成です。その為には、医者も含めて国民の教育が必要であり、その理解が広く進めば、多くの人が無駄に医療費をかけず、無駄な罪悪感にも苛まれずに死んでいけるのではないかと思います、という先生の言葉に我々も腹をくくらねばなりません。
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「生き方の終わり方」の具体例 みんなが知ればいい道が得られる      中村 幸嗣  2018/3/12(月)  コラム

最近医療情報に差が出てきています。いいものは本当みなさんに是非読んで欲しいし、また高血圧は治療するなとか相変わらず焼き直しのとんでも医療も出ています。

そんな中あのDrGの林先生がAERAのこんな記事に登場しました。(「寝たきりはイヤ」ドクターG・林寛之医師が実父のためにしたこととは)林先生について書いた以前の記事です。

林先生は救急の先生。それこそ命を救うことが専門です。そんな中自分の経験からこれから必要な「生き方の終わり方」を提言されています。

>ICUに入って1泊50万円も100万円もする治療を2、3日続けて、結局亡くなるんです。その200万~300万円の医療費は税金で払う。どうしてこんな、無駄な医療をするんでしょうか

救急車で運ばれて蘇生をした時の状況を話されています。そう、そのお金は3割家族の自腹、そしてもっと長くなれば高額療養で払う額は少なく見えますがどんどん税金が使われます。これを無駄と捉えるかどうかは価値観の違いはあるのですが、正直税金でなくていいかもです。

>「蘇生しても植物状態で人工呼吸器につながれ、施設に入るか、家に連れて帰ってご家族が面倒を見なければならないのですよ」という説明の仕方をする

こちらも救急で運ばれた時の延命処置後の具体的な例の提示です。こうやって家族に緊急の場で決定をしていただくためには、医療者がしっかりイメージを提示をしなければいけません。それでも先ほども書きましたが1秒でも長生きして欲しい方はいます。

>「ご家族の方が決めてください」ではなくて、「ご本人が元気だった時、どんな最期を迎えたいと言ってましたか」と聞くこと

意識がない家族の生命を決めることは家族にとってとてもストレスです。それこそ医療者の私もそうでした。だからこそ後押しを医療者がしてあげるべきなのです。

>あのまま病院にいれば、あと半年くらいは生きたと思いますよ。1日に1本点滴するだけで、2~3カ月は生きますから。

自分の家族にどうしてあげたいか。半年の拷問のような生の後の死と数日の希望に満ちた生の後の穏やかな死。エビデンスではありませんが、人間としてどうあるべきかというものになるでしょうか。

医者は患者を助けるだけでなく、「生き方の終わり方」を考える手助けもできなければいけないのではないか。医者も含めて国民の教育が必要です。その理解が広く進めば、多くの人が無駄に医療費をかけず、無駄な罪悪感にも苛まれずに死んでいけるのではないかと思います

以前の記事で医療者が患者を路頭に迷わせると書きました。医療者が度胸を決めなければいけません。ただそこに持っていくには間違った司法で裁かれることを避けなければいけません。そしてコストも取るべきです。今の医療、医師に何を望むのか。私がずっと言わせてもらっていることです。(救急医療への提言(1)、(2)、(3)、(4))そしてこのことを実現化するのは正しくわかりやすい医療広報が必要なのです。

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次期医療計画と介護保険事業計画の整備量の関係について、下記のイメージ図をみればどのように今後増大する在宅医療ニーズを取り込もうとしているのが良くわかります。但し、介護施設の中身がよくわかりません。このような議論をするときには施設なのか在宅なの明確にすべきだと思います。介護施設というのは特養、老健、療養病床、それ以外は在宅施設とでも区分した方がよいのではないでしょうか?
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メディ・ウオッチ 2018年3月5日|医療計画・地域医療構想

2021年に医療計画の中間見直し、在宅医療推進が最重要テーマに―地域医療構想・在宅医療ワーキング(2)


地域医療構想では、▼一般病床のC3未満の患者▼医療療養病床の医療区分1患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―は、外来・在宅医療・介護サービスのいずれかで対応することとなり、その整備量をどう見込むかが当面の重要課題の1つである
地域医療構想では、▼一般病床のC3未満の患者▼医療療養病床の医療区分1患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―は、外来・在宅医療・介護サービスのいずれかで対応することとなり、その整備量をどう見込むかが当面の重要課題の1つである
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