無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などといった様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2000年から①ローコスト高齢者住宅の開発②身元引受サービス③中小零細高齢者住宅事業支援サービスをかかげた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 貧困・生活保護問題

無料低額宿泊所は社会福祉法に基づく施設で、無料あるいは低額で生活困窮者に宿泊場所を提供する。厚生労働省によると、2015年6月時点で全国に537施設あり、1万5600人が利用。約半数が入居前の状況がホームレスで、約3割が施設に4年以上入居している。その内、スプリンクラーの未設置が91.8%の493施設といいます。自治体の改善命令ぐらいでは解決はしません。
・・・・・・・・・・・・
自立支援住宅、防火対策「余裕ない」 札幌火災巡り

      
   日経新聞 2018/2/23 1:30

札幌市の自立支援を掲げる共同住宅「そしあるハイム」で1月末に起きた11人が犠牲になった火災は、同種の施設関係者に衝撃を与えた。

全国には高齢者や生活困窮者の受け皿として施設が点在。老朽化した木造家屋が多く、防火対策が万全とは言えない。資金難が主な要因だが、入居費を上げれば生活の厳しさを増す。関係者は支援の強化を求めている。

消火器は設置されているが、スプリンクラーはない(8日、神奈川県茅ケ崎市の「ポルト湘南・辻堂」)

消火器は設置されているが、スプリンクラーはない(8日、神奈川県茅ケ崎市の「ポルト湘南・辻堂」)


 神奈川県茅ケ崎市の社会福祉法に基づく無料低額宿泊所「ポルト湘南・辻堂」。築40年以上の木造2階建てで、6畳一間の個室が15部屋あり、52~88歳の男性12人が入居している。各部屋に火災報知機があり、廊下など6カ所には消火器が設置されていた。

 「札幌の火災は人ごととは思えない」と話すのは施設長の佐々木健一さん(30)。2015年に川崎市の簡易宿泊所で11人が死亡した火災などが起きるたび、文書や口頭で入所者に火の取り扱いについて呼びかけてきた。しかし義務ではないがスプリンクラーはない。「数百万円の設置費用を捻出する余裕は全くない」とぼやく。

 入居費は月4万1千円で朝夕食や光熱費、病院への送迎費などを含めても月8万円台でおさまる。病気や家族の事情で住む家を失い、8年前から入所する男性(76)は「ごはんは健康的でおいしく、風呂も毎日入れる。日々幸せで、生きる上で大切な場所だ」と話す。

 運営するNPO法人「湘南ライフサポート・きずな」の川辺克郎理事長は「防火対策費を入所者からもらえば、彼らの生活が行き詰まる。一体どうすればいいんだ」と途方に暮れる。

 NPO法人「ワンファミリー仙台」も所有する木造アパートで生活困窮者を受け入れている。火災には細心の注意を払っており、石油ストーブ使用者にはファンヒーターを貸し出したり、全室のキッチンでガスコンロからIHコンロに切り替えたりした。同法人の白鳥貴寛住居支援課長(45)は「防火対策は進めているつもりだが、これ以上は限界がある」と話す。

 低所得者向け施設を巡っては火災が相次いでいることや貧困ビジネスの温床になっていることから、政府は社会福祉法などの改正案を今国会で成立させる方針。消火器設置や避難訓練などを法令に明記し、最低基準を下回る場合は自治体が改善命令を出せるようにする。

 生活困窮者の支援に詳しい立教大の木下武徳教授(社会福祉学)は「防火対策を進めたくても資金面で進められない施設は多い。行政はスプリンクラーなどの防火設備の設置に補助金を出すなど、悲劇を繰り返さないよう対策を進めてほしい」と話している。


スプリンクラー設置、1割満たず


 無料低額宿泊所は社会福祉法に基づく施設で、無料あるいは低額で生活困窮者に宿泊場所を提供する。厚生労働省によると、2015年6月時点で全国に537施設あり、1万5600人が利用。約半数が入居前の状況がホームレスで、約3割が施設に4年以上入居している。

 スプリンクラー設置は義務付けられていないが、493施設(91.8%)が未設置だ。厚労省の担当者は「施設運営者が建物を所有していないケースがほとんどで、運営者が勝手に手を加えられない事情がある」と説明する。

 一方、社会福祉法などに規定がなく、生活保護受給者が2人以上利用するなどしている施設は全国に1236施設。中でも北海道が307施設と4分の1を占めている。


札幌市の自立支援住宅火災


 生活困窮者らの自立支援を掲げる札幌市東区の共同住宅「そしあるハイム」で1月31日午後11時40分ごろ出火、木造一部3階建て約400平方メートルを全焼し、入居者の男女11人が死亡した。共同住宅は同市の合同会社「なんもさサポート」が運営しており、入居者の多くは高齢の生活保護受給者だった。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

何と、札幌自立支援共同住宅は「福祉法で定める有料老人ホームには該当しない」との調査結果を札幌市が厚労省に報告したそうです。
その理由として、「入居要件を高齢者に限定知る事実は確認されなかった」と言われますが、高齢者を一人でも入居をさせ、何らかのサービスを提供しておれば有料老人ホームとみなすという定義はどうなったのでしょうか?社会福祉法の無料低額宿泊所に該当しないとすれば、無届の有料老人ホーム以外にはないはずです。それ以外に何があるというのでしょうか?
厚労省は札幌市に判断をゆだね、札幌市はその責任を運営者に押し付ける気でしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・
産経ニュース2018.2.23 12:03
更新

【札幌施設火災】
11人死亡火災の住宅、老人ホームに該当せず 札幌

生活困窮者らの自立支援を掲げる札幌市の共同住宅「そしあるハイム」の11人死亡火災で、市は23日、そしあるハイムが老人福祉法で定める有料老人ホームには該当しないとの調査結果を発表した。関係者の聞き取りなどから「入居要件を高齢者に限定している事実は確認されなかった」としている。

 60歳以上の入居者に食事を提供していたことから、無届けの有料老人ホームだった可能性があるとして調べていた。市は22日、調査結果を厚生労働省に報告した。

 火災は1月31日深夜に発生し、入居者16人のうち48~85歳の男女11人が死亡した。市は、入居者が長期にわたって継続的に住んでおり、生活困窮者に一時的に居場所を提供する社会福祉法上の「無料・低額宿泊所」にも当たらないとした。

 市は、そしあるハイムと同様に社会福祉に関する各法律上の位置付けがない施設について、実態把握を進める。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ニュース・解説

認知症患者、再入院リスクが1.5倍…機能低下・服薬困難で

高齢で認知症を患っていると、退院して間もなく同じ病気やけがで再入院するリスクが約1・5倍に高まるとする調査結果を、医療経済研究機構や国立がん研究センターなどのチームが発表した。

約180万人のデータを分析した国内初の研究。股関節の骨折や脳 梗塞こうそく 、肺炎などでの再入院が目立ち、入院による身体機能の低下や退院後の服薬の難しさが原因とみられる。米国老年医学会雑誌電子版に20日、論文が掲載された。

65歳以上183万人のデータ活用

 佐方信夫・同機構主任研究員らは、2014年4月~15年9月、全国987病院に入院した65歳以上の患者183万人のデータを活用。日常生活の自立度や薬剤の種類から認知症の有無を推定、認知症を患う27万人と認知症ではない156万人で、退院後30日以内に再入院した割合を比べた。

 再入院した人は計8万6000人。認知症の人が自宅や介護施設に戻ってから再入院するリスクは、年齢による偏りを調整し比べたところ、全体で1・46倍だった。


 病気やけが別では、転倒で足の付け根を折る 大腿だいたい頸部けいぶ 骨折が1・46倍、脳梗塞が1・3倍、食べ物や唾液が気道に入って起こる 誤嚥ごえん 性肺炎が1・23倍と高かった。認知症の重さが違っても傾向は変わらなかった。

 研究チームによると、認知症の人は一般に、入院後、環境の変化や投薬で意識障害や興奮が起きやすくなる。安全のために身体拘束を受けたり、ベッドに寝かせきりにされたりして活動量が減り、身体機能も認知機能も落ちやすい。認知症をふまえたバランスの良い治療を受けずに退院するため、病気やけがが再発しやすいという。

 入院中に身体機能を落とさないためには、痛みの緩和や栄養管理が重要と、研究チームは指摘。退院後は、適切な服薬や飲食の方法について、病院が家族や介護職らへ助言をしたり、電話でフォローしたりすることが必要としている。

 小川朝生・同センター東病院精神腫瘍科長は「高齢に認知症が加わった人は極めて 脆弱ぜいじゃく になるという認識が、医療や介護の現場や家族の間で共有されていない。生活重視の支援体制づくりが急務」と話している。

【解説】退院後のケア、連携体制が急務

 認知症を抱えた高齢者に関する調査結果の背景には、複合的な課題がある。

 一般病院では、認知症を意識した診療体制が構築されていない。日本老年医学会が薬の使い方について示した指針も、現場では十分に生かされていない。

 連携にも問題がある。病院が日中は一人きりなどの生活実態を踏まえず、退院後のケアをする介護職らに「薬は飲める」と引き継ぐため、自宅や施設で本人が薬を飲み忘れたり量を間違えたりすることが少なくない。

 家族は、病院に入れば元気になると思いがちだ。入院自体がリスクになることに気づいていない。

 認知症の高齢者は2012年の約460万人から、25年に約700万人に増えると予測される。再入院を少なくできれば、医療現場の業務を減らし、医療費を抑えることも可能だ。社会全体で意識を変えることが求められている。(医療部 米山粛彦)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

札幌の自立支援住宅の火災について、「生活困窮者への公的支援の乏しさ、縦割り制度の弊害にこそ、この火災を生んだ本質があるとする」とする毎日新聞の記事は正しいと思います。制度設計不足を規制強化と運営責任で片づけることはできません。それに早く気づかねばなりません。
・・・・・・・・・・・・・・
一点張り・論説室から

規制強化では困窮者救えない=野沢和弘

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

医療費の実情について国民の半数超は知らないという日本医療政策機構の調査については疑問です。
これらの数字については良いままで公になったことでしょう。又、調べればいつでもわかることです。誰に調査をしたのかわかりませんが、医療費が大変な金額になっていることがわかれば良いのではないでしょうか?
又、信頼できる医療情報は医師や看護師から発信されるものとありますが、これも変化してきているのではないかと思います。今まであまりに医療情報が知らされていない、医師や看護師からしか知らされていないという閉鎖性に問題があるのではないでしょうか。自由に自分のカルテを他の医師や調査機関に診てもらうといったことはできないでしょうか?何か消化不良の感があります。
・・・・・・・・・・
メディ・ウオッチ2018年2月15日|医療・介護行政全般

医療費の実情、国民の半数超は「知らない」―日本医療政策機構

 現在の医療費はおよそ42兆円で、前年度に比べて1兆5000億円程度増加していることを国民の過半数は知らない—。

 日本医療政策機構が2月8日に発表した「2017年 日本医療に関する世論調査―第二版―」から、こういった状況が明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

医療費の実態を知っている国民は、医療費適正化により協力的

日本医療政策機構では、1月18日に「2017年 日本医療に関する世論調査」を公表しており、そこでは▼医療制度全般に対して、満足と考える国民は47.0%▼満足度が高い項目は「フリーアクセス」や「診断・治療などの技術の質」「医療の安全性」など▼満足度が低い項目は「制度決定への市民参加の度合い」や「制度決定プロセスの公正さ」など—といった状況が明らかにされました。

今般、同じ調査結果をさらに詳細に分析した第二版を公表し、(1)医療保険財政(2)認知症(3)遠隔死亡診断(4)終末期医療(5)医療に関する情報―に関する国民の意識が明らかにされています。

まず(1)の医療保険制度に関しては、「国民医療費がおよそ42兆円(2015年度)であり、前年度に比べて1兆5000億円程度増加している」ことを、国民の過半数(53.7%)が知らないことが分かりました。

もっとも医療費の実態を知っている人の過半数(52.7%)は、▼先発医薬品と成分が同じだが、価格の安いジェネリック医薬品を使用する▼かかりつけ医を受診する▼予防に努める―など、医療費適正化に積極的に協力しており、より多くの国民に「医療費が膨張し、医療保険財政が厳しい」という状況を根気強く説明していくことの重要性が分かります。


国民の8割が、「認知症の早期発見・早期対応」の重要性を認識

また(2)の認知症に関しては、8割近くの国民(77.4%)が「早期発見により進行を遅らせることができる」ことを知っている状況が明らかになりました。機構では「早期発見・早期対応のために物忘れ外来などへのアクセス向上に向けた動きが進んでおり、より一層の早期発見・早期対応が期待できる」とコメントしています。

 
 なお(3)の遠隔死亡診断については、回答者に比較的若い世代が多い(▼20代:11.4%▼30代:14.9%▼40代:17.5%▼50代:15.3%▼60代:17.6%▼70代以上:23.3%)ことも手伝ってか、過半数(54.8%)が賛成しています。

 2018年度診療報酬改定では「オンライン診療の評価」なども行われており(関連記事はこちらこちら)、今後、さらなるICT技術を活用した遠隔医療(オンライン診療)の拡大が予想されます。もっとも不適切な運用が行われれば国民の拒絶につながることも忘れてはいけません。

過半数の国民、自宅で自分が最期を迎えられるか「分からない」

(4)の終末期医療に関しては、「今の住まい環境や家族の下で、自分自身が自宅で最期を迎えられるか」という点について、23.2%は「可能」、24.8%は「不可能」と考え、過半数(52.0%)は「分からない」と回答しています。回答者の年齢層に関わらず「分からない」との回答が多かったことから、国が進める在宅での看取り推進策について、機構は「国民の理解をどのように進めていくべきか検討する必要がある」とコメントしています。

また▼安楽死▼尊厳死▼リビング・ウィル(書面による生前の意思表示)―という言葉を「良く知っている」国民は49.0%と半数に満たず、「知らない(9.8%)」「言葉は知っているが、意味はよく知らない(41.2%)」が半数超という状況です。


厚生労働省は「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定・改訂し、「最期の在り方」を国民一人ひとりが考えることの重要性を示していますが、さらなる啓蒙が必要と言えます。

信用できる医療情報は、「医師や看護師から発信されるもの」

 さらに(5)の「医療に関する情報」については、▼最も信頼できるのは医師・看護師・薬剤師などの医療関係者から発信されたものである▼メディアの中では新聞が発信する情報が信頼できる▼インターネット上にある医療情報の質を向上させるために必要な方策として、「国によるガイドライン作成や規制強化」39.8%、「学校教育などによる国民のヘルスリテラシー(医療情報を理解し、活用する能力)向上」30.5%、「医療関連団体などによるガイドライン作成等」16.3%、「記者の教育」11.9%などを求めている—ことが分かりました。

 メディ・ウォッチでも日々、医療政策ニュースなどを掲載しておりますが、情報の質向上に向けた努力がさらに必要であると痛感しております。
信用できる医療情報は医療従事者が発信するものであり、ネットなどの医療情報は信頼性が低い



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ