無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 身元引受サービス

日弁連の時代錯誤














日弁連が身元保証サービスについて意見書をまもめたとのこと。しかし、その中身は何もなく。勉強不足も甚だしい。幾つかの論点について述べてみたい。  

1.意見書では入院や施設入所について、要件に身元保証人を求めることを禁止する。
➡現状、国も保証人を求めないようにとの指導を行っているが、現実は90%以上が保証人を取っている。この問題についての抜本的な提案も無い。何故、保証人を取るのか、という理由についても触れていないのである。意見にもなっていない。弁護士なら、もし、入院や入所に際して債務が発生した際にはどのように対処するのか、身柄を誰が引き取るのかの具体的な対策を含めての意見であればわかるが、全くふれられていないで、禁止すべきだという。根拠のない意見である。身元保証にを求めざるを得ない現状の分析と具体的な対策がない。ただ単なる願望に過ぎない。  

2.緊急の連絡先や金銭の管理など家族が担うさまざまな役割を公的な地域福祉が対応するための法律や体制整備を求める。
➡独居家族が増え、一人では生活できない高齢者人口は約1000万人と言われる。それを全ての公的な地域福祉が対処すべきだというのであれば、どれだけの人員とコストをかければそれが可能になるのかぐらいの試算をすべきである。何の論拠もなく、ただ単なる願望に過ぎない。そのようなものは意見ではない。根拠のない願望に過ぎないし、妄想である。  

3.高齢者が必要な医療や介護、生活支援を受けられるよう社会福祉制度として公的責任に基づく体制の整備が行われる必要があり、民間のサポート事業の規制も検討することが妥当だ。
➡公的な支援が受けられるようにすべきで、民間サービスは規制すべきであるという意見も、ただ単なる自分たちの既得権を守りたいがための願望でしかない。実際に成年後見制度すらも普及できず、社会福祉制度そのものも機能不全に陥りかけている現状を理解しているのか。要は急速に拡大する高齢社会に制度も法律も追い付いていないことに目を向けるべきである。 もっと積極的な提言をして欲しい。 

日弁連も意見書を出すなら、もっと具体的な対策を含めた実現可能性のある意見を提言すべきである。全く、説得力もない既得権を守らんがための意見書では意味がない。このレベルの意見書しか出せないのであれば、今後の高齢者の権利擁護の体制づくりにおいても期待は持てない。  

身寄りない高齢者の「身元保証」 体制整備など求める 日弁連
NHK 2024.1.30  
 身寄りのない高齢者が入院や施設入所などの際に求められる「身元保証」について、日弁連=日本弁護士連合会は家族がいなくても対応できるよう法律や体制整備などを求める意見書をまとめました。

 「身元保証」をめぐっては単身の高齢者の増加で家族などに代わって保証人の役割を担う民間のサポート事業の需要が高まる一方、所管する省庁や法律がなく、契約に関するトラブルも報告されています。  

意見書では入院や施設入所について、
▽要件に身元保証人を求めることを禁止することや  
▽緊急の連絡先や金銭の管理など家族が担うさまざまな役割を公的な地域福祉が対応するための法律や体制整備を求めています。  

特に民間のサポート事業の位置づけを法律上明確にし、省庁による責任ある監督が必要だとした上で、事業者の登録制の導入や契約前の説明・途中解約時の返金ルールの明確化などを検討すべきだとしています。  

日弁連では「高齢者が必要な医療や介護、生活支援を受けられるよう社会福祉制度として公的責任に基づく体制の整備が行われる必要があり、民間のサポート事業の規制も検討することが妥当だ」としています。
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施設での経済的虐待














高齢者施設での通帳とカードを盗んだ疑いで介護士が逮捕されているが、この手の事件が後を絶たない。恐らく、今後更にその件数は増えるものと考えられる。2020年度には全国で59人が被害にあったと認定されたが、「氷山の一角」と言われている。   

今回の神戸の老人ホームでの通帳とキャッシュカードの窃盗は男性が亡くなった後、通帳などがないことに家族が気づき、被害届を出して発覚したという。   

いつも家族が施設に来て身の回りをチェックしている場合には、すぐさまわかることも、昨今の身寄りが少ないご家族の場合には、時たま来てもなかなか気づかない。   

高齢者施設は個室がほとんどであるが、その個室もセキュリティもあってなきが如しで、不正を行おうとすれば誰でもできてしまう危うさがある。   

それ故に、施設での金銭管理や通帳預り等は極力避けるべきである。   

個人の財産権は憲法上保証された権利であり、他者から不当に侵害されるものではありません。介護という現場では、本人の意思がないがしろにされやすい環境にあり、施設と個人は利益相反の関係にあるため、金銭管理規程が入居契約の中に内包されてしまうというような事態は慎むべきだと思います。最低でも入居契約とは別に金銭管理の委任契約を締結すべきですし、金銭管理規程を詳細につめておく必要があります。   

勤務先老人ホームで通帳とカードを盗んだ疑い 入所男性から、介護士の60歳女を逮捕 神戸
神戸新聞NEXT 2024/1/24   
 介護付き有料老人ホームで入所男性から通帳などを盗んだとして、神戸西署は24日、窃盗の疑いで、神戸市垂水区名谷町の介護士の女(60)を逮捕した。容疑を認めているという。   

逮捕容疑は2017年8月~22年12月ごろ、神戸市西区にある勤務先の老人ホームで、80代の男性から預金通帳1通とキャッシュカード1枚を窃取した疑い。神戸西署によると、女と男性は面識があったという。男性が亡くなった後、通帳などがないことに家族が気付き、23年3月に被害届を出していた。
介護職の窃盗 後絶たず、「経済的虐待」…認知症「事前に後見人を」、発覚は「氷山の一角」
読売新聞2022/02/28   
 介護職員が高齢者の金銭や財産を盗んだり、不正使用したりする「経済的虐待」が後を絶たない。厚生労働省によると、2020年度は全国で59人が被害に遭ったと認定されたが、「氷山の一角」とみられる。老人施設に入居している認知症の高齢者が被害に遭うケースが目立っており、専門家は 任意後見制度 の利用も選択肢の一つとしている。
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高齢者紹介事業淘汰の時代














紹介会社の数も増大、紹介事業は成熟期に入り益々競争が激化、新規施設の開設は頭打ちとなり入居紹介事業は淘汰の時代に入っていることが推察される。

施設・居住系サービスの計画値と実績値を比較すれば、近年急速に供給件数に陰りがでているのがわかる。高齢者施設の需要と供給のバランスが崩れてきている。施設の開発件数が抑制されれば、当然、入居対象者が絞られる。一方、紹介会社はその数を増加させ、結果、競争が厳しくなってきているのは間違いない。
高齢者施設の計画と実績














高住連のホームページ(https://koujuren.jp/search.php)
によれば、現在400を超える事業者が紹介会社として登録している。船井総研によれば未登録業者を考えれば、その3倍(約1500社)ほどはあると考えられている。 船井総研は競争が激化する紹介会社や施設の生き残りをかけての対策を次のように提案している。 「集客基盤を作る方法より」

①多種多様な紹介先を提案できる➡老人ホーム紹介1事業所あたりの対応範囲は約5000床と言われています。1施設あたりの定員数を50とすると約100施設を提案できるという事になります。

②困難事例にも対応できる➡夜間のたん吸引など24時間看護が必要な方、生活保護の方、身寄りのない方などの困難ケースの相談が発生した場合でも断る事なく、対応可能な介護施設を提案する事ができ、専門職からの信頼を勝ち取る事ができます。

③対応スピードが早い➡老人ホーム紹介業は専任の営業マン(相談員)が在籍しており、ケアマネジャーや相談員から問い合わせを受けたその日に施設を提案し、見学日まで確定させるスピード対応を実現させています。

➡上記の実現にむけて、身元引受人として当協会も全力を挙げてサポートをさせて頂きたい。
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上智大学社会福祉学科栃本教授により、身元保証事業のビジネスモデル分析がなされているので紹介をしたい。
論文】市場化する社会保障・社会福祉と身元保証制度からみる消費者保護の在り方についての覚書   栃本 一三郎(社会福祉学科教授)より抜粋

 栃本教授の調査分析により、現状の身元引受サービスのビジネスモデルのあり様が示されている。 教授は4つのタイプに事業者を分類している。
1.独立型 2.身元保証+生活支援型 3.準包括パック型 4.包括パック型 となる。

1.独立型・・・身元保証人になることのみを事業
2.身元保証+生活支援型・・・転院等手続きのフォロー、緊急時の病院への駆けつけ、治療方針・     ケアプラン等の説明への同席、病院等への外出の付き添い、日常的な見守り、金銭管理・支払い   代行などの生活支援を別途用意している。
3.準包括パック型・・・身元保証人になることとその他の生活支援がほぼパックとなっている
4.包括パック型・・・すべてを包括している   
身元引受パッケージの特徴




























 教授の報告では一番多いのが身元保証+生活支援型(12事業者)であり、二番目が準包括パック型(5事業者)、三番目が包括パック型(4事業者)となっている。

 一番多い身元保証+生活支援型では確かに身元保証と生活支援型の両方を対象としているが、金銭管理や支払い代行は制限があり、緊急支援対応にもバラツキがある。   

 流石に保証のみを行う独立型は少ないと思われるが、大勢を占めているのが身元保証と生活支援のパッケージで、金銭管理等を中核に据えての包括パック型(フルパッケージ型)はまだ少ないのではないかと推察される。  
 
 只、栃本教授も記載しているように必要に迫られて始めた事業もあるが、ビジネスモデルはかなり確立されつつある、という認識あ正しいのではないかと思う。  
 
 我々も必要に迫られて始めた身元引受事業ではあるが14年経って、ほぼそのビジネスモデルが確立されたきたのではないかと自負している。  
 
 後はこのモデルをどのように普及させるかである。  
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家族消滅国家














 日本は世界一の超高齢国家になっていることは皆さんが理解していると思うが、もう一方で世界で最も早く「家族消滅国家」となりそうであることも理解して頂きたい。 

少子化対策しても「家族消滅」に向かう日本の現実やがて日本は「超高齢独身国家」となる運命
東洋経済オンライン2024/01/14 
 従来一般的であった夫婦と子世帯は1970年には全世帯数の中で41%を占めていましたが、2020年には25%へと減り、2040年には23%に減少し、代わりに単身世帯は39%になると予測されている。   

 実に4割の世帯が単身世帯という「家族消滅国家」となるのである。夫婦子供で暮らしていた家族の風景が、一人暮らしの風景に代わっていく、そのような時代になっているのである。65歳以上の高齢者人口より、未婚と離別死別を併せた独身人口は約4930万人と大幅に高齢者人口を上回っているのである。
 私が大変危惧しているのはこのような状況下に社会があることをマスコミも国も世に知らしめていないことである。今ある社会のシステム自体が「家族を中心とした社会」を前提にしていることであり、「家族消滅社会」を前提にしたシステムへの転換が全てにおいて遅れているのである。   

 昨日も報告をしたように、70歳を超えると銀行振り込みも制限がかかってしまう。高齢の預金者が一人でお金を降ろしに銀行に行けなければ誰が行うのか?代わりの預金を降ろしてくれる家族もいないのである。
  
 この一点において、日本の介護保険制度は20年経って限界を迎えている。介護の社会化と言いながら、社会化が進まず、家族に頼らざるを得ない現状の介護制度では、既にベースとなる家族が崩壊する中で機能するはずがないのである。介護保険制度を補完する身寄りの仕組みが必要となる。
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