無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

カテゴリ: 医療・介護制度

介護保険事業状況報告の概要(平成27年3月暫定版)を発表 厚労省
ケアニュース2015-06-26

65歳以上が100万人増
厚生労働省は、6月24日、介護保険事業状況報告(暫定)平成27年度3月版を発表した。
なお、第1号被保険者数は、3,302万人となっており、前年同期比100万人増加となった。

認定者数は22万人増

要介護(要支援)認定者数は、605万8,000人で、うち男性が186万7,000人、女性が419万1,000人。前年同期が583万8,000人であったことから、総計で22万人増加した結果だ。

居宅(介護予防)サービス受給者数は、377万7,000人。前年同期が361万人であったことから、16万7,000人増加。

また、地域密着型(介護予防)サービス受給者数は、39万1,000人、施設サービス受給者数は90万3,000人。前年同期より総計で39,000人増加となった。

保険給付費総額、7,386億円
保険給付決定状況では、高額介護(介護予防)サービス費、高額医療合算介護(介護予防)サービス費、特定入所者介護(介護予防)サービス費を含む保険給付費の総額は、7,386億円。前年同期が7,112億円であったことから、274億円、約3.85%の増加となった。

なお、第1号被保険者に対する認定者数割合の全国平均は、約17.9%とほぼ横ばい。1人あたりの保険給付費の全国平均は、22,428円で、前年同期より120円の増額であった。

くらしをひらく:介護の一部、市区町村へ 「多様なサービス」多難
毎日新聞 2015年06月14日 東京朝刊

4月から始まった要支援サービスを市町村が総合事業として行うことに懸念が広がっています。問題は担い手不足でしょう。多様なサービスの前提になるのは、多様な担い手の確保だと思います。地域包括ケアを前提として介護施設、介護スタッフ、ボランティアの多様な人材をどう組み合わせるのか、そしてそれを誰がコーディネイトするのかが課題だと思います。
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介護の必要度が低い「要支援」向けサービスの一部が4月から、全国一律ではなく市区町村ごとに実施される「総合事業」として始まった。市区町村が担うことで地域の実情に合わせてサービスの多様化を図るのが目的だ。ボランティアの活用などで介護費用の抑制につなげたいとの厚生労働省の思惑もある。財源と人材が限られる中で介護を支える仕組みで、同省は2017年度までの完全実施を求めている。ただ、ボランティアなどサービスの担い手不足といった課題もあり、各自治体とも工夫を求められている。【細川貴代、阿部亮介】
 ◇支え合い、費用を抑制
 「調理は薄味で軟らかくが基本です。調理しか頼まれていないのに掃除をやってはいけません」−−。今年度から総合事業を始めた千葉県流山市は5月25日、ボランティア養成のための研修会を2日間の日程で開いた。60〜70歳代の高齢者16人が真剣な表情でメモを取る。その一人、徳永喜六さん(66)は「高齢者同士で支え合わないと今後やっていけないのではないか」と参加の動機を話した。

 25年には団塊の世代が75歳以上になり、高齢化のピークを迎える。これを乗り切るため、住民も参加して互いに支え合う地域社会を築くためにスタートしたのが総合事業だ。

 これまで全国一律で実施してきた訪問介護や通所介護と同様のサービスに加え、新たに「多様なサービス」を設ける。洗濯や掃除、ゴミ出しなどの生活支援のほか、健康維持のための体操教室やサロンなど交流の場の提供などが想定され、介護の資格のない人にも担い手を広げられる。N

POなどが実施する「サービスA」や、住民ボランティア主体の「サービスB」などがある。流山市では「サービスA」に県高齢者生活協同組合「花いちりん流山」と市シルバー人材センターが参入する。

介護の専門職員を使わないので費用が下がり、利用者負担はこれまでの1時間当たり約290円から200円になった。

 ただ、介護の専門的な知識や経験がないボランティアらで円滑に進むのか。家事など生活支援でも利用者の力を引き出す工夫など専門的知識は必要だと指摘される。流山市の担当者は「最初はヘルパーを同伴させ、仕事をしながら訓練したい」と話す。

 埼玉県和光市は以前から、元気な高齢者が介護予防サービスを支える「介護予防サポーター」を養成してきた。すでに総合事業の現場でボランティアたちが高齢者に接している。運動機能向上のための体操でボランティアの支援を受けた安達富久さん(84)は「いつも丁寧に応対してくれて感謝している」と話す。

 ◇担い手不足、移行遅れ 
今年1月時点で厚労省がまとめた総合事業の開始時期によると、1579自治体のうち今年度中に開始は114▽16年度は277▽17年度1069▽未定・検討中119−−となっており、最終年度まで先送りするか、時期の決まっていない自治体が4分の3に上る。担当者は「想定しているサービスが全てそろわなくてもスタートできる」と早期開始を促す。

 だが、スタートできた自治体の多くは和光市のように以前から地域住民らに介護サービスへの参加を促してきたケースだ。特に地方では高齢化が進み、担い手は限られる。

 高知県大豊町は人口4266人、高齢化率は56%と住民の半分以上が65歳以上の高齢者という町だ。町には今も住民主体で運営する地域サロンがある。高齢者同士の交流も介護予防に効果があり、総合事業の柱の「多様なサービス」として実施できる。だが、町の担当者は「多様なサービスにするなら週1日程度の開催が望ましいだろうが、月1回が限界」と困惑している。切り盛りする住民も70歳代が中心。農作業や婦人会、地域行事の担い手など住民は一人何役もこなしており、介護ばかりに力は割けないからだ。

 都市部でも課題はある。50万人近い人口を抱える兵庫県西宮市は市内に介護サービス事業者も多いが、最終年度への「先送り組」。ボランティア育成の方法が十分検討できていないなど準備が追いつかないからだ。これまでの全国一律の仕組みと異なり、総合事業では事業者らに支払う報酬の単価やサービス内容、人員の基準も自治体が決めなければならない。同市の担当者は「総合事業以外の介護保険制度の改正もあって、事務作業になかなか対応できない」とこぼす。

 総合事業の財源は従来通り介護保険制度で賄う。ただし、厚労省は費用に上限を設ける「総量規制」を打ち出している。同省の見通しでは介護費用は毎年5〜6%伸びるが、総合事業の経費は高齢化の伸びに相当する3〜4%に抑えるよう求めている

 ボランティアの活用で総費用が下がるからという理屈だが、枠内に収められるかどうかは懸念材料だ。介護費用の伸びの大きいある政令市の担当者は「上限も意識してサービスのメニューや料金を決めないといけない」とこぼす。

<前回に続く>

理想的な運営なのに介護報酬「減算」の衝撃度
だが、厚労省は、サ高住運営者が介護サービスを建物内や近くに持つのは「不適切」サービスの温床になりかねない。だから、併設そのものをできるだけ抑制させねば、と思いこんだ結果が、一連の同一建物、隣接地事業者への減算を生んだといわれる。

こうした指摘に対し厚労省は「NO」とは言えないだろう。なぜなら、「減算」という言う言葉の放つ衝撃性を意識的に活用していると受け止めざるを得ないからだ。減算とは、適性を欠く行為への罰則、ペナルティーである。

介護保険のケアマネジャーに課される減算は、まさに罰則である。ケアマネジャーの作るケアプランで特定の事業所のサービス割合が80%を超えると、200単位の減算となる。

ケアマネジャーが、自分の所属するグループ組織の事業所からのサービスを盛り込み過ぎるのは、公平性・中立性に反するという考えによる。

これは、明らかに罰則としての減算である。そのため、一般的には減算は罰則として受け止められている。厚労省が「移動コストの勘案分」と説明しても、「後付けに過ぎない」とみられてしまうのは仕方ないだろう。同じ「減算」という用語を使っているのだから。

国交省が地域包括ケアを踏まえて、これからの住まいと介護サービスの組みあわせを考えた。その到達点が「サ高住+24時間ケア、小規模多機能」である。いわば、国のモデルプランである。

その考えを真に受けて、事業者がサ高住に24時間ケアや小規模多機能を一緒に運営し始めると、介護報酬が下がってしまう。なんということか。


理想的なモデルを推進し、普及させていくのが行政の役割である。一方で、公平性に欠ける事例を排除するのも行政の仕事だろう。国交省の描く理想像と厚労省の排除の思惑がぶつかり合った。何とも、ちぐはぐな矛盾した事態を招いている。

高齢者施策の根幹である地域包括ケアの担い手の問題だけに、重大事であると認識しなければならない。

<前回に続く>

そこで、「実は、移動コスト論は建前に過ぎない。厚労省の真意、本当の狙いは別のところにある」と指摘する声が出てくる。真意とは「囲い込み」の排除である。

介護サービスを併設させたサ高住運営者が、入居者たちに「不適切な」介護サービスを提供している。大家という強い立場から、入居者に過剰な、あるいは無駄な在宅サービスをケアプランに盛り込んで、ほぼ強制的に利用させ儲けている。これは立場の弱い要介護高齢者の「囲い込み」であり、「悪辣な」商売ともいえる―――と厚労省が思い込んでいると言う。

事実、サ高住入居者のケアプランの中には、サ高住運営者と同じ事業者が提供するデイサービスや訪問介護をフルに利用しているケースもある。その利用率が、1割の利用者負担ギリギリまでのケアプランということもある。

その事例を見て、利に走る好ましくない「囲い込み」事業者の横行を防ぎたいと考えた。つまり、同じ建物内や隣接地に介護事業所を設けているサ高住運営者には「けしからん」タイプが多いので、取り締まるために「減算」を強化した、ということだ。

 介護保険のサービスは、利用者と提供者が契約書を交わしてからサービス提供が始まる。利用者が提供者を自由に選ぶことができる。入居契約をしてサ高住に住むことになった高齢者が、そのサ高住に併設されたサービス事業者と新たにサービス契約を交わす。

その際、利用者の自主的判断で契約を交わしていれば何の問題もない。大家からの強制や誘導があったのかは、外部からは窺い知れない。

併設サービスの利用者がサ高住入居者に多いからと言って、直ちに「不適切」と見なすのは言いがかりだろう。

<次回に続く>

<前回に続く>

国交省の最適モデルになぜか厚労省の「不適切」の烙印が
ところがである。この最適モデルに、何と厚労省が「不適切」の烙印を押すかのような政策をとった。この4月から始まった新しい介護報酬である。

サ高住と同じ建物や同じ敷地内に各種の介護サービス事業所が併設されていると、事業所に支払われる介護報酬を「減算」することにしたのだ。減算とは通常より低い報酬。事業所には大打撃である。

まず、訪問サービス系についてみてみよう。

問介護を始め、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリ、夜間対応訪問介護のすべてで、同一敷地内や隣接地のサ高住入居者からの報酬は10%の減算となる。

先述の4つのサービスのひとつ、「24時間訪問」については、やはり同一敷地内や隣接地のサ高住入居者からの報酬は600単位の減算とした。要介護3の基本報酬は1万7900単位だから、約3.3%の削減率となる。

もう一つの「小規模多機能型」は、サ高住の建物内に事業所がある場合には、わざわざ新たな報酬体系を別に作った。要介護1から5の全てにわたって、通常の報酬よりも約10%少なくした。つまり、「減算」という言葉は使わずに、別体系という「目くらまし」方式を採ったが、実質的には一般の訪問系と同じ10%の削減とした。減算と変わらない。

なぜ、こうしたサービスを「減算」としたのか。

厚労省によると「事業所からすぐ近くの利用者の居室に移動するのは、そうでない遠くの利用者と比べ、移動に伴う労働量が少なく、移動コストが少なくて済む。それを報酬に反映させただけ」と説明する。あくまで、移動コストの問題だと言う。

それなら、単純に移動距離を物差しとすべきだろう。同一建物や隣接地という土地の種類で決めるのは合理的ではない。

例えば、道路の向かい側に立つサ高住はどうなのか。厚労省の見解では「公道を隔てた敷地も隣接地と見なす」とある。だが、そのサ高住建物のすぐ後ろに立つサ高住は隣接地でないと言う解釈だ。何ともあいまいな判定法である。

隣接というからには、間に別の建物がある場合は該当しないからだ。同じ番地でもその敷地が相当に広い場合もある。移動コストと言うなら、到達距離から求めるのが当然だろう。

<次回に続く>

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