無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 貧困・生活保護問題

日本の人権意識の低さ














 今や高齢者が生活保護になることに抵抗のある人は極めて少なくなりつつあります。そのことを表す調査が行われています。独立行政法人経済産業研究所が2023年に行った調査で、その実態が伺えます。年金だけでは生活できない多くの高齢者が増え、既に全生活保護受給者の過半数を超えています。恐らく、今後も増え続けるであろうと思われます。本研究の新たな発見は、生活保護の受給は65歳以上の高齢者の生活満足度に影響を与えないということです。恐らく格差社会の拡大によって、今後、生活保護受給に対する考え方が大きく変わってくるでしょう。桐生市のように行政が生活保護申請をガードするような時代ではないのです。日本の人権意識の低さは世界でも群を抜いていることを我々は自覚しなければなりません。

結果は以下のとおりです。   
(1) 65歳以上について、生活保護受給の状況は生活満足度に影響を与えない。   
(2) 64歳以下について、先行研究と同様に、生活保護の受給状況は生活満足度にマイナスの影響を   与える傾向がある。   
(3) 性別による生活保護受給の影響の違いは見られない。   
(4) 地域による違いについて、先行研究と同様に、仙台市や足立区のような生活保護受給者の人口に対する割合の低い地域ほど、生活保護の受給は生活満足度にマイナスの影響を与える傾向にある。   

今、ニッポンの生活保護制度 はどうなっているの?(日本弁護士連合会)
日本の生活保護利用率は、先進諸外国とくらべると極めて低い数字にとどまっています。むしろ、数百万人が保護から漏れています。日本では人口の1.6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。

仮に日本の捕捉率をドイツ並みに引き上げると、利用者は717万人になります。2012年に入ってから全国で起きている「餓死」「孤立死」事件発生の背景には、生活保護の利用率・捕捉率の低さが影響していると考えられます。
生活保護の世界の捕捉率

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生活保護の受給が幸福度に与える影響:日本の高齢者による検証 
RIETI 独立行政法人経済産業研究所 
 日本における生活保護制度は、経済的に困窮している人々に対して国の責任において最低限の生活を保障する、いわば最後のセーフティーネットとして機能している制度である。しかし、日本では生活保護基準よりも低い収入しか得ていない世帯のうち、実際に生活保護を受給している割合は、先行研究によると16%から20%程度でイギリス、アメリカ、ドイツなどの他の先進諸国と比較すると低い状況にある。このため、日本では生活保護が必要な人々に十分に行き渡っていないとも指摘される。   

日本の生活保護受給者の人口に対する割合は1%程度であり、多くの人々が生活保護を受給しない状況となっている。生活保護を受給しない理由の一つとして考えられるのが、「福祉のスティグマ(恥、不名誉な烙印)」である。これは、生活保護を受給すること自体が幸福度を下げる可能性があるもので、こうした傾向は海外の先行研究から明らかになっている。しかし、海外の先行研究は、失業を文脈とした、働ける年齢層に主眼を置いたものであり、働くことが難しい(難しくなりつつある)高齢者に着目した研究は行われていない。また、海外の状況は明らかになりつつある一方、日本の状況は明らかにされていない。本研究では、日本の状況について、65歳以上の高齢者に焦点を当て、生活保護の受給が幸福度に与える影響について検証した。
  

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

生活保護申請過去最高














生活保護申請者の数が急速に増えつつあります。去年(23年度)1年間の生活保護の申請件数は25万5079件、前年(22年度)の23万6935件より7.6%増加と大幅に増加。21年度の申請件数は前年度比0.8%増の22万9878件でしたのでここ数年は急速に増加している状況が伺えます。新型コロナが感染拡大した2020年から4年連続で増加しており、昨年はこの11年間で最も多くなりました。   

半面、生活保護利用者に対応する自治体のケースワーカーの業務負担増が深刻化しています。利用者は200万人超の高水準が続き、新型コロナウイルス禍もあって増加してきました。しかし、ケースワーカーの充足率は低下傾向が続き、対応内容が利用者の高齢化で複雑化していることもあり、業務負担は限界にきていると危惧されています。ケースワーカーの「充足率」は05年度以降に全国で100%を切り始め、20年度は93%に低下しています。このままでは90%を切ることになるでしょう。   

コロナ対策で行われている生活支援金の貸付制度などが終了した場合に「新規の保護申請が増える可能性がある」(厚労省担当者)とされてきましたが、現実のものとなって参りました。このままでは利用者増でさらにケースワーカーの充足率が悪化する懸念も出てきています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
生活保護申請 去年は25万件超と最多 この10年余りで 
NHK2024.3.6
 去年1年間の生活保護の申請件数は前の年より7.6%増えて25万件を超え、この10年余りで最も多くなったことがわかりました。厚生労働省は「新型コロナの影響が長期化したことや、物価高騰などで貯蓄が減少していることが影響していると考えられる」としています。   

厚生労働省によりますと、去年1年間に全国で生活保護が申請された件数は、速報値で25万5079件と、前の年と比べて1万8123件、率にして7.6%増えました。  

 生活保護の申請件数は、現在の方法で集計を始め、比較が可能な2013年以降、6年連続で減少していましたが、新型コロナが感染拡大した2020年から4年連続で増加していて、この11年間で最も多くなりました。   

去年12月の時点で生活保護を受給している世帯は全国で165万3778世帯と、前の年の同じ月と比べておよそ7092世帯、率にして0.4%増加しています。   
特に単身の高齢者世帯が多く、84万1307世帯と、全体の51.1%を占めています。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

生活保護代理納付














 以前から聞いていた話でしたが、やはり現実にあったのですね。大阪の茨木市の元職員が生活保護受給者を不動産会社に紹介することで、紹介料を得ていたという。不動産会社にとっては生活保護受給者はある意味でドル箱でもあるのです。但し、自立型の生活保護受給者に限ります。この問題は、貧困ビジネスと密接に絡み合います。   

生活保護法37条の2により、福祉事務所から家主に直接、住宅扶助費(共益費を含む)が支払われることがあります。これを「代理納付」といいます。   

生活保護受給者を賃貸住宅に受け入れる際には、生活保護費の代理納付を行うことで家賃のとりっぱずれが無い、お得意様となるのです。従って、空き物件の多い賃貸住宅では行政と連携の上で、生活保護受給者を優先的に受け入れるという話は以前から多く聞いています。   

但し、今回のような行政担当者が不動産事業者からリベートを取ることはあってはならないことです。恐らく大阪の事件だけではないと考えられます。恐らく氷山の一角ではないでしょうか?   

問題なのはそれだけではありません。自立度の高い生活保護受給者は賃貸住宅のニーズがあるのですが、要支援や要介護といった高齢者はリスクが高いのを理由に受け入れができません。そのことも大きな都市部における問題となっているのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
大阪・茨木市元職員に有罪判決 生活保護受給者紹介する見返りに現金 
朝日新聞デジタル2024.3.7  
 賃貸住宅を探す生活保護受給者を優先的に紹介する見返りに現金を授受したとして、収賄罪に問われた元茨木市職員の正瑞(しょうずい)千人(かずひと)被告(38)と、贈賄罪に問われた豊中市の不動産会社代表取締役茶谷光嗣(こうじ)被告(43)の判決が7日、大阪地裁であった。中川綾子裁判官は、正瑞被告に懲役1年6カ月執行猶予3年と追徴金61万3千円(求刑懲役1年6カ月、追徴金61万3千円)、茶谷被告に懲役1年執行猶予3年(同懲役1年)を言い渡した。  

判決によると、正瑞被告は茨木市生活福祉課職員だった2019~21年、生活保護受給者を紹介する見返りに茶谷被告から50万円、別の不動産業者から11万3千円を受け取った。 中川裁判官は正瑞被告について、現金の授受を茶谷被告側に持ちかけるなど「積極的に犯行に及び、職務の公正や社会の信頼を損ねた」と指摘した。その上で、両被告とも前科がないことなどから執行猶予が妥当と結論づけた。(堀之内健史)
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ライトプラン 


































本日も身元引受のお問い合わせがありました。パートナーの男性が生活保護で施設に入っておられ、今までお相手の女性が施設の身元引受を行ってこられたようですが、ご本人も病気になり、お世話が出来なくなったので、誰か身元引受をしてもらえないかと、行政に相談に行ったようです。   

 しかし、行政は当然そのお世話ができないというので、どこか身元引受を頼めるところを紹介して欲しいと言っても、公共機関は民間の事業者を紹介するわけにはいかないと断られたようです。   

 これも残念な話ですね。身元引受事業者が登録制になって公的機関が関与できる段階に早くしないと多くの身寄りの無いご家族や関係者が困ってしまいます。紹介できてもそれは個人的ということになりそうです。   

 その方は仕方なしにネットで探して、当協会にたどり着いたようです。約1時間ほどお話をして内容について説明をさせて頂きました。生活保護でもそこまでやって頂けるのですかと驚いておられましたが、多くの方々はまだ知りません。お金が無い人の身元引受は誰もやってくれないと思っておられるようです。  

 当協会の生活保護や低所得者向けの「ライトプラン」をお話をさせて頂き、早急にご検討を頂けるようになりました。一人でも多くの方々に我々のサービスを知って欲しいと痛切に思いました。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

生活保護減額取消訴訟














三重県の生活保護受給者が津、四日市、桑名、松坂の4市に対して訴えていた生活保護減額処分取り消し訴訟で、津地裁は22日に専門的知見を度外視した政治的判断があったとして、生活保護費引き下げを取り消すように命じた。   

竹内浩史裁判長は減額の背景に「自民党の選挙公約への忖度(そんたく)があったと推認できる」と指摘。厚生労働相の裁量権の乱用を認めた上で、生活保護削減を掲げた自民党の2012年に政権復帰したことが背景にあったと断言している。   

これまで地裁の判決は26件、減額取り消しをみとめたのはこれで16件目、これは当然の流れであろう。   

生活保護減額処分取り消し 津地裁判決「政治的判断背景」 三重 
伊勢新聞2024.2.23
 生活保護費の引き下げは違法だとして、三重県内の受給者20人が津▽四日市▽桑名▽松阪―の4市を訴えた裁判で、津地裁(竹内浩史裁判長)は22日、「専門的知見を度外視した政治的判断があった」などとして、生活保護費の引き下げを取り消すよう命じた。   

内裁判長は判決で、生活保護に対する国民の不公平感や不信感を背景に「厚生労働大臣が専門家の意見を軽視して、政治的方針を実現しようとしたと見るほかない」と指摘。  

 厚労省が用いた独自指数を「物価が一時的に上昇した平成20年を起点とする合理的な理由はなく、恣意的な選択をしたとみられてもやむを得ない」と問題視した。   

今回の生活保護費の引き下げを「受給者の最低限度の生活を脅かす」とし、「専門的知見に基づく検討が不十分で、手続きには過誤、欠落があった」と結論付けた。   

原告弁護団によると、一連の訴訟は全国29の地裁で起こされ、地裁の判決は26件目。うち15件で減額処分の取り消しを認めている。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ