無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 成年後見人制度

成年後見人見直し進む














成年後見人制度の見直しの機運が高まりつつあります。全国権利擁護支援ネットワーク顧問の佐藤彰一 弁護士が、現状の成年後見人制度の問題点と課題を指摘されています。この流れが今後さらに強まることを願います。   

従来から、これまでの成年後見人制度の問題点として挙げられている通り、死ぬまで解約することができない、後見人を選べない、報酬が高い、財産管理以外やってくれない等々の問題点は一昨年、国連が、障害者権利委員会の総括所見として「意思決定を代行する制度を廃止する」観点から民法の改正を日本政府に勧告されている内容です。   

佐藤先生が指摘をしている内容は次の点です。
①判断能力の有無を他者が決めることができないという理由から、判断能力がないことを前提とするのではなく、「能力存在推定」を前提に被後見人の意思決定を支援する制度を考えるべきだ。   

②そのためには、被後見人の意思決定をどう支援するかが重要となる。しかし、本人の意思をどう引き出すかや、状況や環境によって変化する本人の意思をどう捉えるべきかは簡単な問題ではない。そのためには被後見人の生活歴や暮らしぶりなどがある程度わかっていることが重要で、地域や暮らしの視点が求められる。佐藤氏は司法書士や弁護士といった第三者の成年後見人にその役割まで求めるのは困難だと語る。   

③今回の見直しの議論のなかで、後見人が本人に代わって意思決定をする現行制度から被後見人の意思決定を支援するという形に180度転換することができるのか、法改正も必要だが生活支援や地域づくりこそが重要だと主張する。   

特に重要と考えるのが、後見人に代わって、生活支援や地域づくりを誰がどのように行うのか、その仕組みをどう作り上げるかである。既にこの問題に現場は移行しつつあります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
現行の成年後見制度では認知症になった人の権利を守れない佐藤彰一 (さとう しょういち)弁護士、全国権利擁護支援ネットワーク顧問
video news2024年04月6日  
 成年後見制度ができて四半世紀。数々の問題が指摘されてきたこの制度に、やっと見直しの動きが出てきた。    

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などが理由で判断能力が低下した人の財産管理などを代理人が行う仕組みで、2000年にスタートした。成年後見人になるためには特別な資格は必要なく、家族のほか、弁護士や司法書士、介護福祉士などがなる場合が多い。また、その報酬は基本的には被後見人となる本人が負担する。  

認知症によって判断能力が衰える人が増加し、後見制度の必要性が高まる一方で、現行の制度は課題が多く利用しにくいことが指摘されてきた。今年2月に法務大臣が見直しを法制審に諮問したのを受けて、今月から審議が始まる。
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SW負担急増














 本日も病院のソーシャルワーカーから問い合わせがありました。身寄りの無い認知症高齢者の施設への移転に伴い、成年後見人の申請をしたいが、決まるまでに時間を要するので、それまでの間、当協会で身元引受ができますか?という内容でした。当然、お引き受けができますよとお伝えしております。   
成年後見人の申請をしても、4か月から半年近く時間がかかるので、病院としては待てないとのこと、当然でしょう。これまでも同様のケースが数件ありました。認知症がひどくなり実質的な財産管理が困難になった際に成年後見人に移行するのは有りです。成年後見人によっては施設入居の際の連帯保証欄にサインをしないことも通常の対応ですし、財産管理以外の業務については行わないという後見人もおられます。   

後見人の中には別途死後事務委任契約等の身元引受人に近い業務を行って頂ける方々もおられますので、全てを引き受けて頂けるようであれば、その時点でチェンジをしたケースもあります。 あるいは、死後事務や日常サポートは当協会で行い、後見人には財産管理のみという役割分担も可能です。財産が多くなったり、相続問題でもめそうなときには場合によっては成年後見人にお任せをした方が、こちらも身軽になります。      

恐らく、今後、成年後見人との連携のケースも増えてくることが予測されます。身寄りの無い高齢者の増加に伴い、病院のソーシャルワーカーやケアマネの業務は増加の一途となりつつあります。それぞれの組織がきちんとした役割分担をして、スムーズに病院からの移行ができるように便宜を図らねばなりません。   
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身寄りなく入院・入所「可能」は7割 課題は医療費支払いや金銭管理 
朝日新聞デジタル2024.3.10   
 身寄りがない患者への対応について、一般社団法人「東京都医療ソーシャルワーカー(SW)協会」が、都内の病院や介護事業所に勤めるSWらにアンケートしたところ、9割超が、家族や親族による「身元保証」がない人は入院や転院、施設入所が「制約されている」と答えた。医療費が支払われないことへの懸念が背景にあり、協会は自治体による支援を求めている。   

協会によると、身寄りがない患者が増加したことで、従来は家族や親族が担ってきた金銭管理や手続き、死後の対応などをできる人がおらず、SWらが困るケースが増えている。   

厚生労働省は、身元保証人がいないことのみを理由に入院や入所を拒むことがないよう病院や介護施設などに求めている。    
 ただし、現実には、患者に意識がなかったり、キャッシュカードの暗証番号がわからなくなったりすると、預貯金があっても誰も動かせず、医療費や、おむつなど日用品の支払いにもあてられない。症状が落ち着いてほかの病院や施設に移ってもらおうにも、医療費などが支払われないことを懸念して受け入れを断られるケースも多いという。  

 現状、病院側が、身寄りがない入院患者に対し、財産管理や手続きなどを支援する成年後見人をつけようとしても、決定までに数カ月かかる。決まるまでに亡くなった場合、医療費が未収になる恐れもある。また、自治体と連携しようとしても、医療介護や成年後見、死後の対応などで担当部署が異なり、たらい回しになるケースも少なくないという。
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偽造通帳コピー














以前、弁護士から聞いてきたことが実際にあったのにはびっくり。成年後見人弁護士が被後見人の通帳から約2350万円を引き下ろして横領していたということ。これも大変なことですが、それ以上に驚くのは偽造した通帳の写しを家庭裁判所に提出していたということ。通帳の写しを偽造することで被後見人の財産を横領していたことに怒り心頭です。

このような方法があることは聞いていましたが、実際にあったのですね。通帳の写しを偽造するのは簡単ではないはず。我々のように第三者の会計法人が毎月通帳と金銭管理表を直接チェックをしている場合にはこのようなことは起きる余地はありませんが、密室の中で個人事業者が行う金銭管理の怖さを感じます。

通帳の写しを偽造するという悪質なやり方を防ぐ手立てを現在の成年後見人制度はどのように対策しているのでしょうか?

成年後見人として管理 約2350万円を横領 元弁護士に実刑判決 広島地裁
  2024.3.1 

成年後見人として管理していた預貯金などを横領した罪などに問われている元弁護士の男に対し、広島地裁は懲役2年8カ月の実刑判決を言い渡しました。   

広島弁護士会に所属していた被告の男(56)は、2018年から2022年までの4年間で成年後見人として管理していた預貯金など合わせて約2350万円を銀行口座から勝手に引き出して横領したほか、偽造した通帳の写しを家庭裁判所に提出した罪に問われています。   

広島地裁は「多額の財産について適切な管理を行うはずという弁護士に対する信頼を裏切った」などと指摘し被告に懲役2年8カ月の実刑判決を言い渡しました。
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成年高家制度の落とし穴













弁護士だから大丈夫、ではない。 成年後見制度の落とし穴。
「令和6年2月14日付、ロングライフサポート協会会報familleより」    

令和6年2月8日、依頼人に管理を任された財産など計約2億3400万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた元弁護士に対し、熊本地裁は懲役9年(求刑・懲役10年)の判決を言い渡しました。成年後見制度が適正に運営されるのは、弁護士の高い職業倫理と、横領等をおこなうと弁護士資格を失うことから抑制されているといえますが、しかし逆に言えば、抑制の理由は弁護士本人の倫理観に基づくに過ぎないといえ、システム的には脆弱です。介護の現場でもよく言われるとおり、「密室」であるがゆえに、不正が行われやすい土壌にあると言えるのではないでしょうか。    

弁護士はワンマンでも運営可能な個人プレイの多い職業と言えます。よって、弁護士の業務も「密室」で行われています。システム的に不正を防止するには、「密室」ではなく公開された場所で業務を行うべきです。    

要するに組織における内部けん制組織の確立、毎月の収支報告に加え、第三者による監査があるシステムを組み込まなければ、他人の財産をお預かりするというのは極めて高リスクであるといえます。身元引受業者の多くは、弁護士事務所に委託をしたり、他法人に再委託をしたりして、リスクヘッジを図っていますが、それでは十分な機能は発揮できません。   

(一社)ロングライフサポート協会では月次監査体制において税理士法人による第三者による監査とその結果を金銭管理表として被身元引受人に毎月提出をております。ある意味、成年後見人制度による年1回の家裁への報告よりも危険が少ない面もあるかと思います。
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成年後見人制度の見直し














法制審に諮問して成年後見制度で検討する項目として、日経新聞によれば次の3点が挙げられている。  
1.利用期間…現行の終身制を改め、期間限定の利用を可能に   
2.利用範囲…現在は財産管理から日常の買い物まで包括的。後見人の同意などによって範囲を 
        絞る
3.交代…支援を必要とする状況に応じて成年後見人の交代を可能に
特に気になる点は次の部分である。   
 「後見人が支援する行為の範囲を限定することも論点となる。いまは日常的な買い物や旅行から財産管理まで包括的な活動が対象となる。必要とする支援の範囲を事前に定めたり、状況によって後見人を交代できたりする制度を導入する案がある。」 「例えば、日常的な行為は本人の決定に任せつつ、財産管理のときは弁護士、福祉施設へ入居する際は社会福祉士に依頼するといった形だ。」
イメージとしては、日常生活支援は社会福祉士等の福祉担当者にさせ、財産や金銭管理は弁護士にさあせる、施設に入院すれば介護士に任せるといったところか?   

よくよく考えれば、従来は全て家族が行ってきたことである。それをを機能別に分割して複数のチームで一人の人のお世話をするとなれば、一体どれだけの人材とコストがかかるというのか? それを誰が負担するというのか?  

その問題を飛ばして、終身制を改める、成年後見人業務は決して日常の買い物までの包括的なものではなないのに、後見人の同意によって範囲を絞るとか、交渉によって交代をさせるようにするといった制度的な部分がテーマになっているようだが、中身が伴わない的外れの感はぬぐえない。   

終身制を外して、必要に応じて必要な期間の後見をすることは可、交代も有り(選択も有り)も可であろう。問題は、「身元保証」「金銭管理」「死後事務委任」をどのように家族に代わり、包括的に、ローコストで行うのか。その包括的サービスをどのような機関、組織にリスクヘッジをさせながら負わせるのか?といった議論がなされなければ意味がない。   

どうも検討が必要だということは皆さんがお分かりであるが、いずれも自分たちがこれまで包括的な支援をしたことがないだけに、象の耳や足を触って全体像をつかもうとしているようにしか見えない。
現在の成年後見制度だけの議論では極めて部分的であり、本質的な解決にはつながらないのではないかと危惧する。 
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成年後見人の一時利用可能に、法制審に諮問 現在は終身
日経新聞2024.2.13  
小泉龍司法相は13日の記者会見で、認知症などの人に代わって財産管理を担う成年後見制度の見直しを15日の法制審議会(法相の諮問機関)総会へ諮問すると表明した。
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