無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

カテゴリ: 医療・介護制度

介護は淘汰の時代に入ったのか?














 人手不足等が原因の販売不振により小規模介護事業者が淘汰されていくという記事があるが、果たして人手不足が主原因であろうか?   

『介護事業者の休廃業・解散が過去最多 初の年500件超 人材不足や大手参入で「淘汰の嵐」』と東京商工リサーチは表現している。 介護のニュースJOINT2024年1月17日 

 この現象は人手不足の原因の背後に、介護事業の採算性全体が悪くなり、環境適応が困難になってきているという背景はないのか?   

 地域介護のセーフティーネットと言われる「社会福祉協議会の訪問介護事業所」が全国で76市町村でゼロになったと言われる。社会のセーフティネットが崩れつつある。その要因は人手不足と人口減と指摘されている。「社協の訪問介護」の撤退が示すもの

 又、地域介護の司令塔ともいわれるケアマネージャーの減少も重要な問題と指摘されている。介護事業者の数も、離職者が就職者の数を上回る。これらを総合すれば、介護保険制度が始まって20年を経過し、従来のビジネスモデルが機能不全を起こしつつあるのではないかと危惧する。   

これらは何を物語るのか?   
大きく俯瞰すれば、第一要因は人口減少であり、第二要因は人手不足であるが、それらは既に予測されていたこと。問題なのは、これらの予測があったにも関わらず抜本的な構造改革に手立てが打たれてこなかったことにある。   

 人口減少になった時に地域の医療と介護はどうあるべきか。その為の地域包括であったはずが、その機能も不完全。人口が減少しているので、地域の医療と介護の一体的な再編は不可欠であったはず。ところがこれが進んでいない。倒産、撤退の前に再編が必要であったのである。   

 人手不足はとりもなおさず待遇改善が優先しなければならない。少なくなる労働人口をよりニーズの高い分野にシフトさせねばならないのは必須であった。にもかかわらず介護や看護の報酬は依然として十分に改善されたわけではない。介護職は一般企業と未だ平均で月額7万円の差があり、ケアマネは年収にして同年齢平均収入に比べて50万程度低いと言われる。   

 世の中全体でエッセンシャルワーカーの位置づけと待遇改善が疎かになっているのである。ここに根本的な原因があるように感じてならない。淘汰という簡単な言葉で片づけて欲しくない。
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第3のサービス














非常に興味深い論文です。上智大学社会福祉研究2020. 3とする上智大学社会福祉科教授の栃本 一三郎氏の論文です。是非、皆様にご紹介をしたい。  

【論 文】市場化する社会保障・社会福祉と身元保証制度からみる消費者保護の在り方についての覚書 栃本 一三郎(社会福祉学科教授)上智大学社会福祉研究 2020. 3  

身元保証制度を含む高齢者サポート事業マーケットは果たして時代のあだ花なのか、それとも介護保険サービス、混合介護サービス「介護保険外サービス」に続く第三のサービスとして成長するのかという観点で拝見させて頂いた。  

結論から言うと、身元保証サービスをきちんとした制度としてとらえ、介護の第三のサービスとしてその普及を図っていかなければ、これからの超高齢社会の独居高齢者の激増の時代には対応できないということである。  

一部研究者や行政の担当者には、このサービスを従来の介護事業者やケアマネに負わせてはどうかという意見もあるが、そのような付随的な対応では決して収まるレベルではないという認識を持たねばならない。  

栃本 一三郎教授は次のように述べている。
「身元保証人制度及び高齢者の生活支援ということが一体的に行われ、パッケージ化されているビジネスモデルを見てきた。このことは、これからの介護保険のあり方を考えると、冒頭に述べたように、混合介護とともに従来型の保険外サービス(これも保険外サービスでもあるが)とは異なるサービスが必要となる世帯や家族が増加するということでもある。家族の存在をある意味現在の介護保険制度は前提としている。しかし、それでは立ち行かなくなるということもいえるだろう。」  

又、教授は次のようにも述べている。  
「このままにしておくと、将来、大変大きなボリュームとして誰が、どのようにしてこれらの問題を解消するのか、社会で考えなければいけなくなる時代を迎える。事実、ここで取り上げる身元保証人制度を含む高齢者サポート事業は、高齢夫婦のみ世帯や独居高齢者世帯の増加に比例して増加してい るが、今後幾何級数的に増加するだろう。」

先生の論文の内容は、適時ご紹介をしていきたい。我々の事業の一つの指針としたい。
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介護保険制度は崩壊する2














このままでは日本の介護保険制度は維持できない。東洋大学 高野龍昭教授 が12月22日に国立社会保障・人口問題研究所から発表された新しい都道府県別・市町村別の詳細な人口推計データ 「広がる課題の地域差「地域別将来推計人口」を元に介護保険制度の危機的未来に警鐘を鳴らしておられます。是非、参考にされて下さい。https://www.joint-kaigo.com/articles/19543/ 

ポイントは2つ。一つは人口と高齢化の地域格差の拡大、もう一つは首都圏を始め都市部の急激な高齢化の進展。この2つに今までの介護保険制度は対処できないとする意見です。

その理由としては、地方都市は高齢化が行きつくところまで来ており、人口減少が進み、それをカバーできる介護体制がないということ。地方に点在する介護を必要とする高齢者に対して対応できる人的資源が不足しているということです。

もう一つは都市部で急速に進む高齢化と併せて独居高齢者の増加。その数の多さと急速に増加する要介護者に対して、現状の介護要員体制では追い付かないということ。

両者に共通するのは介護人材不足です。離職者が入職者をオーバーし、増員どころかむしろ減少傾向にあり、民間との賃金格差は拡大するばかりであり、それに対応する国の施策も後手後手である。

高野先生は「介護人材の確保については、処遇改善策などの政策の見直しや経営の工夫で一定程度を見込むことができますが、それをはるかに上回る要介護高齢者の増加が予測されます。このままでは介護ニーズに対応できなくなる懸念が生じる」と話しておられます。

即ち、高齢者とりわけ、後期高齢者の激増に現状の介護人材ではカバーが出来ないのは火を見るよりも明らかということです。

しかし、介護人材だけの話ではないと考えます。地方都市における介護・医療インフラをどのように確保するのか、そして都市部で激増する高齢者、とりわけ独居高齢者の急増に対する社会インフラをどのように整備し直すのかが大きな問題となってきているように思います。

地方都市においては医療と介護を中心とするコンパクトシティ構想を、そして大都市においては介護インフラの整備と併せて、権利擁護のまちづくり構想を進めていく等、大きな枠組みを国の政策において創造しなければ介護の明日はないと考えます。


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我々身元引受事業の今後を考えた場合、従来の成年後見人制度と併せて、社共が取り組んでいる「日常生活支援事業」との関係を考えざるを得ない。   

日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な人が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものである。   

毎日の暮らしの中で、不安や疑問、判断に迷ってしまうことが生じた場合に、福祉サービスの利用手続きや、金銭管理の手伝いをして、認知症高齢者等で判断能力が不十分な方が安心して暮らせるようにサポートする事業が日常生活自立支援事業である。  
日常生活自立支援事業の対象と援助内容


















(日常生活自立支援事業の概要と支援の現状「社会福祉法人全国社会福祉協議会地域福祉部」より)

日常生活自立支援事業のサービス内容の多くは後見業務の範囲に含まれるため、成年後見人が選任されたら、基本的には日常生活自立支援事業は解約を検討することになるが、 両制度を併用することで、制度的に互いに補完し、支援を重層化できる場合もある。次のような場合には併用が認められるという。

① 権利侵害、虐待等をうける恐れがあり、権利侵害防止を図る観点から、日常的な見守り体制が必要な場合、同居者や親族が何らかの生活課題を抱えており、本人の生活を支援するために、ファミリーソーシャルワークの観点から同居者や親族を含めた見守り体制が必要な場合。
  
② 精神的な問題等により、本人からの頻繁な訴えに対してきめ細かな対応が必要であり、複数の機関での関わりが必要な場合、本人にとって、新しい人間関係を形成することが難しく、日常生活自立支援事業の支援がなくなることが本人にとって大きな不利益となることが想定される場合等。※3~6か月の移行期間を設け、この間に後見人等は本人との信頼関係の構築に努め、一定期間経過後は円滑に成年後見制度への全面移行を図る。  
 
③ その他、親族による後見人等であって、後見人等が後見業務を全面的に担うことができない特別な事情がある場合も該当する。

以上から、日常生活自立支援事業は成年後見人制度を補完するような形で社会のニーズに応えようとしたものと考えられる。  
 
日常生活自立支援事業に申込むと各地域の社会福祉協議会で働く「専門員」「生活支援員」が契約者のもとを訪問して契約者をサポートすることになるが、果たして、その機能は十分なのであろうか?   

今までの実績を振り返ってみると実利用者数は令和元年度に55,717人となっており、新規契約者数は11,419人(前年11,538人)と頭打ちの状況となっている。問い合わせ件数は2,128,325人と多いが実際の契約件数はわずか0.5%程度にとどまっている。何故、利用が伸びないのか? 頭打ちになっているのか?  
日常生活自立支援事業の契約件数等の推移


















日常生活自立支援問い合わせ、契約件数、支援員の状況

















その理由としては次の点が挙げられる。   
① 行政の予算、人員の制限   
② 専門指導員の資質の問題  
③ 市町村社協の内部けん制や業務監査体制の不備 (組織的課題) 
日常生活自立支援事業の今後の方向性と取り組み課題


















即ち独居高齢者が約700万人や認知症高齢者約700万人と急増する中で需要の変化に量、質共に追いつけず、相談件数が増加するにもかかわらず、捕捉し切れていないことが伺える。 成年後見人制度も不十分な制度であり、それを埋めるべき日常生活支援事業も保管機能を十分に発揮できていないのではないかと推察される。   

特に最大の問題は、成年後見人制度も日常生活自立支援事業も身元保証業務はできないことにある。   
認知機能の低下が進み、更に、家族に身元引受を頼れない時代になっているにも関わらず、その代替組織として後見制度も自立支援事業も機能しきれていないのである。最大の問題は両組織ともリスクを負えない制度であることにある。   

賃貸住宅や施設への入居、病院への入院等の際に、身元保証人(または身元引受人)の設定を求められることが多いが、身元保証人になってくれる人を見つけることができなければ、入居・入院ができないこともある。   

身元保証人になると、緊急時の連絡先となるだけでなく、入居・入院に関する債務を保証する責任も負うことになるため、気軽に引き受け手が見つからないのである。   

後見人がいる場合は身元保証人は不要というケースもあるが、後見人と身元保証人は役割が違うため、後見人がいても身元保証人が別途必要というケースの方が多いのが現状なのだ。   

以上を総括すれば、ニーズが高まっている割に利用者が増えないというのは成年後見人制度も日常自立支援事業も制度が成熟する前に、制度そのものが未完成な為に失速をして、機能不全に陥っていると言っても過言ではないのではないか。 であるならば、民間主導でリスクを取りながらその穴埋めを行う事業が求められるのは不可避であろう。
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地域包括支援センターは2025年に団塊の世代が全て75歳以上となることから、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにという趣旨で、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)を構築することを目的に2006年に作られた。

 従って、原則日常生活圏域(30分でかけつけられる圏域、概ね中学校区)ごとに構築されるもので、その目的は、高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防に必要な援助を行うこととなっている。その数は2021年4月末現在で約5,350カ所設置されているようだ。

 しかし、その実態はどうか?設置主体である市町村が直営しているセンターは全体の2割程度で、7割程度は市町村から委託を受けた社会福祉法人や社会福祉協議会などが運営・管理をしているいう。

  近年問題になっているのが、介護予防ケアマネジメントの比率が増加し、本来行うべき相談支援に対応できないといったケースが指摘されている。これは、地域包括支援センターとして機能する介護予防支援事業所が増えた結果、介護予防支援事業所の業務と地域包括支援センターの業務の境目が曖昧になってしまったためだと考えられている。

 そもそも地域包括支援センターはそのマネジメント組織を統括する役割を果たせばよいのでないか。

 ここで指摘しておきたいのは、高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくりが疎かになってはいないかということである。

 確かに、高齢者世帯の増加、とりわけ後期高齢者の増加に伴い、介護予防や介護サービス支援のニーズが高まっているのはわかるが、その一方で独居高齢者が急増し、家族の支援が受けられない、即ち一人では完結しえない日常の生活が拡大しているのも事実である。

 これらの自立できない高齢者の総合的なマネジメントを行うはずの地域包括支援センターが、そのマネジメント機能を発揮できない現実があるのではないかと懸念する。又、 業務負担軽減のため、地域包括支援センターは、新予防給付ケアマネジメント業務の5割程度を居宅介護支援事業所に委託しているという。

 ただ、地域包括支援センターは地域の包括ケアをワンストップで担う拠点であるため、その機能の一部を外部委託することは、地域包括支援センターの本来の姿とはいえないのでは?といった声も挙がっているのである。

 実際、地域包括支援センターの中核事業を分割して委託することは想定されていなかったはず。 業務を包括的かつ効率的に機能させるには、高齢者の状況を把握・共有し、地域ケアの視点からきめ細かくマネジメントする必要がある。そのためにも、委託者である市町村が責任主体として支援組織のネットワーク体制を整備し、センター運営に適切かつ積極的に関与することが求められているのである。

 従って、地域包括支援センターが本来の機能を取り戻すためには新たな高齢者支援の為のワンストップ・マネジメント体制を構築する必要があるのである。その為には、地域包括支援センターが地域の「みより・ケア・コミュニティ」の中核組織(ライフプロデューサー)として機能特化すべきと考える。

 具体的には、センターがハブとなりケアマネや弁護士、身元引受会社や葬儀会社、介護事業者、施設等各関係者と連携をとり、高齢者の総合プロデュースを24時間が体制で行うことが必要である。公務員の時間から時間の仕事ではその対応は難しく、センターと一体となって動く24時間体制のマネジメント会社を中核組織として外部委託することも一つの方法と考えられる。是非、一度検討をしてもらいたいものである。そうでなければ無縁社会の進展で幾何級数的に増える高齢者のニーズには答えることはできない。地域包括支援センターの在り方が問われている。
みよりケアコミュニティ

















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一般社団法人ロングライフサポート協会

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E-mail:info@ll-support.jp

【一般社団法人ロングライフサポート協会について】

当協会は身元引受と法人コンサルの両面から高齢者の生活を支援する企業です。

身元引受は身寄りの無い方がご入居する際のサポート、葬儀サポート、金銭管理から、独居の方の電話による見守り業務まで幅広くおこなっております。

コンサルとしては、長年にわたる経験から、時代を先取りした”未来”をお届けするものです。介護報酬の改定やいろいろなリスクを勘案し、行政申請から内部監査、予算の見直しまで含めた総合的なものスポット的なものを取り揃えております。
高齢者支援サービスでお困りの際はロングライフサポート協会までお問い合わせください。

サポート協会URL:http://lls.sakura.ne.jp/
身寄りドットコム:http://miyori-support.com/

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